✒ 天女は居た! 3
絲腥玄武
「 弓弦──、“ しゅてんどうじ ” とやらを知っているのか? 」
厳蒔弓弦
「 …………あぁ……良く知っている。
五行軍が結成される切っ掛けを作った “ 悪しき妖かし ” として古来から言い伝えられている鬼の総大将だ。
五行軍は結成当時から呪覘導孳を探し続けている。
五行軍とも因縁のある “ 妖かし ” だ 」
絲腥玄武
「 五行軍か。
五行軍なら我も聞いた事がある。
弓弦も五行軍を知っているのだな 」
マオ
「 弓弦さんは五行軍の一員として活動していた事があるんだよ 」
絲腥玄武
「 ほぅ?
五行軍に入団していたのか。
五行軍は未だ現役で活動しているのだな 」
セロフィート
「 玄武さんが知っていると言う事は、かなり前から五行軍は結成されていたようですね 」
マオ
「 長い歴史があるんだな~~ 」
厳蒔弓弦
「 五行軍が結成される前──、初代帝の実母が “ 妖かし ” に連れ去られた事件が起きたそうだ 」
マオ
「 初代帝?
それって凄い昔って事だよね? 」
絲腥玄武
「 うむ。
ざっと800年程前になるな 」
マオ
「 800年?!
≪ 平安京 ≫って、800年も続いてるの?! 」
天女:ミカト
「 800年なんて短いよ!
≪ 平安京 ≫の前は、≪ 長阜京 ≫ってのが約200年続いてたけど、その前は≪ 平城京 ≫って言って、約2400年も続いてたんだからね!
800年なんて未々ヒョッコよ 」
マオ
「 そうなんだ…。
凄いんだね 」
厳蒔弓弦
「 初代帝の実母は、天女だったと言われている。
帝の実父は人間だったが、実母が天女だった事もあり、初代帝は天女の血が流れているんだ 」
絲腥玄武
「 帝の子孫が天女の血を受け継いでいた話は事実だったのか…。
作り話だと思って信じていなかったが…… 」
天女:ミカト
「 その話なら、アタシも知ってるよ。
≪ 平安京 ≫に天女伝説が多く残ってるのは、天女信仰が根付いていた名残だよ。
帝の正妻は必ず天女を選んで、次の帝は天女の血を濃く受け継いでいる長男だと決められていたんだ。
天女信仰が廃れたのは呪覘導孳の所為だね。
呪覘導孳に目を付けられた事で、天女は地上に降りる事は無くなったんだ 」
マオ
「 えと……、なんで “ しゅてんどうじ ” が原因なの? 」
厳蒔弓弦
「 呪覘導孳が天女を連れ去ったからだ。
初代帝の実母は天女だったから “ 妖かし ” に連れ去られたが、連れ去った “ 妖かし ” は呪覘導孳ではなかった。
呪覘導孳は──、初代帝の実母と連れ去った “ 妖かし ” の間に産まれた美丈鬼人だ 」
マオ
「 びじょうきじん?? 」
天女:ミカト
「 恐ろしく美しい人型の鬼って意味だよ。
人間離れした美貌の持ち主で──、其処に居る外道式神みたいな美麗人って事だよ! 」
厳蒔弓弦
「 美丈鬼人は──、帝が正妻として迎えた天女が男子を産むと、百鬼夜行を起こし、騒ぎに乗じて天女を連れ去っていたんだ 」
マオ
「 毎回、産後の天女を誘拐してたの?
“ びじょうきじん ” は何で…そんな事を……?? 」
天女:ミカト
「 天女はねぇ、醜男よりも超絶絶世の美男子が大好物なんだよ!
大して好きでもない醜男としたくもない子供作りをさせられて、産みたくもない子供を出産して、ウンザリしてたんだよ!!
超絶絶世の美男子が目の前に現れたら、産後だって関係無いんだ!
着いて行くに決まってんだろ! 」
マオ
「 えぇ~~~~…… 」
絲腥玄武
「 …………天女側にも問題は有ったわけか… 」
厳蒔弓弦
「 呪覘導孳は──、天女が好む美丈男人の容姿で天女を連れ去り続けた 」
セロフィート
「 天女が連れ去られる事件が続き、天女信仰は廃れたのですね。
連れ去られた天女はどうなったのです? 」
厳蒔弓弦
「 其処迄は五行軍も知らないようだ。
連れ去られた天女達を助け出す為に、陰陽師,退魔師,武士が集まり、五行軍が結成された。
五行軍は現在も何処に居る筈の天女と、多くの天女を連れ去った呪覘導孳を探しているんだ。
呪覘導孳を探し出し、呪覘導孳を討伐し、天女達を解放する事が最終的な目的としているんだ。
妖魔は “ 呪覘導孳と繋がっている ” と信じて、妖魔退治も続けている 」
マオ
「 しゅてんどうじ…。
そいつが、ミカトさんや天女達に酷い事をしてるんだな! 」
絲腥玄武
「 美丈鬼人は何故、呪覘導孳と言われるようになったんだ? 」
厳蒔弓弦
「 どうやら、美丈鬼人は実父である “ 妖かし ” と実母である天女を喰らい、妻に迎えた天女すらも喰らい、呪覘導孳と変貌したそうだ。
妻に迎えた天女との間に子供が産まれていたか迄は五行軍も知らないようだ 」
天女:ミカト
「 呪覘導孳は強いよ!
彼奴はマジモンの化け物だからな!
五行軍なんか呪覘導孳からしたら、蟻も同然だよ!
天女を喰らうなんて……。
呪覘導孳にとって天女は非常食みたいなもんなんだ!!
彼奴に捕まってる天女は──、皆……帝となる赤子を産んだ後、呪覘導孳に連れ去られた天女達なんだよぉ!!
連れ去られてから、呪覘導孳に種を胎内に植え付けられてから──、ずっと……ずっと…………妖魔を産ませられ続けてるんだぁ!! 」
マオ
「 妖魔を産ませられてる??
えっ………………どゆこと?? 」
衝撃的な話が次から次へと出て来るから、頭が追い付かないよ……。




