──*──*──*── テントの中
絲腥玄武
「 此処は何処だ? 」
セロフィート
「 ワタシが用意したテントの中です。
この中なら誰にも邪魔はされません。
天女を転移させます 」
セロフィートが言うと、テントの中に真っ裸の状態の女性がM字開脚をしたままの状態で転移された。
白目を剥いている様子を見ると、気を失っているようだ。
絲腥玄武
「 これが天女か?
何故裸なのだ? 」
セロフィート
「 キノコンからの報告では、この状態の天女から妖魔が産まれているそうです 」
絲腥玄武
「 母が赤子を産むようにか?
まさか、天女から産まれ出た妖魔が井戸を通り、京の都内へ出て来たと言うのか? 」
セロフィート
「 そのようです。
天女の胎内にある妖魔を産み出す種は取り除きました。
この天女から妖魔は産まれません 」
絲腥玄武
「 妖魔を産み出す種?
そんな物騒なモノが、天女の胎内に入っていたのか… 」
セロフィート
「 妖魔を産み出す種は実に興味深い実験材料です。
大収穫です♪ 」
絲腥玄武
「 然し、何時迄も全裸という訳にもいくまい 」
セロフィート
「 それもそうですね。
取り敢えず、巫女の衣装をでも着させましょう 」
セロフィートは巫女の衣装を〈 テフ 〉で構成し、古代エンシェント魔法マジックで天てん女にょに巫女の衣装を着させた。
絲腥玄武
「 何な故ぜ天てん女にょは気を失っているんだ? 」
セロフィート
「 さて…何な故ぜでしょうね?
見た目は若い少女ですね。
天てん女にょなら法ほう力りきも使えるでしょうし、十分な戦力になるでしょう 」
絲腥玄武
「 確たしかにな。
本ほん物ものの天てん女にょならばだが…。
戦力に数えるという事は、妖魔との戦闘に参加させる気か? 」
セロフィート
「 勿論です。
パーティには回復役は必須です。
弓ゆ弦づるさは攻撃専門ですし、玄げん武ぶさんは攻撃と防御に長たけてます。
強いのは確たしかですけど、回復役という保険は必要です 」
絲腥玄武
「 そういうものなのか?
いや──、渡わたり人びとのセロが言うなら間違いはないのだろうな。
この天てん女にょが回復させれる法ほう術じゅつを使えれば良いいのだが… 」
セロフィート
「 使えなくても回復薬やくを使わせれば良よいです。
彼女が弓ゆ弦づるさんと玄げん武ぶさんを裏切らず寝首を掛けないよう、彼女の羽は衣ごろもを法ほう具ぐに変えてしまいましょう 」
絲腥玄武
「 天てん女にょを我われ達に服従させるという事か?
容赦がないな 」
セロフィート
「 天てん女にょは使える人材です。
利用しない手はないでしょう?
彼女の羽は衣ごろもを法ほう具ぐに変える事は、玄げん武ぶさんとワタシだけの秘密です。
天てん女にょにはワタシ達が恩人だと思わせ、恩義を感じてもらいます 」
絲腥玄武
「 ………………天てん女にょが不憫に思えて来きた… 」
セロフィートは目の前で気を失っている天てん女にょの羽は衣ごろもを出す。
絲腥玄武
「 ──これが天てん女にょの羽は衣ごろもか?
宙に浮いている… 」
セロフィート
「 成る程──、これが天あまの羽は衣ごろもですか。
実物は初めて見ました。
流石にこ・れ・は・〈 テ原質フの源みなもと 〉でも構成は出来ませんね 」
絲腥玄武
「 セロ、この摩訶不思議な羽は衣ごろもを法ほう具ぐに出来るのか? 」
セロフィート
「 〈 テ原質フの源みなもと 〉で構成する事は出来なくとも古代エンシェント魔法マジックで形を変える事は可能です。
弓ゆ弦づるさんの魔ま具ぐは単体攻撃しか出来ませんね。
魔ま喰ぐらいの弓に羽は衣ごろもを巻いて、一体化させてしまいましょうか。
全体攻撃は無理でも複数攻撃を出来るようになる筈です。
羽は衣ごろもの力で重さも軽減されるでしょう 」
絲腥玄武
「 ………………弓ゆ弦づるは助かるだろうが……益ます々ます天てん女にょが不憫でならない… 」
セロフィートは魔ま喰ぐらいの弓を依より代しろとしている絲し腥せい玄げん武ぶに天てん女にょの羽は衣ごろもを巻き付けると古代エンシェント魔法マジックを発動させた。
天てん女にょの天あまの羽は衣ごろもは古代エンシェント魔法マジックの力によって、魔ま喰ぐらいの弓と一体化を果たした。
セロフィート
「 これで弓ゆ弦づるさんが魔ま具ぐを戦闘で使う際には以前より楽らくになる筈です。
序ついでに天てん女にょの身体からだに奴隷紋を刻きざんでおきましょう。
誰が主人であるか身を持って知らせる必要がありますし 」
絲腥玄武
「 奴隷は幾いくらなんでも……やり過ぎではないか? 」
セロフィート
「 奴隷紋は飼い主主人とペットを区別する為に必要な印しるしです。
弓ゆ弦づるさんが飼い主主人で、天てん女にょはペットだと考えてください 」
絲腥玄武
「 …………勝手に決めてしまって良いいのか? 」
セロフィート
「 構いません。
理不尽な扱いを受ける地獄のような環境から天てん女にょを救い出したのは誰でもないワタシです 」
絲腥玄武
「 …………そう、だったな。
確たしかにそ・う・……なんだが… 」
セロフィートが古代エンシェント魔法マジックを発動させると、気を失っている天てん女にょの胸元に奴隷紋が浮かび上がった。
セロフィート
「 これで一先ずは安心でしょう。
彼女を起こして詳しい事情を聞くとしましょうか 」
これからセロフィートによる “ 事情聴取 ” と言う名の尋問が始まり、明け方まで続けられるのだった。