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✒ 騒ぎの原因 5


 セロフィートのキノコン転移投入の末、なんとか日付が変わる前にはきょうみやないの妖魔騒ぎは鎮圧され、落ち着きを取り戻しつつあった。

 妖魔の攻撃によって半壊したり、倒壊した民家周辺はガラン──としており、るとすれば2人1組で巡回をしている検非違使と陰陽師のペアとキノコン達ぐらいだろうか。


 妖魔の被害に遭い亡くなったたみ達の亡骸も殉職死した陰陽師達の亡骸も既にほかの場所へ運ばれたあとだ。

 キノコン達は分裂しており、半壊したり倒壊してしまった民家を新たに建てなおしたり、修繕や修復する作業に取り掛かっていた。


 瓦礫を退かし、綺麗な更地に変えると、しっかりとした土台を作り、骨組みや柱となる木材を器用に組み立てて行く。

 建てなおしに使う木材は、セロフィートが〈 (原質)(みなもと) 〉で構成し、古代エンシェント魔法マジックで大量に増やした丈夫で腐りにくしんぼくだ。

 井戸の蓋にも同様に加工済みの木材が使われた。


 には “ げんじのまお ” という陰陽師に召喚されて大活躍したキノコン達の話題で持ちきりとなる事は間違いないだろう。

 宿屋の宿泊室でなにも知らずに睡眠スリープ魔法マジックで眠らされているマオは、驚くに違いない。






 静けさを取り戻しつつある夜更け、とある民家の屋根の上にはセロフィートとせいげんた。

 宿泊室の窓からそとへ出てから、安全な特等席にて高見の見物をしながら、きょうみやないで起きていた騒ぎの一部始終を見届けていたのだ。


絲腥玄武

なか(なか)の見物だったな。

  死者が出たのは残念だが、被害は最小限に抑えられた筈だ 」


セロフィート

「 妖魔がからていたのかもキノコン達によって判明しましたし、マオが無事に退魔師となれたらみなで退治に向かうとしましょう 」


絲腥玄武

「 それ迄は放置するのだな 」


セロフィート

「 必要あくですし、急いで倒す事もないです。

  住み処にはキノコン達を潜伏させてますし、動きがあれば連絡がます。

  仮に潜伏中のキノコン達が見付かったとしてもワタシのキノコン達が倒される事はないです。

  逆に返り討ちに遭います 」


絲腥玄武

「 可愛い姿をしているのに物騒な生物なのだな、キノコンとやらは 」


セロフィート

「 愛らしく可愛い容姿には、大抵の者は油断してくれますから♪

  ときげんさん、みかどが “ てんにょの血を受け継いでいる ” と言うのは事実です? 」


絲腥玄武

てんにょか…。

  それが事実であったならば、生前のわれてんにょの血を受け継いでいた事になるな。

  まぁ、われは眉唾物だと思っていたから信じていなかった口だな。

  当時は立場上もあり、誰にも言えなかったが…… 」


セロフィート

さいの息子がみかどとなったのでしたね 」


絲腥玄武

「 あぁ──、みかどにされたのはさいの3男だ。

  長男と次男がたが父親が違った。

  父とわれと血の繋がっていたのは、さいの産んだ3男だけだ。

  われが暗殺されたあと、父とのあいだに子供が産まれたかは知らんが…… 」


セロフィート

「 現在のみかどさいの3男の子孫であるなら、てんにょの血を受け継いでいる可能性はありますね。

  みかどを拉致する訳にはいきませんから、マオの合格祝いを台無しにした15男を拉致して調べてみましょうか 」


絲腥玄武

みかどの息子を拉致するとは、セロは大胆だな 」


セロフィート

「 きちんと落とし前は付けます。

  子沢山なのですから、出来の悪い子供が1人、行方知れずとなっても大して問題にはならないでしょう 」


絲腥玄武

「 なると思うが……。

  妖魔騒ぎのあとだからな、有耶無耶に出来るかも知れないが… 」


セロフィート

「 さて──、起床に朱雀のから穀潰し皇子が姿を消していたら──、どんな騒ぎになるでしょうね 」


絲腥玄武

「 …………たしかに、どんな騒ぎになるか少し興味があるな。

  穀潰し皇子を拉致したあと、血を抜いて調べるのか? 」


セロフィート

「 血を抜かなくても毛髪や唾液,涙で調べる事が出来ます。

  てんにょも1人は欲しいですね。

  てんにょと一緒にごろもも拝借しましょう 」


絲腥玄武

「 拝借すると言うが、どうするんだ?

  距離は離れているのだろう? 」


セロフィート

「 そんな時の為の魔法マジックですよ、げんさん。

  てんにょは転移魔法で此方こちらに転移させます。

  ごろもは〈 (原質)(みなもと) 〉で構成が出来ませんから、転送魔法で丸ごと頂きます 」


絲腥玄武

「 丸ごと?!

  1枚ではないのか? 」


セロフィート

「 キノコン達からの報告では、てんにょからごろもを奪い取り、隠しているそうです。

  丸ごとワタシが頂戴しても構わないでしょう 」


絲腥玄武

「 転送魔法…とやらは凄いのだな。

  しかし、ほんとうてんにょなのか?

  いささか、信じられないのだが…… 」


セロフィート

「 転移させてみましょう。

  キノコンに転移が出来そうなてんにょないか確認させます 」


絲腥玄武

「 まるで神出鬼没の誘拐魔だな 」


セロフィート

「 ふふふ。

  マオにも言われます♪ 」


絲腥玄武

「 セロとるマオは退屈しないな 」


セロフィート

「 ワタシはマオがてくれるお蔭で毎日、楽しいです♪

  ──どうやら、転移させれるてんにょたようです。

  転移させます 」


絲腥玄武

にか? 」


セロフィート

「 それもそうですね。

  場所を変えましょう 」


 セロフィートは転移魔法を発動すると、せいげんと共に別の場所に転移するのだった。

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