✒ 騒ぎの原因 4
──*──*──*── 井戸の中
井戸の中にキノコン砲を放った後、1体のキノコンが井戸の中へ飛び込む。
井戸の下には民に飲み水として利用されている貴重な水が溜まっている。
水の中へドブンッと落ちたキノコンは、そのまま泳いで妖魔が向かって来る方へ泳ぎ進めた。
途中で妖魔が向かって来ればキノコン砲を放ち、妖魔を蹴散らしながら先へ進んでいると、他の井戸からも飛び込んで来たキノコン達とも水中で合流した。
どうやら井戸の水路は地下で繋がっているようだ。
京の都内にある井戸の水が枯れない理由が判明した。
向かって来る妖魔をキノコン砲で倒しながら暫く泳いでいると洞窟の中に出る。
水の中から洞窟の中へ上がったキノコン達は、ゾロゾロと列を作りながら、小さな4本足で器用に洞窟内を歩く。
洞窟内はヒンヤリと冷えているが、キノコン達は寒さを感じない為、まるで遠足気分で元気に賑やかに洞窟内を歩き続ける。
遭遇する妖魔をキノコン砲で倒しながら洞窟の奥へと進み続ける。
妖魔が洞窟内へ入って来る場所に辿り着き、洞窟を出ると木々が鬱蒼と生い茂る森の中だった。
──*──*──*── 森の中
1体のキノコンが洞窟の出入り口に胞子を撒き散らすと、茸が生えた。
キノコン:R
「 皆~~、この茸を目印にして先へ進むエリ! 」
キノコン:S
「 妖魔は彼方から洞窟に向かって進んで来るエリ 」
キノコン:T
「 小さくなって妖魔の発生源となってる場所へ向かうエリ! 」
キノコン
「「「「「 エリ~~~~!! 」」」」」
キノコン
「「「「「「 エリ~~~~!! 」」」」」」
キノコン達は洞窟内に数体のキノコンを残すと、体を椎茸ぐらいに小さくした。
残したキノコン達に見送られながら、大量のキノコン達は列を作ってゾロゾロと森の中へ進む。
上空を妖魔が通り過ぎては洞窟の中へ入って行く。
森の中を進み続けると、別の洞窟を見付けた。
洞窟の中から妖魔が出て来ては、井戸へ繋がる洞窟を目指して飛んで行く。
キノコン:U
「 見付けたエリ!
胞子を撒いて目印の茸を生やしておくエリ! 」
キノコン:R
「 このまま突入するエリ! 」
キノコン:S
「 上下,左右に分かれて洞窟内を進もうエリ 」
キノコン
「「「「「「 エリ~~~~!! 」」」」」」
キノコン達は地面,天上,左右の壁沿いと4つに分かれると洞窟の中へ突入した。
──*──*──*── 洞窟
洞窟内へ入ると妖魔が洞窟の出入り口へ向かって飛んで行く。
洞窟の更に奥へ進んで行くと、広い空間となっている大広間のような場所へ出た。
其処には巨漢の男が座っており、浴びるように酒を飲んでいた。
男の周辺には実に多くの女達が居て、真っ裸の状態で地面に倒れ込んでいた。
妖魔は倒れ込んでいる女達の秘部から出て来ているようだ。
出て来ている──と言うよりも “ 産まれている ” と言った方が合っているのかも知れない。
大きく膨らんだ腹をした真っ裸の女達は何十人も居て、地面に背中を付けた仰向けの状態で倒れている。
両膝を立てて足を広げたM字開脚の状態のままピクリともしていない。
人間の赤子が出て来る場所から次から次へと実体のない妖魔が産まれ出て来ていた。
妖魔達の発生源となっていたのは、大勢の女達だったのだ。
キノコンは目撃している光景を自分達の創造主であり、絶対主であるセロフィートへ報告をする。
他のキノコン達は、巨漢の男に気付かれないように大広間を移動しながら、大広間内の様子をセロフィートへ報告をする。
キノコン達の調べによって、倒れている女達の正体は人間ではない事が判明する。
どうやら女達は、“ 天女 ” のようである。
何故女達が天女だと分かったのかと言うと、大広間の奥にある部屋の中から美しい羽衣を何十枚も見付けたからだ。
羽衣は厳重に保管されており、天女達に見付からないように隠されているようだ。
どうやら、巨漢の男が天女達から羽衣を奪い取り隠しているようである。
≪ 平安京 ≫には数多くの天女伝説が残っており、歴代の帝は初代帝と天女の血を受け継いでいる──とすら言い伝えられている。
現在の帝も天女の血を受け継いでいる子孫だと信じられているのである。
遥か昔から言い伝えられていた天女が実在し、その多くの天女達は、正体不明の巨漢の男に捕らえられており、大量の妖魔を出産しているのが、現状だった。
現在の帝が本当に天女の血を受け継いでいる子孫なのかは横に置いといて────。
現状をセロフィートへ報告したキノコン達は、セロフィートからの指示を待ちながら、現場で待機する事になった。
──*──*──*── 平安京
──*──*──*── 井戸周辺
1体のキノコンが井戸の中へ飛び込んでから約1時間後、井戸の蓋を持ったキノコンが井戸の近くに転移召喚された。
キノコン:V
「 御待たせエリ!
井戸の蓋を届けに来たエリ! 」
キノコン:W
「 待ってましたエリ!
早く井戸の口に蓋をするエリ 」
キノコン:X
「 これで妖魔を止めれるエリ 」
キノコン達は届いた蓋を井戸の上に乗せて、井戸の口を塞ぐ。
近くに待機していた陰陽師達が井戸へ駆け寄り、直ぐに結界を張りに掛かる。
井戸の蓋が開かないようにと、陰陽師達の手で蓋の上には重石が乗せられた。
各井戸でも同様に井戸の口は、蓋で塞がれて陰陽師達に結界を張られた。
蓋の上に乗せられた重石には、陰陽師達が法力を込めた札が貼られ、一先ず京の都内に妖魔が現れる事は無くなった。
陰陽師達は妖魔の脅威が無くなり、一段落が着いてホッと胸を撫で下ろし安堵するが、これからが大変だった。
怪我人の治療はキノコン達がしてくれるが、死者に対しては自分達が対処する必要があったからだ。
キノコン達が現れてくれたお蔭もあり、被害は最小限で済んだものの、死者が出なかった訳ではなかったからだ。
キノコン達が現れる前には妖魔の犠牲者が多く出たし、妖魔の出現にパニクって対処の出来なかった陰陽師達の命も多く散ったからだ。
妖魔によって多くの建物も壊されており、1から建て直す必要もあった。
住む場所を失った民達は暫くの間、陰陽院や寺子屋の敷地内で避難生活を送る事になるのは明白だった。




