⭕ 囲碁りまっしょい 2
セロと弓弦さんが向かい合って何かを話しているみたいだけど、オレには何を話してるのか内容は全く入って来ない。
オレは碁盤の上に置かれている黒と白の碁石を見ているけど、やっぱり何処に赤石を置けば “ 神の一手 ” とやらになるのか全く以て検討が付かない。
女装した弓弦さんの花魁姿は何が何でも是が非でも見たい!!
だから、間違えたくないのに…………無理だぁ~~~~!!!!
何処が “ 幻の一手 ” で “ 逆転の一手 ” で “ 神の一手 ” なのか、分から~~~~~~んっ!!
えぇ~~~~い、ままよ!!
考えたって分からないんだから、考えるだけ無駄だ!!
此処は直感で選ぶんだぁ!!
マオ
「 ──オレが選んだ、最良の一手は──此処だぁ!! 」
オレは自分の直感を信じて赤石を “ とある箇所 ” へ置いた。
マオ
「 ──どうだよ、セロ!
オレの選んだ一手は! 」
セロフィート
「 マオ──、流石はワタシだけのマオです♪ 」
マオ
「 それじゃあ── 」
セロフィート
「 全然違います。
マオはワタシの期待を裏切りませんね♪ 」
マオ
「 違うのかよ!!
紛らわしい言い方するなよな!
じゃあ、何処に置いたら良かったんだよ? 」
セロフィート
「 知りたいです? 」
マオ
「 セロが言い出したんだろ?
──で、何処なんだよ?
弓弦さんも知りたがってるし、教えてくれても良いだろ? 」
セロフィート
「 この碁盤上の “ 神の一手 ” は──、此処です 」
セロはオレが置いた赤石を1つ後ろにズラした。
セロフィート
「 非常に惜しかったですよ、マオ。
この様なミスはプロ棋士も良くします。
珍しくないので気にしないでください 」
マオ
「 オレより囲碁を覚えたのが遅いペーペーのセロが、プロ棋士の何を分かるってんだよ~~。
いい加減な事を言うなよな! 」
厳蒔弓弦
「 ──そうか!
確かに此処へ打つと対局の流れが一気に変わる!
こんな奇蹟的な一手が碁盤上にある事に気付けなかったとは……。
私も未々なのだな… 」
セロフィート
「 この一手は黒石の起爆剤となります。
この一手を上手く生かす事が出来れば、黒石は白石に逆転する事も可能です 」
マオ
「 えと……可能って事はさ、絶対に勝てる訳じゃないのか?
“ 神の一手 ” って言うぐらいだから凄い一手なんだろ? 」
セロフィート
「 確かに “ 神の一手 ” は、“ 奇蹟の一手 ” と言われてもおかしくない凄い一手です。
ですが、折角の一手も生かせなければ意味は無いです。
貴重な一手を無駄に殺さず生かせる棋士だけが、碁盤上を征し、勝利を勝ち取る事が出来ます。
結局は棋士の技量が勝敗を決めるのです 」
マオ
「 棋士の技量…… 」
セロフィート
「 見聞を広め、より多くの棋士と出会い、視野を広げ、より多くの対局を経験し、勝利も敗北も己の糧とし、技術を磨きながら成長の歩みを止めぬ事です。
死ぬまで棋士であり、死ぬまで高見を目指す為の修行なのです 」
マオ
「 セロ……。
囲碁を初めたばかりのくせにぃ…… 」
セロフィート
「 おや、違いました?
数多く打てば良いという訳では無いですよ。
弱い相手と打つより、強い相手と打ち合い切磋琢磨しなければ、成長は出来ません。
敗北から学び、成長する事です。
敗北は次へ進む為の糧となります。
勝負に無駄な敗北等ないです。
マオ──、勝負に負ける事は恥ではないですよ。
どんどん負けて、どんどん学び、成長しましょう 」
マオ
「 勝てない前提で話を進めるなよ!
オレには “ 勝てない ” って言うんだな! 」
セロフィート
「 そんな事は言ってませんよ? 」
マオ
「 疑問系で答えるなぁ!! 」
厳蒔弓弦
「 セロ──、全ての対局には “ 神の一手が隠れている ” と言っていたな。
“ 神の一手は意外性である “ とも… 」
セロフィート
「 確かに言いました 」
厳蒔弓弦
「 私が師匠と打っていた対局にも私が気付けなかっただけで、 “ 神の一手 ” は隠れていたのだな…… 」
セロフィート
「 弓弦さんとお師匠さんの対局を見ていないので分かりませんけど、隠れていた筈です。
覚えている対局を再現する事が出来るなら、ワタシが好機となる最善の一手を教えましょう 」
厳蒔弓弦
「 それは助かる!
師匠と碁を打てないが対局の見直しを出来るように書き残しているんだ 」
セロフィート
「 弓弦さんは、お師匠さんに勝てた事はあります? 」
厳蒔弓弦
「 いや……、1度も無い。
師匠はかなり強いんだ。
五行軍の中で師匠に囲碁で勝てる人は居なかった筈だ 」
セロフィート
「 弓弦さんは十分に強いですよ。
ワタシ相手に此処まで攻めれる実力を持っています。
棋士として活躍も出来るでしょう。
弓弦さんの目標は、囲碁を教えてくれたお師匠さんに囲碁の勝負で勝つ事です? 」
厳蒔弓弦
「 ……勝てる可能性が有るなら勝ちたいと思っている。
然し……、囲碁を打てる退魔師は居らず、囲碁を打てる陰陽師は陰陽院に居る者だけだ。
五行軍を退団してからは、碁を打つ機会も減ったから、当時よりも腕は落ちてまっている筈だ… 」
セロフィート
「 それでも弓弦さんは強いです。
囲碁の相手ならワタシがしましょう。
直ぐに当時の感覚を取り戻せますよ。
更に腕も上がります 」
厳蒔弓弦
「 有り難う、セロ 」
セロフィート
「 弓弦さんは、マオの恩人です。
これぐらい大した事ではないです 」
マオ
「 セロ、この赤石をどう生かしたら黒石は逆転して白石に勝てるんだ? 」
セロフィート
「 では、神の一手である赤石を生かした対局をマオに見せましょう。
弓弦さん、マオに分かるよう、今から黄石を使って打ってください 」
セロは残りの黒石の色を黄石に変えてしまった。
弓弦さんは赤石を生かした打ち方をして、セロに勝てるのかな?
オレはセロと弓弦さんの対局を見ているだけなのにドキドキして仕方無い。
弓弦さんは、セロに大逆転を出来るのかな??
弓弦さん、頑張れ!!
◎ 訂正しました。
意味はないです ─→ 意味はないです。




