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✒ 囲碁りまっしょい 1

◎ サブタイトルを変更しました。

  遊廓亭で合格祝い 4 ─→ 囲碁りまっしょい 1


 御馳走を鱈腹食べたあとは、づるさんにお願いして、セロに囲碁を教えてもらった。

 オレと違ってセロは物覚えがいからぐに囲碁のルールを覚えてしまった。


 今は、づるさんとセロが真剣勝負をしている対局中だ。

 碁盤を見てもオレには黒と白──、どっちが優勢で劣勢なのかまったく分からない。

 ちなみに黒い碁石がづるさんで、白い碁石はセロだ。


 づるさんはことさらむずかしい顔をして碁盤を見詰めている。

 に碁石を打とうか考えてるのかな??

 いてる箇所が沢山あるから、碁石を置く場所には困らない筈なのに、考える必要があるんだ??






厳蒔弓弦

「( ──つ、強い!

   予想外の強さだ!

   私に囲碁を教えてくれた師匠も強いが──、セロは師匠をも凌駕する強さではないか!

   師匠に1局も勝てた事のない私には──、この対局に勝つ事は出来ない……。

   打てる箇所はある。

   あるにはあるが……に打っても負ける……。

   これは詰みだ……。

   投了するしかないか… )」


マオ

「 ──づるさん、なんで碁石を置かないの?

  置ける所、沢山あるよ 」


 短い時間で囲碁について教えはしたが、覚え立てのマオには碁石を打てない箇所は分からないようだ。

 たしかに囲碁を覚え立てだった頃の私も、マオのように「 碁盤にはだ打てる箇所が沢山あるのに打たないのか 」と疑問に思った事があったな。

 なつかしい……。


セロフィート

「 ふむ?

  マオならに打ちます? 」


マオ

「 オレ?

  いてる所に決まってるだろ?

  へんに沢山いてるし、置きたい放題じゃんか 」  


セロフィート

「 マオらしいですね。

  残念ですけど、一帯に碁石を打っても勝てません 」


マオ

なんでだ? 」


セロフィート

「 貴重な一手を無駄にするからです 」


マオ

「 貴重な一手??

  なぁ、セロ──、黒石をに置いたら白石に勝てるんだ? 」


厳蒔弓弦

「 は──?

  マオ、この対局では黒が白に勝てる手は無いんだ。

  に打っても無── 」


セロフィート

「 あります 」


厳蒔弓弦

「 ──は?

  この碁盤上に黒が白に勝てる一手があると言うのか?!

  有り得ない!! 」


セロフィート

「 “ 有り得ない ” とは可能性をみずから潰す諦めの言葉です。

  どのような対局にも不可能はないです。

  投了を決意し、勝利する事を諦め放棄した者にはけっして見えない一手は、碁盤上に必ずあります。

  隠れている一手に気付けないなら、その程度なだけです 」


マオ

もっともらしい事を言ってるけど、セロもオレと同じ初心者だろが!

  づるさんはセロとオレよりも経験者なんだぞ。

  セロには “ 隠れてる一手 ” が見えてるのか? 」


セロフィート

「 見えてますよ。

  さて──、マオ。

  この赤石を使い、この碁盤上に隠れている “ まぼろしの一手 ” を見付けてください。

  黒を白に勝たせる切っ掛けをむ唯一無二の逆転の一手を── 」


マオ

「 逆転の一手……。

  ──分かるかよ!!

  さっきづるさんに囲碁の打ち方を教えてもらったペーペーのオレに分かるなら、誰も苦労しないだろ~~ 」


セロフィート

「 神の一手とは、意外にも囲碁に無知な人が見付けてしまうものです。

  囲碁を周知している者が見落としてしまいがちな意外性が “ 神の一手 ” と呼ばれます 」


マオ

「 意外性??

  この碁盤の上に意外性な場所なんか有るのかよ? 」


セロフィート

「 勝負を諦め、勝利に背を向け折れてしまったづるさんは気付けなくても、囲碁初心者で慣れていない曇りないマオになら──見付けられる “ かも ” 知れません 」


マオ

「 『 かも 』を強調するなよ~~。

  …………プレッシャー掛けるなよ…。

  う~~~ん…………やっぱりに置いたらいのか分からないよ… 」


厳蒔弓弦

「 マオ、分からないなりにも赤石を置いてみたらどうだ?

  逆転の一手となる “ 神の一手 ” がこの碁盤上にあるのなら、私は知りたい 」


マオ

づるさん迄プレッシャーを掛けないでよ~~ 」


厳蒔弓弦

「 …………仮にマオが “ 神の一手 ” を見付ける事が出来たなら──、私が花魁の格好をしてマオの『 あ~れ~~ 』とやらに付き合ってもい 」


マオ

「 えっ……づるさんが花魁の格好をしてくれるの??

  夢の『 あ~~れぇ~~~~お代官様ぁ~~ 』を再現出来るって事だよね! 」


厳蒔弓弦

「 そ……そうだな…。

  そう……なるな……(////)

  恥ずかしいし、出来るならしたくはないが──、神の一手を見られるなら、私は恥を捨てよう!! 」


マオ

「 ゆ…づるさんっ!!

  オレの細やかな夢を実現させる為に──、づるさんが女装を──っ!!

  づるさん──、オレ、弓弦さんの花魁姿を見たいから、気合を入れて “ 神の一手 ” を見付けてみせるよ!! 」


厳蒔弓弦

「 そ、そうか…… 」


 あれ?

 づるさんの笑顔が引き吊ってるように見えるんだけど……、きっと気の所為だよな?

 やる気のづるさんをガッカリさせたくないし、神の一手に赤石で打つぞ!!






セロフィート

「 花魁の衣装はワタシが用意します。

  花魁姿のづるさんは、さぞかし美人さんになるでしょうね。

  男性に見られたら、大変な事態になるかも知れませんよ 」


厳蒔弓弦

めてくれ……。

  想像もしたくない… 」


セロフィート

「 おや?

  づるさんは花魁がなにをするのか詳しく知っているようですね? 」


厳蒔弓弦

「 ………………はなしで聞いただけだ…(////)

  私は利用したした事は無いぞ!(////)」


セロフィート

「 健全な成人男性のあかしではないですか。

  恥ずかしがる事も隠す事もないでしょうに。

  女遊びは男の甲斐性なのでしょう? 」


厳蒔弓弦

「 そんな事は無いと思うが… 」


セロフィート

とこ中で女性をよろこばせたかずが男の勲章になるのではないです? 」


厳蒔弓弦

「 ──な゛っ(////)

  セロ──、マオの前で言わなくても── 」


セロフィート

「 聞こえてません。

  マオは考え込んでますから 」


厳蒔弓弦

「 ……………… 」


セロフィート

「 マオは余程、着物の帯を引っ張り花魁姿のづるさんをクルクルさせたいみたいです 」


厳蒔弓弦

「 ………………今からでも取り消せないだろうか…… 」


セロフィート

「 ふふふ。

  自分で発言した言葉には最後まで責任を持ってください。

  ワタシもづるさんの花魁姿を一目みたいです♪ 」


厳蒔弓弦

「 …………口は災いの元とはく言ったものだな… 」


セロフィート

「 ふふふ。

  マオがに赤石を置くのか──。

  一緒に見届けましょう。

  づるさんの女装が懸かっている大事な一手でもあります 」


厳蒔弓弦

「 そ…そうだな…… 」


 私は “ 神の一手 ” を見たいが為に、とんでもない事を口走ってしまった。

 後悔先に立たずだな……。

 胃がキリキリと痛んで仕方無い…。

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