✒ 陰陽師になる訓練 5
セロが古代魔法を発動させて、的を空中に浮かせて飛ばしている。
セロフィート
「 マオ、準備が出来ました。
何時でも良いです 」
マオ
「 うん 」
厳蒔弓弦
「 4項目目の試験には点数が付けられる採点審査のようだな 」
マオ
「 採点審査ぁ? 」
厳蒔弓弦
「 使われる的は弓道にも使われている的に似ている。
的の中心から順に金10点,緑7点,赤5点,白3点となる。
甲評価は200点満点だ。
乙評価は150点 ~ 199点,丙評価は100点 ~ 149点,丁評価は50点 ~ 99点,辛評価は1点 ~ 49点となっている。
的を外して当たらなければ当然0点となる──と説明書きがされているな 」
マオ
「 難しそうだけど──、セロなら余裕だよな! 」
セロフィート
「 色付きの的を使うのは、式神に狙い易くする配慮でしょうね 」
マオ
「 よし、やってみよう!
セロ──、20個の的の中心をT1で撃ち抜くんだ! 」
セロフィート
「 はいはい。
仰せのままに── 」
セロは宙に20個の雷ボールを出現させる。
素早く複雑に飛び回っている的に向かって、ビー玉サイズの雷ボールを放つ。
どの雷ボールも的に命中して、的を撃ち抜いたみたいだ!
マオ
「 やったぁ!!
セロ、命中したよ!
全部で何点かな? 」
セロフィート
「 200点に決まってます。
ワタシは外したりしません 」
厳蒔弓弦
「 的を確認してみよう 」
マオ
「 うん 」
セロが飛び回っている的を1ヵ所に集めてくれた。
弓弦さんと一緒に撃ち抜かれた的を確認する。
セロの言う通り、どの的も的確に中心が綺麗に撃ち抜かれている。
マオ
「 凄いよ……。
金色のど真ん中に命中してる!!
これなら合格点、間違いなしだよ! 」
厳蒔弓弦
「 次は──、陰陽師試験のメインとも言われる式神バトルだ 」
マオ
「 いよいよだな!
1項目 ~ 4項目までは順調に甲評価を貰える出来だと思う。
最後の5項目目──、式神バトル。
セロは雷属性で戦う事にするんだよな?
放電した電撃で感電させて式神の動きを止めるのか? 」
セロフィート
「 そうなりますね。
あまり強い電撃を放つと、衝撃に耐えきれず式神が消滅してしまう恐れがあります 」
マオ
「 加減の調整が大事になるんだな 」
セロフィート
「 弓弦さん、仮に使役している式神が消滅すると使役者はどうなります? 」
厳蒔弓弦
「 そうだな……。
式神が消滅すると、式神との契約は強制解除されるそうだ。
式神と使役者が合意で解除する契約と違う為、消滅した式神が今まで受けて来たダメージが纏めて使役者へ返って来る事になるらしい。
呪詛返しと似たような現象が身上に起こるという事だな。
相当なダメージを受ける事になり、床に伏せる事になるそうだ。
酷い場合は、その場で絶命する陰陽師も居るらしいが…… 」
マオ
「 おっかなぁ~~。
式神が受けて来たダメージを使役者だった術者が受けるって……。
それって、式神と契約を交わして使役した時からの──って事かな? 」
厳蒔弓弦
「 そうなるだろうな。
五行軍に居た時に組んでいた陰陽師から聞いた話だから、嘘ではないと思う。
式神は気力の膜で体を覆って、使役者以外にも姿を見えるようにしている──とも言っていた。
式神を覆っている気力の膜は、式神が受けるダメージを半減させる効果がある──とも言っていたな。
気力とは別に霊気を用いて、法力を使うそうだ。
霊気が切れると式神は法力が使えなくなるらしい 」
マオ
「 気力と霊気……。
知らない単語が増えたぁ~~!! 」
厳蒔弓弦
「 そうだな…。
まぁ、一時的にではあるが陰陽師になるんだ。
知っていても損はない事だと思うぞ 」
セロフィート
「 マオ、最後まで聞きましょう 」
マオ
「 う、うん…… 」
厳蒔弓弦
「 霊気を使い果たした式神は、気力を使い法力を使う──と言っていたな。
気力が尽きると式神は自動的に姿を消す──とも言っていた。
使役者は式神が霊気と気力を使い果たさないように注意する必要がある──とも言っていた。
式神の気力も霊気も使役者が何もしなくても24時間あれば全回復するそうだ。
式神の霊気量と気力量は式神に依って違うらしい。
契約した使役者の法力が強力ならば、霊気量と気力量も増えるそうだ 」
セロフィート
「 霊気と気力を使わせる迄、法力を消耗させる必要がありそうですね 」
マオ
「 いや、それしたら駄目だろ… 」
厳蒔弓弦
「 式神が “ 消滅する ” という事は、気力と霊気が分散して消えてしまう事を意味するそうだ。
1度、分散してしまった気力と霊気は2度と集まらない。
消滅した式神とは2度と契約は出来ないそうだ 」
マオ
「 消滅した式神は何処へ行くんだろう? 」
セロフィート
「 消滅するならば輪廻の流れへ還るのではないです?
2度と会えないのでしょう? 」
マオ
「 気力の効果で受けるダメージが半減する──って事だけど、物理的な攻撃と法術の攻撃の両方なのかな? 」
厳蒔弓弦
「 そう聞いている。
セロの魔法は強力だから式神を覆っている気力の膜も突き破り、式神に大ダメージを与えてしまうのだろうな 」
マオ
「 セロ……加減は出来そうか?
オレが陰陽師になれるかは、“ セロの技量に掛かってる ” と言っても過言ではないんだ! 」
セロフィート
「 相手の式神を消滅させてはいけません? 」
厳蒔弓弦
「 駄目だな。
式神を消滅させてしまうと、捕らえられて裁かれる事になるだろう。
事件扱いになるからな 」
マオ
「 えっ……そうなの??
陰陽師の式神を消滅したら犯罪になるんだ?
マジかよ…。
セロ──、絶対に式神を消滅させないでくれよ!! 」
セロフィート
「 はいはい。
努力するとします 」
マオ
「 不安しかないっ!! 」
セロ、大丈夫かなぁ……。
セロなら失敗なんてしないと思うけど。
式神役を担うセロに掛かってるって、自覚があるのかな……。




