⭕ 陰陽師になる訓練 1
──*──*──*── 訓練場・出入口
陰陽師:堡畄川
「 此処が訓練場だよ。
試験場と同じ広さだから、試験を再現た訓練が出来るようになっているんだ。
式神バトルをする迄は、白線は無視して良いからね 」
マオ:厳蒔磨絽
「 …………広いんだ…。
陰陽師試験では式神バトル以外に何をするんですか? 」
陰陽師:堡畄川
「 先ずは使役した式神のアピールかな。
何れだけ使役が出来ているか、審査官と帝の前で式神を操るんだ。
“ 操る ” って言っても使役者は指示や命令を出すだけだよ。
試験者の言霊の強さを確認するテストだね。
式神も法力を使えるし、法術も使えるから、式神の手綱を確り握れているかの確認もされるよ。
言霊の力を強める,安定させる,調節する訓練をする必要もあるね。
言霊の訓練も此処を使うと良いよ。
訓練場を使うには、受け付けで名簿に記入する事を忘れないで。
名簿に記入したら、訓練場に入れる木券を渡されるから、無くしたり破損させたりしないように注意して 」
マオ:厳蒔磨絽
「 分かりました 」
陰陽師:堡畄川
「 もし、時間があるなら少しでも訓練して行くかい?
僕は付き合えないけど、訓練場にも管理してる陰陽師が居るから声を掛けてみて。
訓練の仕方を教えてくれるよ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 堡畄川さん、色々と有り難う御座います 」
陰陽師:堡畄川
「 確り訓練して、陰陽師試験に合格してね!
応援してるよ~~ 」
陰陽師の堡畄川さんは、笑顔で手を振ると訓練場から離れて行った。
マオ
「 親切な陰陽師だったね。
此処まで親切にしてもらえるとは思わなかったよ 」
セロフィート
「 裏はあるでしょうけど、今は堡畄川さんの厚意に甘えるとしましょう 」
マオ
「 そうだな。
それにしても弓弦さんと兄弟にするなんて、良く咄嗟に思い付いたよな 」
セロフィート
「 親子は無理がありますからね。
夫婦にした方が良かったです? 」
マオ
「 男同士だぞ!
それこそ無理があるじゃんか!
オレが女を演じるなんて出来ないって事、分かってるだろが! 」
セロフィート
「 ボロを出さないように演じるマオは、見ていて面白いと思いますけど? 」
マオ
「 セロだけな! 」
厳蒔弓弦
「 夕食迄は時間もある。
訓練場を借りて訓練をしてみてはどうだ? 」
マオ
「 うん。
折角だもんな。
受け付けで名簿に名前を書くんだよね? 」
…………一寸待て。
オレは、この≪ 島国 ≫の文字を知らないんだ。
どんな文字を書いたら良いんだよ…。
セロフィート
「 弓弦さん、マオの代わりに書いてください。
マオは未だ文字を覚えてませんから 」
厳蒔弓弦
「 あぁ、分かった。
マオは寺子屋で読み書きも学んだ方が良いな 」
弓弦さんが、名簿にオレの名前を書いてくれた。
名簿を確認した受付人をしている陰陽師が木券を2枚貸し出してくれる。
弓弦さんとオレの分だ。
セロは式神だから必要ないらしい。
厳蒔弓弦
「 これで訓練場に入れるな 」
受付人:陰陽師
「 訓練場に居る管理者に事情を話せば、陰陽師試験のメニュー表を貰えますよ。
それを見て苦手な項目に取り組んで上達を目指してください 」
マオ
「 有り難う! 」
受付人の陰陽師に御礼を言って、訓練場の中へ入った。
──*──*──*── 訓練場
マオ
「 えぇと……訓練場の管理者って何処に居るのかな? 」
セロフィート
「 彼ではないです?
他の陰陽師と色が違います 」
マオ
「 じゃあ、あの人に聞いてみよっかな 」
オレは派手な山吹色の狩衣を着ている陰陽師に声を掛けてみる事にした。
マオ:厳蒔磨絽
「 すみませ~~ん!
陰陽師試験を受ける為の訓練するなら此処を使うように言われて来ました。
『 陰陽師試験のメニュー表も貰える 』って言われて── 」
陰陽師
「 あ゛?
なんだ、お前は!
馴れ馴れしい奴だな 」
うわっ、感じの悪い奴だ。
未だ若いじゃん。
訓練場の管理人……には見えないかも?
マオ:厳蒔磨絽
「 えと、訓練場の管理人を探してて。
『 陰陽師試験のメニュー表を貰える 』って言われたから 」
陰陽師
「 はぁ?
お前、本当に礼儀がなってないな!
先ずは名乗れよ! 」
マオ:厳蒔磨絽
「 オレは厳蒔磨絽だよ。
此方はオレの兄さんで厳蒔弓弦。
此方がオレの式神のセロだ。
──これで良いかな? 」
陰陽師
「 お前の兄は陰陽師っぽくないな 」
マオ:厳蒔磨絽
「 兄さんは退魔師だよ 」
陰陽師
「 退魔師だって!?
此処の寺子屋は退魔師なんかを訓練場に入れるのか!! 」
マオ:厳蒔磨絽
「 は?
『 退魔師なんか 』だって??
聞き捨てならないんだけど! 」
陰陽師
「 気分が悪い!
退魔師と同じ空気なんて吸えるか! 」
マオ:厳蒔磨絽
「 はぁ?!
お前っ──、今のは言ったら駄目な言葉だぞ! 」
陰陽師
「 煩いっ!!
吐き気がするっ!! 」
マオ:厳蒔磨絽
「 なっ── 」
陰陽師
「 フン!
陰陽師試験を受けるって?
なら、ライバルだな!
まぁ、精々頑張って訓練に励めよ。
陰陽師試験を合格するのはオレ様だ!! 」
生意気で口の悪いガキは言いたい事だけ言うと、オレに向かってビシッと人差し指を差しながら、捨て台詞を吐いた。
名乗りもせずに怒った様子で訓練場から出て行った。
マオ
「 何だよ、彼奴は?
人に名乗らせといて、名乗らずに行っちゃったよ… 」
厳蒔弓弦
「 どうやら陰陽師試験に備えて訓練をしていたようだな 」
マオ
「 邪魔しちゃったって事かな? 」
セロフィート
「 邪魔者が居なくなって広々と使えますね 」
マオ
「 まぁな……。
それにしても退魔師を前にして、あの態度は何だよ!
失礼にも程があるだろ? 」
厳蒔弓弦
「 あれが一般的な陰陽師の態度だ。
気にする事はない 」
マオ
「 あれが?
あれが退魔師に対する陰陽師の普通の態度なの?
辛辣ぅ…… 」
厳蒔弓弦
「 マオの事をライバルだと言っていたが、気にする事はない。
陰陽師試験は他試験者と会わないよう、日にちをズラして個別に行われるそうだからな 」
マオ
「 そうなんだ? 」
厳蒔弓弦
「 試験の仕方が昔と変わってなければだが… 」
マオ
「 そうだよね……。
会いたくない奴だし、試験は個別が良いな… 」
セロフィート
「 マオ、管理人の陰陽師を探しましょう 」
マオ
「 そだな。
それっぽい人は何処かな? 」
予定外の嫌な思いをしつつ、オレはセロと弓弦さんと一緒に訓練場内で管理人を探した。




