✒ 天狗山樹海 2
──*──*──*── 1ヵ月後
天狗山樹海へ入ってから1ヵ月を迎えた。
1ヵ月間も樹海の中を歩いて移動している。
もう、ウンザリだよ!!
この天狗山樹海を抜けたら≪ 平安京 ≫迄は歩いて10日で到着する事が出来るらしいけど、ちゃんと正しい方角へ進めているのかが心配だ。
セロが方角魔法を発動してくれているから矢印を目印に進んで行けば良いだけなんだけど……。
別にセロの古代魔法の正確さを疑ってる訳じゃないんだけど、1ヵ月間の樹海生活でオレの心は大分荒んでしまったようだ。
はぁ…………早く樹海を出たい。
マオ
「 セロぉ~~~。
矢印の色が全然変わらないけど、ちゃんと≪ 平安京 ≫を目指して進めてるんだよな?
間違いないよな?? 」
オレは同じ事を1時間毎に何度も確認するようになっていた。
オレの心は病んでいるんだ。
セロフィート
「 マオ…。
君は壊れたラジオのように同じ事を聞きますね。
飽きません? 」
マオ
「 オレはぁっ、不安なんだよ!
右も左も前も後ろも森だらけで、変わらない景色ばっかり見てて、気がどうにかなりそうなんだよ!
セロには分からないのかよ! 」
セロフィート
「 分かると思います? 」
マオ
「 分かる努力をしてほしいんだけど! 」
セロフィート
「 人形は努力しません 」
マオ
「 少しは、しろぉ!! 」
セロフィート
「 はいはい。
楽しいですね、マオ♪ 」
マオ
「 オレは楽しくないんだよ! 」
セロに八つ当たりしても無駄だ。
嫌味も通じないもんな!
弓弦さんは歩きながら玉に法力を込める作業に集中しているから、話し掛けるなんて出来ないしなぁ。
ずっと景色の変わらない森の中を歩いていて、弓弦さんは気が滅入ったりしないのかな?
厳しい訓練や修行を耐え抜いて退魔師になれた故の余裕なのか?
セロフィート
「 今夜は此処で野営します 」
マオ
「 オレ……もう寝たい…… 」
セロフィート
「 マオ、寝る前にテントを張って、夕食を作ってください 」
マオ
「 鬼ぃ!!
セロがテントを張れば良いだろが!!
魔法でパッと出して、バッと張れよぉ!! 」
セロフィート
「 マオ、テント張りはキャンプの醍醐味です。
ワタシと弓弦さんの分もファイトしてください♪ 」
マオ
「 鬼畜大魔王めぇ~~~~ 」
セロフィート
「 はて……誰の事です? 」
セロは魔法でテントを出す気も無ければ、テントを張る気も無いらしい。
酷過ぎるぅ!!
人一倍頑張ってるオレを労ってほしい!
仕方無いからオレは魔法の鞄から野営で使うキャンプ用品を入れている魔法の袋を取り出す。
魔法の袋から折り畳んであるテントを出したら、平地に置いて広げた。
テントが飛んで行かないように土魔法を使って地面に固定する。
土魔法で調理するのに必要な簡易竈,簡易調理台,簡易流し台を序でに作る。
魔法の鞄の中から温めたら食べられる料理が入っている魔法の袋を出して、料理を取り出す。
1から作らなくても良いように前以て作ってあるんだ。
今晩の料理は野菜ゴロゴロのカレー風味のポトフーにしようと思う。
拘りの肉厚ベーコンを使ってコトコト煮込んである。
付け合わせは五穀米パンを使って、セロが好きなサンドイッチを作る。
角切りしたフレッシュなトマトを溶き卵と一緒に炒めたふわっトロぉ~~なオムレツを五穀米パンに挟んだら出来上がり!
黄金の卵の中に濃厚でクリーミーな生クリームを入れて混ぜ合わせた溶き卵を使った。
出来上がった料理を木製の食器に盛り付けたら完成だ。
見た目も大事だから、気合を入れて盛り付けてみた。
マオ
「 ──よし、出来た!
セロ,弓弦さん、料理が出来たよ! 」
夕食の料理を食べ終わった後は、セロが皮を剥いて切ってくれた妖果をデザートとして食べる。
見た目は桃に似ているけど、歯応えは梨みたいにシャキシャキ,シャクシャクしている。
瑞々しくて、触感も悪くない。
味はスイカに似ている。
うん…………不味くはない。
妖果だって知らなかったら、幾らでも食べれてしまうだろうな。
セロは妖果を使った料理やスイーツを作ろうとしているみたいだ。
どうやら果物として食べれる妖果は〈 テフ 〉で構成する事は出来るみたいだ。
何
オレには構成が出来る出来ないの仕組みは分からないけど、またガッポリでもする気なんだろう。
因
妖怪側からすれば、オレ達は侵入者で強奪者だから敵だと認識して、排除する為に襲い掛かって来
まぁな──、母なる妖
成熟して地面に落ちたら妖
成熟する前に妖
排除する為に襲って来
妖怪には妖怪なりの正義があるんだよな。
そう考えると、オレ達側に正義はあるのかな??
…………いや、無いか。
うん、正義って言う程の正義なんて欠片も無いな。
≪ 平安京 ≫に早く着けるように、近道をする為に樹海の中を移動する事が目的だしな。
この目的を “ 正義 ” とは言わないだろう。
そう考えると、オレ達が如
改める気も更
後片付けはセロが古代
頼むからぁ、準備も古代
セロは弓
セロと弓
手強い睡魔の誘惑には勝てないもんな。




