✒ 平安京へ行こう
──*──*──*── 2日後
キャンプ地に使った場所を片付けて、弓弦さんが産まれ育った故郷──≪ さちまの里 ≫を出発する事になった。
今の弓弦さんの故郷は保護してくれた五行軍の拠点になっている≪ 里 ≫になる訳だけど、弓弦さんにとっての心の故郷は子供時代の楽しい思い出が詰まった≪ さちまの里 ≫みたいだ。
≪ さちまの里 ≫へ自力で到達が出来るのは、法力を扱える弓弦さんぐらいらしい。
弓弦さんも法力が使えない弓使いだったら≪ さちまの里 ≫を諦めていたそうだ。
それだけ法力の恩恵ってのは凄いんだな。
弓弦さんと一緒に保護された子供達が全員、退魔師を志して目指した訳ではないらしい。
退魔師を目指して努力をして頑張っても、退魔師試験を受けても合格が出来なかった人も居たし、役小角山での訓練や修行中に亡くなった人も居て、簡単になれる職業ではないらしい。
心半ばで退魔師になる事を諦めて、後方支援で雑務をこなす役として五行軍を後ろから支える為に頑張る人達も大勢居るんだとか。
生死と背中合わせで訓練や修行をして、退魔師試験を合格した弓弦さんは、五行軍の中では憧れの的的存在だったのかも知れない。
五行軍の中で退魔師の存在はエリートなんじゃないかな。
退魔師として、強者達と肩を並べる弓弦さんは、凄い人なんだろう。
単体にしか使えなくても7属性もの強力な法力だって使えちゃうわけだしな。
≪ さちまの里 ≫をキノコン達に丸投げ──いや、任せて出発する際には、キノコン達が盛大に見送ってくれた。
皆号泣して、セロと弓弦さんとの別れを悲しんで惜しんでいた。
ねぇ、オレは?
オレも居るんだけどな!
オレとの別れを悲しんで惜しんでくれるキノコンが1体も居なかったのは何でかな??
オレ、セロと1番付き合いが長いんだけどな!!
まぁ、泣いてるキノコン達が可愛いから別に…………良いけど(////)
色々と腑に落ちない気持ちを抱きつつ、オレはセロと弓弦さんと一緒に≪ さちまの里 ≫を後にして、妖魔の森へ入った。
──*──*──*── 妖魔の森
遭遇する妖魔と戦いながら森を抜けて行く。
妖魔と戦わなければ、もっと早く森を下りれるんだけど、妖魔の出現率,遭遇率,逃走率を変える事はセロにも出来ないみたいだ。
何故か分からないけど、詩歌の力は戦闘時にしか効果が現れないみたいだ。
1体残らず倒せてしまうから、逃走率を上げる必要はないけど、出現数や遭遇数を減らせたら、戦闘も楽になると思う。
何よりもオレの負担が減る!!
厳蒔弓弦
「 漸く森を抜けるな 」
マオ
「 やっとかぁ~~!
妖魔地獄から解放されるんだな! 」
セロフィート
「 マオ、森を抜けても暫くは妖魔の数も遭遇率も大して変わりません。
≪ 平安京 ≫へ到着する迄は妖魔相手は続きますよ 」
マオ
「 分かってるよ!
はぁ……。
早くオレ専用の魔具が欲しいよ…。
──弓弦さん、魔具って何を材料にして作られてるのか知ってる? 」
厳蒔弓弦
「 魔具の材料か……。
五行軍では “ 妖樹 ” の枝や種が使われていると教わったが… 」
マオ
「 妖樹??
何それ? 」
厳蒔弓弦
「 3月の下旬 ~ 4月の中旬中に淡い桃色の花を咲かせる樹だ。
花の咲いている期間は周辺に甘い香りが漂っている 」
マオ
「 淡い桃色の花か~。
桃の花とか桜の花かな? 」
セロフィート
「 甘い香りは漂いませんから、似ているだけでしょう 」
マオ
「 その妖樹の枝や種を手に入れたら魔具が作れるんだ? 」
厳蒔弓弦
「 作り方迄は分からないがな 」
マオ
「 妖樹の枝と種か…。
セロぉ~~〈 テフ 〉で構成してよ!
存在してるんだから、出来るだろ? 」
セロフィート
「 試してみましょう。
魔
拉致します? 」
マオ
「 拉致は犯罪だろ!
魅力的な案だけど──、駄目だ!
却下っ!! 」
セロフィート
「 はいはい。
…………………………。
どうやら、妖
マオ
「 えっ??
何
セロフィート
「 さて、何
理由はワタシにも分かりません 」
マオ
「 じゃあ、転送は?
転送魔法で妖
セロフィート
「 はいはい。
…………………………。
どうやら転送も出来ないようです 」
マオ
「 は?
転送も出来ない??
何
セロフィート
「 ワタシが知りたいぐらいです。
妖
マオ
「 諦めるのが早過ぎるだろぉ!!
〈 テ
セロフィート
「 ワタシはマオ程
退魔師になれば魔
お楽しみにしましょう 」
マオ
「 ………………分かったよ…。
妖
厳蒔弓弦
「 ………………。
( 魔
とんでもない事をサラッと言うのだな…。
てふでこうせい…とか、てんいとか…良
セロフィート
「( はははっ、マオってチョロいな~♪
存在してるんだから〈 テ
転送も出来るけど、ガッカリして落胆しているマオは可愛いから出来ない事にして正解だったね♪
それにしても “ 妖
確
マオ
「 ──あっ、そう言えば、此
セロフィート
「 吊り橋を〈 テ
渡りましょう 」
マオ
「 ギシギシ鳴ったり、ユラユラ揺れない丈夫な吊り橋を構成してほしいんだけどな! 」
セロフィート
「 スリルは必要でしょう?
落ちはしません。
安心して渡ってください 」
マオ
「 セロって鬼畜だよな… 」
セロフィート
「 誰が鬼畜ですか。
心外です 」
厳蒔弓弦
「 セロの出してくれる吊り橋は丈夫な方だぞ、マオ。
≪ 平安京 ≫へ向かう途中には幾
マオ
「 えっ……そうなの?
吊り橋が他
マジかよ…… 」
セロフィート
「 良
マオ
「 良
弓
厳蒔弓弦
「 それだと最低でも5ヵ月は掛かる。
近道をすれば2ヵ月以内に≪ 平安京 ≫へ到着が出来るぞ 」
マオ
「 近道なんてあるの?
然
厳蒔弓弦
「 妖魔を倒せない者は遠回りをして安全な道から≪ 平安京 ≫を目指すが、セロとマオが居
マオ
「 遠回りをして≪ 平安京 ≫を目指すのが一般的なんだ?
これから何
厳蒔弓弦
「 天狗山
天狗山
妖魔も出るが、妖怪も出るから気を引き締めて挑む必要がある 」
マオ
「 妖怪??
聞いた事のある言葉だけど……妖怪も妖魔みたいに実体が無いの? 」
厳蒔弓弦
「 いや、妖怪は実体があるからマオでも倒せる。
マオの実力なら楽勝だろう。
妖怪は妖
何
マオ
「 妖
………………何
その妖怪ってのウジャウジャ出て来
厳蒔弓弦
「 あぁ、噂では出るらしい。
天狗山
長い年月を掛けて山となり、周辺は樹海となったそうだ。
成熟前の妖
至
マオ
「 食べるんだ…… 」
セロフィート
「 天狗山
面白そうな場所です。
近道しましょう 」
マオ
「 ウキウキするなよ~~ 」
セロは天狗山
弓




