⭕ 謎解きは団子を食べながら 2
弓弦さんの身の上話が聞けて嬉しいな(////)
弓弦さんの話を聞いて気になった事がある。
何が気になったのかって?
それは────。
キノコン
「 御待たせ致しましたエリ。
よもぎ団子ですエリ。
よもぎを団子生地に練り込んで作りましたエリ。
此方は串に刺して炭火焼きしましたエリ。
御賞味くださいませエリ 」
マオ
「 有り難な、キノコン。
炭火焼きか。
香ばしい香りが食欲をそそるね! 」
キノコン
「 有り難う御座いますエリ 」
キノコンが持って来てくれた団子を食べながら、オレは弓弦さんに気になる事を尋ねてみる事にした。
マオ
「 弓弦さんのお姉さん達は、退魔師にならずに結婚したんだよね?
法力を使えないの? 」
厳蒔弓弦
「 姉達からは法力の “ ほ ” の字も聞いた事は無いな。
使っている所を見た事もないし、姉達の子供達が法力を使う所を見た事も無いな。
多分、法力を使えるのは私だけかも知れないな 」
マオ
「 弓弦さんが法力を使える事、お姉さん達には── 」
厳蒔弓弦
「 話してはないな。
予兆が現れて寝込んだ時も姉達には知らせないように師匠と兄弟子に頼んでいたぐらいだ。
唯でさえ身寄りの無い子供達の世話をしていた姉達に心配を掛けたく無くてな…。
可能な限り私は隠して来たわけだが、きちんと隠しきれているのかは今でも分からないな 」
マオ
「 弓弦さん… 」
セロフィート
「 弓弦さんが心配されるように、隠しきれては無いようです 」
マオ
「 『 隠しきれてない 』って何でだよ? 」
セロフィート
「 秘密は本人の意図しない場所で密かに漏れるモノです。
弓弦さんの耳には入らなかっただけで知られていた可能性はあります 」
厳蒔弓弦
「 ……………… 」
マオ
「 でもさ、それだと法力を使える弓弦さんがだよ、五行軍を抜ける時にすんなり退団させたりするかな? 」
セロフィート
「 出戻りする者が多いなら、1度ぐらいは退団を許す事もあるでしょう。
監視を付けて様子見をする方法もありますし 」
厳蒔弓弦
「 監視?
私を監視している者が居ると言うのか? 」
セロフィート
「 可能は有ります。
弓弦さんに心当たりが無いなら、監視は付いて無いと思いますよ 」
マオ
「 セロ…… 」
もしかしてセロは弓弦さんに探りを入れているのかも知れない。
今迄の旅の中で怪しい気配に気付いた事が少なからずでも感じた事が有ったかの有無を────。
厳蒔弓弦
「 …………………………。
気の所為では無かったと言う事か…… 」
マオ
「 弓弦さん?
もしかして……心当たりが有るの? 」
厳蒔弓弦
「 ……………………そうでない事を願っていたのだがな……。
そうか──、私は五行軍を退団した後も見張られていたのか… 」
マオ
「 弓弦さん… 」
厳蒔弓弦
「 然し、私が法力を使える事が理由なのか?
法力ならば陰陽師も使えると言うのに…… 」
セロフィート
「 勿論、法力も有るかも知れませんけど、別の理由も有るかも知れません。
弓弦さんも知らない情報を五行軍は掴んでいるかも知れません 」
マオ
「 弓弦さんが知らない情報?
そんな情報が有るのかよ?
弓弦さんも知らない情報を何処から調達するんだよ? 」
セロフィート
「 居るでしょう。
とっておきの情報源──、生き証人が2名も 」
マオ
「 はぁ?
誰だよ…… 」
厳蒔弓弦
「 ──私の姉達の事だな 」
マオ
「 えっ?
弓弦さんのお姉さん達?
確かに弓弦さんには2人のお姉さんが居るけど…。
お姉さん達が情報源って言うのは…… 」
厳蒔弓弦
「 いや、有り得る事だ。
姉達と私は歳が離れている。
私の知らない両親の事も姉達ならば知っている可能性はある 」
マオ
「 弓弦さんの御両親の馴れ初めとか? 」
厳蒔弓弦
「 私は知らないが、姉達ならば聞いているかも知れないな。
姉達は大人達から馴れ初め話を聞くのが好きだったと思う 」
セロフィート
「 弓弦さんだけが7属性の法力を扱える謎も、御両親の馴れ初めに関係している可能性は有ります。
無いかも知れませんけど 」
マオ
「 御両親の両方が実は法力が使えていた──とか、御両親の片方が法力を使えていた──とか?
法力って抑、遺伝するのかよ? 」
セロフィート
「 法力の事には詳しくないですから、親から遺伝するかは知りません。
素質は親から子供へ遺伝しません。
両親が素質持ちでも素質持ちの子供が産まれる訳ではないです 」
マオ
「 じゃあ、弓弦さんの御両親が法力を使えない場合もあるって事か… 」
セロフィート
「 その可能性も有ります。
弓弦さんが “ 見張られている ” と仮定するなら、弓弦さんも知らない秘密を御両親が抱えていると言えます 」
マオ
「 弓弦さんの両親が抱えている秘密か……。
それって何だろうな? 」
セロの探りで、弓弦さんは自分が何者かの気配に気付いている事は分かった。
尾行者達のターゲットは弓弦さんなのかな…。
弓弦さんが脱退した五行軍が、弓弦さんを見張る為に尾行を……。
だけど、セロが谷底に転移してくれるんだから、何の心配もないよな。
よもぎ団子を摘まみながら、オレはセロと弓弦さんの話を聞き続けた。
弓弦さんは歳の近いセロに心を開いているみたいだ。
たったの7ヵ月だけだけど、セロは弓弦さんよりもお兄さんだからなのかも知れない。
やっぱり頼れる相手が身近に居てくれると、安心するんだろうな。
男だって時には誰かに頼りたいし、甘えたいし、弱音を吐いて、優しい言葉を掛けて慰めてほしいんだ。
頼られて、甘えられて、弱音を吐かれて、慰めてばかりじゃ──、その内に心が潰れちゃうよ。
弓弦さんにも頼れる歳上の相手が必要なんだと思う。
それがセロなのには、一寸だけ妬けちゃうけどな……。
◎ 訂正しました。
弓弦さんも知らない ─→ 弓弦さんも知らない
法力を扱える ─→ 法力を扱える




