⭕ ようこそ、さちまの里 3
マオ
「 それにしても……。
何が起こって、廃墟になったんだろう? 」
セロフィート
「 自然災害に見舞われた訳ではなさそうですね。
廃れてから、かなりの年数が経ってます 」
厳蒔弓弦
「 …………≪ さちまの里 ≫は妖魔に襲われたんだ。
妖魔の森の中で遭難していた男を里人達が助けたんだが……。
元気になった男は、祠が珍しかったのか──、祠の扉を開けて鏡を取り出したそうだ。
鏡を祠の中へ戻す前に落として割ってしまったらしい。
結界は破られ、妖魔に見付かり≪ さちまの里 ≫に妖魔の群れが押し寄せ…………里人達は妖魔に襲われたんだ… 」
マオ
「 助けた余所者にはさ、祠の重大さが分からなかったのかな? 」
セロフィート
「 “ 近付くな ” と言われれば近付きたくなるのは人の性です。
余所者ならば尚更でしょう。
祠の中に “ 鏡が祭られている ” と言われれば、どの様な鏡なのか見てみたくなるものです。
祠から取り出したのは良くなかったですね。
男性には鏡を落とす気も割るつもりも無かったのでしょうけど、不幸な人災が招いた結果です 」
マオ
「 男の好奇心が招いた悲劇って事か…。
やるせいな…… 」
セロフィート
「 この地をこのまま荒れ果てた状態にしておくのは勿体無いです。
再生させましょう 」
マオ
「 は?
再生させる?
新しく里作りでもするのか? 」
セロフィート
「 結界も強化しましたし、作物と穀物を育てます 」
マオ
「 作物と穀物? 」
セロフィート
「 その前に土を生き返らせる必要があります。
この地はキノコン達に任せましょう 」
マオ
「 まぁ、農作物や穀物に関してはキノコンに任せた方が間違いないけどさ… 」
厳蒔弓弦
「 セロ,マオ──、きのこん…とは何だ? 」
セロフィート
「 キノコンはワタシが生み出した新種の生物です 」
厳蒔弓弦
「 新種の生物?? 」
セロフィート
「 見せた方が早いですね 」
セロが古代魔法を発動させると、魔法陣からキノコン達が現れた。
相変わらずキノコン達の容姿は可愛いくて癒されるぅ~~~♥️
蝶々を追い掛ける姿はマジで可愛いくて、心が和むんだぁ♥️
そんな愛くるしいキノコン達は、セロに向かって規則正しく整列していて、礼儀正しくビジッと敬礼している。
セロフィート
「 弓弦さん、紹介しますね。
彼等がキノコンです 」
厳蒔弓弦
「 …………茸の姿をしているのだな… 」
マオ
「 可愛いだけじゃなくて、何でも出来る凄いキノコンなんだよ! 」
セロフィート
「 お前達、彼は厳蒔弓弦さんです。
≪ さちまの里 ≫の持ち主であり、ワタシのマオの恩人でもあります。
ワタシの友人です。
無礼のないよう、心得て接しなさい 」
キノコン
「 畏まりましたエリ!
皆~~~、セロ様のご友人,マオの恩人である厳蒔弓弦様にも敬礼エリ! 」
キノコン
「「「「「 エリ!! 」」」」」
キノコン
「「「「「 エリ!! 」」」」」
キノコン
「「「「「 エリ!! 」」」」」
キノコン
「「「「「 エリ!! 」」」」」
キノコン達は弓弦さんにも礼儀正しくビジッと敬礼をする。
軍隊みたいだな…。
弓弦さんが驚き過ぎて言葉を失ってるよ。
まぁ、茸の姿をした奇妙な生物を初めて見たわけだし、喋って敬礼してるんだから、言葉も出ないよな…。
セロフィート
「 お前達には、弓弦さんの故郷である≪ さちまの里 ≫の荒れ果てた土地を再生してもらいます。
農作物,穀物を育て、食料を蓄えなさい 」
キノコン
「 畏まりましたエリ。
セロ様の仰せの通りに致しますエリ! 」
セロフィート
「 ≪ さちまの里 ≫を出発した後、ワタシ達は≪ 平安京 ≫を目指します。
住む場所を決めた後、身寄りのない孤児を保護し教育します。
育ち盛りの子供達に食べさせる事になる為、多くの食料が必要になります。
用意出来ますね 」
キノコン
「 お任せくださいませエリ!
誠心誠意、真心を込めて食料を増やしますエリ! 」
セロフィート
「 宜しい。
お前達の働きに期待しています。
≪ 平安京 ≫での生活が落ち着いたら、様子を見に来ます。
≪ さちまの里 ≫を頼みますよ 」
キノコン
「 お任せくださいませエリ!
キノコン総出で≪ さちまの里 ≫を守りますエリ! 」
セロフィート
「 頼もしい限りですね 」
キノコン
「 セロ様、早速作業に取り掛かりますエリ。
失礼致しますエリ 」
リーダー格のキノコンはセロに深々と頭を垂れてお辞儀をすると、指示待ちをしているキノコン達の元へ歩いて行った。
セロフィート
「 結界鏡の効力も強化しましたし、キノコンに任せていれば≪ さちまの里 ≫も安全です 」
マオ
「 う~~~ん、そうなんだけどさ……、妖魔って実体がないじゃん。
触れない妖魔をキノコンに倒せるのか? 」
セロフィート
「 確かにそうでしたね。
まぁ、何とかするでしょう。
明日にでも妖魔の事を伝えましょう 」
マオ
「 倒せなかったら、どうするんだよ…。
課題が残ったままじゃんか… 」
キノコン達はワイワイ,キャッキャッと楽しそうに嬉しそうに作業に取り掛かっている。
一体何処に隠し持っていたのか、農具を持って土を耕し始めているキノコンが数体も居る。
厳蒔弓弦
「 …………実に不思議な光景だな… 」
マオ
「 だよね… 」
セロフィート
「 ≪ 平安京 ≫で住む場所が決まったら、≪ さちまの里 ≫へ転移出来る魔法陣を作ります。
何時でも好きな時に往き来出来るようになりますよ 」
厳蒔弓弦
「 セロは凄いのだな… 」
セロフィート
「 吟遊大詩人ですから♪ 」
マオ
「 ははは… 」
セロには色々とツッコミを入れたい事が多いけど、今回は笑って流す事にした。
◎ 訂正しました。
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