──*──*──*── 山の中
マオ
「 ──セロぉ~~、何時まで山の中を歩くつもりだよ?
もう、山越えは勘弁だよ! 」
セロフィート
「 文句を言わないでください。
ワタシだって好きで山越えを選んでいる訳ではないです。
致し方無く…止む終えず──です 」
マオ
「 そういう冗談は要らないって!
全く……変な怪物には出くわすし、剣も刀も通じないし、魔法も通じないって……明らかにおかしいだろぉ! 」
セロフィート
「 物理攻撃が効かないのは実体が無いからです。
実体の無い怪物なら魔法も通じません 」
マオ
「 “ 実体が無い ” ったって、ハッキリと見えてるし、透けてないじゃんか!
実体が有るように見えるけど!! 」
セロフィート
「 精霊,妖精と似たような原理でしょう。
精霊も妖精も姿がハッキリと見えても実際には触れません。
捕まえる事は出来ませんし、倒す事も出来ません。
物理攻撃も魔法攻撃も効きません 」
マオ
「 それって明らかに詰んでるじゃんかよ!
倒せない怪物なんて相手に出来ないじゃんか! 」
セロフィート
「 遭遇しても逃走するしかないですね 」
マオ
「 何で楽しそうなんだよ!
守護衛士としての立場が無いじゃんか… 」
セロフィート
「 幸いにも〈 テフ 〉へ変換する事は出来ました。
何なんとでもなります。
落ち込まないでください 」
マオ
「 護衛する立場のオレが、護衛される側のセロに守られるなんて……。
守護衛士として情けないばかりだ… 」
セロフィート
「 マオが怪物モンスターを倒せるよう、手て立だてや方法を見付けるとしましょう 」
マオ
「 本ほん当とだよ!
それにしたって、この山はウジャウジャと出て来くるよな。
セロ……態ワザと遭遇率の高い山を選んでないよな? 」
セロフィート
「 心外です。
何な故ぜ態わざ々わざ怪物モンスターの出現率,遭遇率が高く、逃走率の低い山を選ぶ必要があります? 」
マオ
「 …………セロだから! 」
セロフィート
「 心外です 」
マオ
「 前科持ちが前科を忘れんな! 」
オレの名前はマオ・ユーグナル。
なんちゃって吟遊大詩人のセロフィート・シンミンの旅に同行しながら、雇やとい主ぬしのセロの護衛をしている守護衛士だ。
地ち球きゅうテッラと呼ばれている惑星星に存在する様さま々ざまな≪ 大陸 ≫を旅していたんだけど、今は色んな≪ 島しま国ぐに ≫を旅している最中だ。
現在のセロとオレは何ど処こかの山さん中ちゅうを歩き回っているんだけど、セロの大陸転移魔法を使って転移をしたから、何ど処こかの≪ 島しま国ぐに ≫の中だと思う。
セロが持っている世界ワールド地図マップには、地ち球きゅうテッラに存在している≪ 大陸 ≫や≪ 島しま国ぐに ≫が描えがかれている。
1度立ち寄った≪ 大陸 ≫や≪ 島しま国ぐに ≫は赤色に染まっている。
今回も世界ワールド地図マップを見て、立ち寄る≪ 島しま国ぐに ≫を決めたんだ。
山の中に転移したのも束つかの間ま、セロとオレは見慣れない怪物モンスターに囲まれていた。
今思えば彼処あそこは怪物モンスターの溜まり場だったのかも知れない。
オレは怪物モンスターを倒す為に腰に下げている鞘から愛あい剣けんを抜いて斬り掛かったけど、振り下おろした愛あい剣けんは怪物モンスターの体からだを透すけてしまって攻撃が当たらない。
愛あい刀とうに変えて振っても怪物モンスターに攻撃は効かなくて、一切のダメージを与えられなかった。
魔法マジックを放っても、愛あい剣けんや愛あい刀とうに魔法マジックを纏まとわせて攻撃をしても怪物モンスターの体からだを透すけてしまうから全まったく効果が無い。
セロにも魔法マジックを使ってもらったけど、セロの魔法マジックでも怪物モンスターにダメージを与える事が出来なかった。
セロとオレの攻撃は効かないのに怪物モンスターの攻撃は受けるんだから困ったもんだ。
倒せないから逃げる事にしたんだけど、囲まれていているから逃走しようにも出来ない。
万ばん事じ休きゅうすかと思ったけど、セロが怪物モンスターを〈 テ原質フの源みなもと 〉に変換してくれたんだ!
お蔭で怪物モンスターの群れの中から逃げ出す事が出来た!
怪物モンスターを〈 テ原質フの源みなもと 〉に変換する事が出来なかったら、セロもオレも詰んでたよ。
実体を持たない精霊,妖精も〈 テ原質フの源みなもと 〉に変換させられるんだから、攻撃が当たらなかった怪物モンスターも〈 テ原質フの源みなもと 〉に変換する事が出来たんだよな!
何なにはともあれ、逃げ切れて良よかったし、怪物モンスターも追っては来こなかったのが何なによりも安堵した。
マオ
「 ──此方こっちの攻撃が当たらないのに怪物モンスターの攻撃を受けるのも何なんとかしたいよな。
然しかも結構強力な一撃だったしさ。
人間だったら、あの一撃で死んでたよ 」
セロフィート
「 何なん等らかの方法は有る筈です。
人間が暮らす≪ 村 ≫や≪ 里 ≫を探して情報収集しましょう 」
マオ
「 その為にも山を下おりないと──だろぉ!! 」
山さん中ちゅうを移動している間あいだ、ちょこちょこ怪物モンスターと遭遇する事になった。
その度たびにセロが怪物モンスターを〈 テ原質フの源みなもと 〉に変換してくれた。