Klaus
魂の管理者
地球が誕生するよりも遥か昔から、宇宙にある生命体の全ての魂を管理するものがいた。
その管理者には世界が見えない。
その管理者の視界にはただ真っ暗な世界が広がっている。
しかしその管理者にも見える物があった。
それは魂である。
魂が誕生する元となるものはその管理者が持っている透き通る様な青色をしている正八面体の無機物である。
この物も管理者の世界に存在する数少ない物の中の一つである。
その管理者の目には、魂が出来る前のある時から微かにに赤い炎の様な光が見える様になる。
その炎は多種多様な形をしていて、大きさも視認することが困難な程小さい物もあれば、圧倒されるほど大きな物もある。
その赤い光の中心部に透き通る様な青色をしている無機物を嵌め込む様に入れていく。
これが管理者が遥か昔からやってきている事である。
その無機物は時間を経て形が変化していき、丸みを帯びてくる。
そういった変化が見られてくると、次に赤い炎の様な光が見えなくなる。
これ即ち、生命の消失である。
光の外郭を失った魂は、管理者が魂を管理している容器に個別に入れられる。
そして永遠に保存される。
管理者はこの行いを然も当然の行いである様に永延と。
ただ永延と繰り返している。
ただある時からその容器を更に収容している場所(蔵と形容するのが近いか)が容器によって満たされようとしていた。
管理者はその事については考えない。
考える事ができない。
考える頭脳が機能していない、というのが一番正しいだろう。
管理者はただ魂の管理をしているだけでそこに理由も信念もない。
ただ管理者が存在するより遥か昔から、そうするのが当たり前だったかの様に魂を管理している。
要するに同じことをすることしかできない機械といったところだろうか。
だが管理者の外見は機械とは程遠く、全身は体毛で覆われていて身体がどんな形をしているのかも判らない状態だ。
そんなこんなでその蔵がもうすぐ満たされようとしていた時の事であった。
管理者自身に赤い炎の様な光が灯ったのは。