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飛べない魔女はただの豚(連載版)  作者: 黒湖クロコ
飛べない魔女の物語
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(閑話1) 飛べてた魔女はただのさ〇子

 俺が警備員として勤務するこの病院にはちょっとした噂がある。事務室のパソコンから幽霊が出てくるというものだ。

 元々病院はそういう噂が多いが、この怪談は『さ〇子』の話のネタが混じったようなものだ。


 俺が聞いたのは、数年前に行き倒れていた少女の霊が呪いのパソコンにとりついているという噂だ。ちなみに全く元ネタがないわけではなく、この病院では昔行方不明になった少女がいる。元々その少女は身元の分からない子で、病院の玄関で行き倒れていたそうだ。明らかな発熱と衰弱から、どこかで虐待されている子供ではないのかと、保護された。そしてこのままでは死んでしまうという事で、この病院に入院する事になったのだ。

 意識が回復した少女は、日本語が分からない様子だった。もしかしたら日本人ではないかもしれないので、領事館に問い合わせて、外国人で何かの事件に巻き込まれているものはいないかという大事にまでなった。

 しかしそれだけの大事になったのに、突然少女は消えたのだ。


 口にはできない職業の親が来てこっそりつれ帰ったのかもしれない。しかし一つだけ不思議な点があるとしたら、玄関先に付けた監視カメラに少女の姿が映っていなかった点だ。警察も捜査に入り、鞄に入れて持ち出されたのではないかなどと様々な憶測がとんだがついに解決される事はなかった。

 そんな時一つの噂が立ったのだ。それが呪われたパソコンの噂だ。

 ここは小児病棟もある病院なので、子供がこっそり夜間に探検しているのを見間違えたのかもしれない。その噂は子供がパソコンからずるりとはいだし、またパソコンに帰って行くというものだった。


 そうそう。あそこに居るような……えっ?!

 俺はパソコンの中に消えていく人を見て、目を擦った。慌ててライトで事務室を照らすが、そこには人の影はない。

「はははは……寝ぼけてたかな?」

 寝ぼけてたんだよな? え? そうだよな?

 近づいたパソコンは普通のパソコンだ。でも流石に怖くて触れない。この中に俺まで吸い込まれるのではないかと馬鹿馬鹿しい妄想が頭を巡ったためだ。電源は入っていないようだが。

 

「……確かに、警備員が何度も変わるわけだ」

 ここに警備配属されると、すぐに異動願が出され、結局病院側が人を雇うまでになっていた。一応、行方不明になった人はいないけれど……。俺は見なかった事にして、その場を足早に離れるのだった。

 そもそも俺は怪談話などが苦手だ。深く考えたら仕事にならない。

 なので明日はハローワークに行って、再就職先を探そうと考えながらひたすら無になり、巡回をしたのだった。

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