決着の時
大勢の協力の元で作り出された千載一遇の好機、それを無駄にしなかったギム刑事の決断が、見事ヨシオの1号腹部に核ミサイルを命中させた。
”ギュッゴォォォオオオンン”
遥か上空で爆発した核ミサイルは眩い閃光と爆音、そしてキノコ雲を作り出し約数十秒間、街のすべての支配し続けた。
やがて段々と街の風景が姿を現すと完全被爆を避けたとはいえ、更に死の色を強めた姿を見せていた。
ギム刑事は今だひどい砂埃が舞う街の上を低空浮遊しながら下の様子を伺う。
すると隻腕のデストロイド1号が仰向けに倒れている姿が視界に飛び込んできた。
頭部操縦室をよく見ると、ドレッドが両手を広げたまま気絶している姿が見えた。
「ドレッド!!」
ギムは放射線被害を免れるべく街に着陸することは出来ずにいた。
するとそこに突然の轟音が鳴り響く。
”ギュゴォォーン”
「!!?」
ヨシオ操作する1号が煙を巻き突然その場に姿を現した。
機体は腹部を中心に大きく破損しているものの、力強く仁王立ちしドレッドの1号を見下ろしていた。
「はぁ、はぁ、はぁ、ふざけやがって、ふざけやがって…」
操縦レバーを力強く握るヨシオも顔面には流血が見られ、爆発の影響から大きなダメージを負っている様子が伺えた。
「くそぉっ!!直撃したはず!!一体どれだけ頑丈なんだ!!」
「おい、刑事!お前も後で必ずぶっ殺してやるからな、覚えておけよ…」
「くぅっ…!」
上空で浮遊するギム刑事を睨み殺害予告を継げた後、再びドレッドの1号を見下ろすヨシオ。
「ふん、死んだかな?ざまぁ。でも確実に息の根を止めてやる!!!」
そう言うとヨシオの1号は気絶しているドレッドの操縦室を踏み潰そうと大きく右足を上げた。
「やっ、やめろぉぉぉ!!!」
そしてヨシオが右足を踏みつけるためレバーを前に倒そうと手に力を入れた、その時、
”ガキィッ”
「え?」
ヨシオの意図とは反し、レバーは何かに引っ掛かった様にその動きを止めた。
「え?なんだ?なんで??」
ヨシオはレバーを引き戻そうとするも完全に固まってしまっており、前にも後ろにも動かなくなってしまっていた。
「くそっ、動け、動けよぉぉ、動けちくしょぉぉ!!!」
ヨシオが操縦室で力任せにレバーの操作を試みながら慌てふためいていると、突然遠方から一人の怒声が轟いてきた。
「おおおぉぉぉぉぉ!!!」
大きな掛け声と共にこちらに向かってくる1人の人物、それは満身創痍な肉体を漆黒の衣装に包んだ女殺し屋の姿だった。
「ギルティ!!!」
真っ先にその存在に気付いたのは上空のギムだった。
ギルティは顔中に血を流し打ち抜かれた左肩をぶら下げながらも、右手にはしっかりと核兵器を強く握り締めていた。
「お、お前!?なんで生きてんだよ???」
「くたばれぇぇぇぇ!!!」
ギルティが全力投球で放った核兵器はヨシオの1号めがけて一直線に飛んでいった。
「うわぁぁぁあぁあ!!!」
そしてヨシオの1号機体に命中するその寸前、もう一人の怒声が重なり響き渡る。
「オラァァァァァ!!!」
「ええ?!?」
操縦室で目を覚ましていたドレッドは最後の力を振り絞り、機体を瞬時に起こすと放り投げられたギルティの核兵器がヨシオの1号正面に来たタイミングでヨシオ1号に正面から抱きついた。
”ギュッゴォォォオオオンン”
1号同士の腹と腹で潰された形となったギルティの核兵器は、ギムが放った核兵器と同様の眩い閃光と爆音、そしてキノコ雲を作り出した。しかしデストロイド1号という強固な機体同士に挟まれて遂げた爆発のため、爆発範囲は比較的小さく生み出された砂埃が街を支配する時間は短かった。
そして街が姿を再び現し上空を浮遊するギムの目にはその状況が露わとなった。
「ドレッド!!!」
ドレッドの1号は胴体分は跡形もなく吹き飛び、頭部操縦室だけが瓦礫の上に転がっていた。
操縦室を包む透明のシールドも大きく破損し、ヒビの影響で中の様子は正確に伺えない状態だった。
ギム刑事は近くに戦闘機を着地させドレッドの元へ駆け寄った。
「ドレッド、ドレッド!おいしっかりしろ!大丈夫か?ドレッド!」
「うぅ、ぅぅっ…」
全身血まみれになりながらも辛うじて意識を保っていたドレッドは、ゆっくりと操縦室から這い出てきた。
「うぅ…うがっ…い、痛ぇ…ち、ちっくしょうが…。おい、あのガキはどうなった?」
「わ、分からない…」
”ジャリ”
「!!?」
ギムが人の足音に気付き振り向くと、そこには同じく満身創痍なギルティの姿があった。
「ギ、ギルティ、大丈夫か??」
「…うぅっ…。さ、さぁな…」
ギルティは痛みに強く表情を歪めながら右手で左肩を強く抑えていた。
「おい、彼は?ヨシオ君はどこだ?」
「…あそこだ」
ギルティが顎で指し示す方向を見ると、操縦席から放り出されたヨシオがそこには倒れていた。
「…!!!」




