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貯まった運で核兵器を  作者: レイジー
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ギム刑事の功罪

 核兵器を操れるギルティが倒れ、ドレッドの操作するデストロイド1号は片腕をもがれた瀕死状態という絶体絶命の最中、突然ある男の声が戦場に轟いた。


「は?誰?」


 ドレッドとヨシオの耳に響いたのは無線から聞こえるギム刑事の声だった。


「ギ、ギムか…?」

「ドレッド、よく聞け!今から核ミサイルを撃ち込む!奴の動きを止めておいてくれ、出来るか??」

「なっ、何だと!?核ミサイルだぁ?」


 ギムはその頃、軍用と思われる戦闘機の操縦室からドレッドに向けて声を発信していた。

ギムの操縦する戦闘機の腹の部分にはおよそ2メートル程のミサイルが装着されていた。


「ジェットの操縦なんて久しぶりだ。兵役が役に立った」

「おい、一体どういうことだギム??」

「いきさつは後だ。やれるか?ドレッド!!」


 ギム刑事は家族との再会を果たした後、軍本部に向けて車を走らせていた。

間も無くして到着し車を降りたギム刑事は警察手帳を右手に門番兵に駆け寄った。


「警察本部のギム刑事だ、指令長の人間に会わせてくれ!」

「ここは関係者以外立ち入り禁止です」

「分かっている!だが緊急事態なんだ、知ってるだろ?」

「…ですが、お通しするわけにはいきません!」

「あぁ、そう言うだろうと思っていたよ、君は優秀だな」


 するとギムは相手の一瞬の隙を突いて拳銃を門番兵に向けた。


「な、何を!?」

「動くな、銃を下ろせ!ゆっくりだ。その後両手を頭の後ろで組め!」

「…!」


 ギムの剣幕に否応無く従う門番兵。

そしてギム刑事は門番兵の手を腰の後ろに回し手錠をかけた。


「すまない、世界を救うためなんだ。指示に従えば危害は加えない!なるべく人通りが少ない道を通って指令長がいる部屋まで案内してくれ」


 拳銃を背中に突きつけられた門番兵はゆっくりと基地の中へ歩みを進めて行き、それにぴったりとくっついて行くギム。

基地内の廊下を歩き進んでいく途中、数人の兵士に出くわしたが、それとなく案内を受けているフリをしながら歩くギムに不信感を抱く兵士はいなかった。


「おい、まだか?」

「そこの奥の部屋だ」


 目の前に大きく厳重な扉が見えた。


「よし、開けろ!」


 人質にされた門番兵が自身のIDカードを使ってその扉を開けた。

するとだだっ広い中央監視室の様な部屋が広がっており、軍服を着ている各兵士は席に座りヘッドセットを装着しながら目の前のコンピューターを操作したり誰かと通信で喋っていたりした。


”バキューン”


「!!!?」


 ギム刑事が天井に向かい拳銃を発砲した。

その音に部屋にいる全ての人間が驚きギムに視線を集中させた。


「指令長は誰だ?」

「…???」


 一同は訳が分からないといった表情で数秒ほど沈黙していたが、やがて部屋の奥で1人立ち巨大レーダーを監視していた軍人が名乗りを上げた。


「私だ。お前は何者だ?目的はなんだ?」

「よし、お前以外の人間は全員基地の外に出てろ。指示に従わない場合はこいつの頭を打ち抜く!」


 監視室にいた人間がそれぞれお互いの顔を見合わせる。

立ち上がろうと椅子から腰を浮かせる者、驚きから微動だに出来ない者、慌てて誰かに通信を図ろうとする者、それぞれの反応を見せていた。

時間に追われるギムは続け様2発の銃弾を天井に向けて放った。


「聞こえなかったのか?今すぐ出て行けーー!!」


 2発の追加発砲とギム刑事の響き渡る怒声に監視室にいた人間は大慌てで部屋を飛び出して行った。

そして残ったギム刑事と人質となてっている門番兵、指令長を名乗る男、3人の静かな空間が広がった。


「彼を放せ、目的は私だろ?」

「その通りだ。こっちに来い。2m手前で止まって跪け、そして両手を頭の後ろで組め!」


 ギム刑事を強く睨みながら指示に従う指令長の男、指示に従った様子を見届けたギム刑事は人質にしていた門番兵の後ろ首を拳銃の腹の部分で強く殴り飛ばした。


「がっ!!!」


”ドタンッ”


「貴様!!」

「黙れ!!!」


 門番兵はその場に豪快に倒れ意識を失った。

ギム刑事の暴行に身を乗り出した指令長の男に対し瞬時に拳銃を向け制止するギム。

続けてギムはポケットから小さな鍵を取り出し指令長に向かって投げた。


「その鍵でこの男の手錠を片方だけ外してそれを鉄格子にかけろ!」


 指令長はしぶしぶ指示に従い、門番兵は手錠で鉄格子に繋がれ目を覚ましても身動きが取れない状態となった。

ギム刑事は続けてもうひとつ手錠を取り出し指令長の男に投げつけた。


「お前もその鉄格子に自分の両手を繋げ!」


 指令長の男は言われるがままに従い両手の自由を失った。

それを見たギム刑事は拳銃を腰元に納め、ゆっくりと指令長に近付く。

緊迫の状況が一旦の終焉を迎えたためか、ギム刑事はほんの少し、その表情に落ち着きを取り戻していた。


「…こんなことをしてすまないと思っている、しかし一刻を争う。こうするしかなかったんだ」

「貴様、一体何が目的なんだ?」


 ギム刑事はひと呼吸を置き、核心を迫った。


「この国は核兵器を保有している、そしてそれはこの軍本部に保管している、そうだな?」

「!!」

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