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貯まった運で核兵器を  作者: レイジー
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ギルティダウン、万策尽きる

 ギム刑事が自身の家族と悲願の再会を果たしていたその頃、ドレッドとヨシオはそれぞれのデストロイド1号を互いに操作しながら一進一退の攻防戦を繰り広げていた。

互いが繰り出した拳同士がぶつかれば、その衝撃波で周囲の車や建物の窓ガラスが吹き飛び、交わされ行き場を失ったレーザービームやミサイルは周囲のビルを破壊していった。

両者が空中に飛び上がれば、攻防の末どちらか片方が地上に叩きつけられ、地面に巨大な穴を作るという間接破壊を繰り返していた。


「ぐがぁっ!っちくしょう!」

「おぉっと、危ない危ない!」


 おおよそ互角に見える戦いではあったものの、両者の表情には明らかに差が生まれていた。

操縦室のドレッドは慣れない手つきでレバーやボタンの操作を繰り返し慌てふためく表情を見せる一方、ヨシオの表情には大きな余裕が宿っていた。


「あーあー。またそんなところでキャノン砲使っちゃって~。すぐにエネルギー切れになっちゃうよ?」

「っの野郎…!!」


 ヨシオの指摘通りドレッドはヨシオとの攻防を渡り合うことで精一杯のため、エネルギー効率を考えてまでの戦いをこなすことは出来ていなかった。

加えてドレッド自身の予想通り、その操縦技術には雲泥の差があるため徐々にドレッド操作する1号の機体にはダメージが蓄積されていっていた。


「食らえっ!!」


 ドレッドがレバーを操作し左の手の平をヨシオに向けようとしたが、肩の一部が破損しているためスムーズに動いてくれなかった。


「スキあり!!」

「!!!」


 その隙を逃さなかったヨシオはドレッドの1号へ突進し体当たりでドレッドの1号を突き飛ばした。


「がぁぁっっ!!」


 瓦礫を引きずりながら道路の奥まで転げまわっていくドレッドの1号。

機体の向きを変え両手足で地面にブレーキをかけ立ち上がるも、その動きは明らかに鈍くぎこちない軋み音を出していた。


「はぁっ、はぁっ、クソが…」

「…」


 その様子を一部始終伺っていたギルティは危機感を感じると同時に上手くタイミングを伺えない自分に対しもどかしさと憤りも感じていた。


「もうこれ以上はもたねぇ…。決めるしかねぇ!!」


 ドレッドは自身が操作するレバーの重みに機体が負ったダメージの重さを感じ取り限界と判断していた。


「ギルティ!!構えろ!!!」

「!!!」


 ドレッドはどこに隠れているかも分からないギルティに向かって大声で覚悟と決意を促した。

そして次の瞬間、


「…!?奴はどこだ??」


 ドレッドが目を離した一瞬の隙にヨシオの1号はドレッドの目の前から姿を消していた。


「上だ!!!」

「!!?」


 ドレッドがギルティの声を聞き取った次の瞬間、ヨシオの1号は遥か上空から急降下しながら振り下ろした手刀でドレッド操る1号の左腕を肩から切り落とした。


「なっ!!!」

「!!!」


 豪快な音を立てながら地面に落ちるドレッド1号の左腕。

続けてヨシオの1号はフルスイングの回し蹴りを相手のどてっぱらに命中させ再びドレッドの1号は道路の遥か向こう側へ吹き飛ばされていった。


「うわぁぁぁあ!!!」


 勢いが止まり何とかその場から立ち上がるも、片腕はもげ、あちらこちらに破損や傷を纏い既に満身創痍の1号。

その動きはもはや油が切れたブリキ人形の様な状態だった。


「や、やべぇ、マジでやべぇぞ…」

「おのれっ。もうやるしかない!!」


 もはや勝ち目の無くなった戦況を見てギルティは息を殺しゆっくりと距離を詰め始めた。


「ありゃりゃ、無様ですねー!力を持ってる人間に歯向かうからこうなるんですよー」

「…」


 ドレッドは言葉を返すことは無く息を荒めに操縦室で少し俯き、ヨシオの言葉に耳を傾けていた。


「どうします?ドレッドさんには直接的な恨みはないから、泣いて土下座するなら取り合えずこの場は見逃してあげてもいいですよ?」

「…」

「あー!でもあの時"チビ"って言われたよなー。ほらあの喫茶店で。態度も超悪かったし、初対面の人間に対して礼儀なってない奴は死ぬべきだよなー」

「…」

「あの時は僕のこと完全にナメてたでしょ?マジでザマァないよね、この状況。ナメくさった相手に殺される気分ってどう?」

「…」

「…オイ、何とか言えよクソ野郎!命乞いしねぇのかよ?格好つけてんじゃねーよ!どうせお前だって自分の命だけ助かればいいと思ってるんだろーが?」


 ドレッドはほんの数センチ顔を上げ、小さな声で喋り始めた。


「…エリカを、エリカのことをどう思ってやがる?」

「はぁ?」

「あんな小せぇガキを撃ち殺しやがって…。どう思うかって聞いてんだよ!!」

「…」


 ヨシオは少し言葉に詰まった様子を見せたが、眉間にシワを寄せつつも淡々と喋り始めた。


「あ、あれはワザとじゃなかったし、それに勝手に飛び出してきたあいつが悪いんじゃん!」

「なに!?」

「それにあいつだって僕を止めにきてたんだろ?力無いくせに出しゃばるからバチがあたったんだよ!子供の無垢さを利用して僕を止めて英雄でも気取りたかったの見え見えだし、マジでバカなガキ」


 言い分を吐き終えたヨシオを烈火のごとく睨み付け、怒鳴り声と共にドレッドは操縦を再開した。


「てんめぇぇぇえぇぇ!!!」


 ドレッドの操作を受けた1号は残った右腕を天に高く掲げ、轟音と共にそれを振り下ろし地面に拳を叩き付けた。


「!!」

「!!!」


 建物が揺れ動く程の地響きが鳴り、舞い上がった瓦礫と砂埃が周囲一体を覆い隠した。


「うわっ、み、見えない!!」


 咄嗟の出来事にヨシオも反応が遅れた。

そして続けて正面の方向からジェット噴射の轟音が鳴り響いてきた。


「!!?」


 ヨシオが砂埃の中からドレッドが操作する1号の姿を捉えた時には、ヨシオの機体は体当たりによる足払いを受け地面と平行する形で宙に舞っていた。

続けてドレッドの1号は数メートルの上空に舞い上がり、そこからヨシオの1号に向かって急降下し機体を使ってヨシオの1号を地面に叩き付けた。


「な、なんだ!?」

「ギルティィィィーー、今だーーー!!!」


 ギルティは瞬時に反応しドレッドの声がする方向へ向かって全速力でかけ始めた。

次第に砂埃が止みドレッドの1号がヨシオの1号を上から機体ごと押さえつけている姿を目の当たりにすると、そこに勝機を見出した。


「よし!!!」


 ギルティは核兵器を右手に握り締め全力で1号の元へ駆け寄り、あと数十歩という所まで近付いた、その瞬間、


”ズキィィッ”


「がぁっ!!!」


 ギルティは自身の左肩に走った激痛にその足を奪われ地面に膝を着いてしまった。

先の戦いで脱臼していた肩がまだ完治しておらず再度外れてしまった。

その反動で右手に持っていた核兵器を落としてしまうギルティ。


「し、しまった!!!」


 その頃には目隠し代わりになっていた砂埃は完全に姿を消しギルティがうずくまる様子を確認出来たヨシオは、1号の左手の平からレーザービームをギルティに向けて発射した。


「ぐああぁぁぁぁっっ!!!」


 ヨシオが放ったレーザービームはギルティの左肩を貫通しギルティは後方数メートル後方へ吹き飛ばされた。


「!!!」


 そのまま意識を失うギルティ。

息をつく間も無くドレッドの1号はヨシオの1号の背中に乗ったまま遥か宙に舞い上げられ、そこから振り落とされてしまう。

そのまま地面に叩き付けられたドレッドの1号と続けてゆっくりと宙から舞い降りてくるヨシオの1号。


「あー、危ない危ない。やばかったー!」

「…ッッッ」


 ドレッドの1号に立ち上がる程度のエネルギーは残されていた。

しかし万策が尽きたという状況にドレッド自身1号を操作するだけの気力が残されていなかった。

ヨシオの1号は立ち上がる様子を見せないドレッドの1号に対し追い討ちをかけるように機体を蹴り上げた。

豪快な音を立てながら転がっていくドレッドの1号。


「うぅっ、ぐぅっ…」


 ヨシオの1号は手を止めることなく無慈悲な攻撃を浴びせ続けていく。


「ぐぅっ、がっ、がっ!!!」

「なめたマネしてんじゃねーぞ!!死ねっ、死ねっ、死ねっ!!!」


 既にドレッドの操縦室の各計測器は真っ赤に光り殆どの機関で警告レベルを超えていた。


「あー、もう疲れた。今日はこれでおしまい」


 ヨシオの1号が機体腹部の発射口を開け大砲級のキャノン砲を至近距離でドレッドの1号に浴びせようとした、その瞬間、


「ドレッド!!聞こえるか??」

「!!?」

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