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貯まった運で核兵器を  作者: レイジー
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デストロイド1号VSデストロイド1号

 絶体絶命に陥ったその時、遥か上空から足元のジェット噴射を調節しつつゆっくりと降りてくる大きな機体、それは紛れもなくもう1体のデストロイド1号の姿だった。


「な、なんだ?誰だよアンタ??」


 ヨシオは慌てふためき相手側の頭部操縦室を凝視した。

するとそこに座っていたのは臨戦態勢を凝縮したような表情と剣幕を纏った麻薬犯のドレッドだった。


「え?え?ド、ドレッド、さん??ど、どうして??」

「ドツ、ドレッド!?お、お前、何故?そのマシンは一体どうした??」

「テメェら、さっさとそこをどけ!」


 ドレッドの呼び掛けを受け、痛みを堪えながら急いで立ち上がり近くのビル影に身を潜めたギム刑事とギルティ。

2人が避難したことを確認したドレッドはすかさずヨシオに向かって飛び掛かり、フルスイングした拳を命中させた。


「うわぁぁあっっ!!」


 ヨシオ操る1号は殴られた勢いで機体が吹き飛び、背後のビルに叩き付けられた。

そのままヨシオ操る1号は崩壊し崩れてきたビルの瓦礫に埋もれていった。

その様子を見ていたギムとギルティはドレッドが操るデストロイド1号の傍まで駆け寄って行く。


「おいっ、ドレッド!これは、もしかして…?」

「見て分かんだろうが、デストロイド1号だ」

「なっ、何故お前がそれを??」

「買ったんだよ。悪ぃか?」

「一体どうやってだ?お前や私達の”運”では買えなかったはずだぞ?」

「どもども~」


 突然その場にオットロが姿を現した。


「おわぁっ!!びっくりした!」

「うふふ~、すみません~。いやぁ~白熱してまいりましたねぇ~!」

「オットロさん、これは一体どういうことですか?何故奴がこのマシンを持ってるんです?まさか、盗んだとか?」

「いえいえ。ご説明通り商品は購入者にしか扱えないので仮に盗んでも操作することは出来ませんよぉ~。まぁ弊社のセキュリティを突破して盗むってこと自体が不可能でしょうけど~」

「どうして?奴の持っていた”運”では足りなかったはずです!」

「はい、元々ご購入された”マルチコピー機”を売却されて更に”運を構築”されたご様子です~」

「”運を構築”??どういうことですか?」

「伏せろ!!!」


 ドレッドの叫び声が聞こえた瞬間、ヨシオ操る1号を埋めた瓦礫の中から光りのスピードで発射されたレーザービームがドレッド操る1号を吹き飛ばした。

すぐに立ち上がるドレッドの1号、そして瓦礫を一瞬で吹き飛ばし姿を見せたヨシオの1号。

続けてドレッドの1号は肩から無数の追跡型のミサイルをヨシオの1号へ向けて発射させた。

ヨシオの1号は足元のジェット噴射で遥か上空へと舞い上がり、追跡してくるミサイルを巻こうと必死に上空を飛び回り続ける。

ドレッドの1号が再び3人の元に戻ってきた。


「ドレッド、大丈夫か?」

「あぁ、問題ねー」

「ドレッド、教えてくれ!一体どうやってこれを手に入れたんだ?」

「今はそんなこと関係ねーだろーが!」


 するとオットロが横から口を挟む。


「ドレッドさん、ご自身の全財産を慈善団体に寄付されたんですよぉ~。お住まいになられていた場所も売却されて~」

「何!?」

「…っち。余計なことほざきやがって…」


 ギルティもいささか驚いていた様子を見せていたが、それ以上に驚愕していたのはギム刑事の方だった。


「ドレッド、アレは妹を探し買い取るための金だったはずじゃ…?」

「…あいつが生きてる保障はねぇ、目の前のことが先だ。それあのクソガキに地球ごと滅ぼされたら元もこも無ぇだろうがよ!」

「ドレッド…」

「一か八だったが、まさかこいつが買える分の運まで貯まるとは思ってなかったぜ」

「おい、お喋りの時間はそう残されてないみたいだぞ…」


 上空を見上げていたギルティが2人の会話に割って入ってきた。

2人がギルティの見上げる方向に目線を移すと、ヨシオの1号が追跡してきていたミサイルを同じくミサイルで撃墜していた。


「来るぞ…」


 ドレッドは勿論、ギルティ、そしてギム刑事も強く身構えた。

そしてゆっくりとヨシオの1号が4人の目の前に着陸して来た。

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