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貯まった運で核兵器を  作者: レイジー
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2人目のお客様:自殺志願者の男子学生、3人目のお客様:餓死寸前の難民少女

 ギムと呼ばれる刑事と共に姿を消したオットロが次に現れたのはどこかの学校だった。

未だ透明人間状態のオットロは小走りでトコトコと駆けて行き、何やら声がする場所に気付いた。

そこは体育館の裏、1人の小柄な男子学生を3人の男子学生が囲んでいる。


「はぁ?たったこれだけ?」

「す、すみません、もうこれだけしかなくて…」

「ざけんなよてめぇ!!無けりゃ盗んでくりゃいいだろーがっ!」

「む、無理です、そんな…」

「口答えしてんじゃねー、クソチビッ!」


 金髪でピアスをした学生がそう言い放つと3人の男子学生がよってたかって小柄な男子学生に暴行を加え始めた。


(あらあらあら~)

「うっ、ぐぁっ、がっ、うぅっ、うっ…」


 身体を丸めひたすら耐える小柄な男子学生。

数分の暴行が続いた後、3人の不良学生は疲れたのか手を止めた。


「いいか?明日までに3万持って来い。じゃねーとぶっ殺すぞ!!」


 去り際に金髪の男は小柄な男子学生につばを吐きかけ、他2人と共にその場を去って行った。

オットロは痛々しいといった表情でその場を静観している。

小柄な男子学生はしばらくうずくまったままだったが、やがてゆっくり立ち上がり足元を見つめたままフラフラと歩き始めた。

その後ろをついていくオットロは小柄な学生がポケットから封筒を取り出したことに気付いた。


(むむ!)


 その封筒には"遺書"の文字。

その学生はやがて校舎の屋上に辿り着き、脱いだ靴の上にその"遺書"と書かれた封筒を置いた。


(ふむふむ、この方はいじめに遭う自殺志願者ですかー。なるほどなるほど~)


 オットロは納得した表情を見せ、先程のギム刑事と同じ要領で足裏で引きずっていたカードを拾い、学生の背中に当てた。


「!?」

「テレポート」


 そして2人はその場から消え去った。


 消えたオットロは再び姿を現した。

そこはボロボロになった石造りの小屋や建物が並び連なる寂れた町外れのような場所。

道は舗装されておらず砂利や石ころが散らばり放題な状態。

人の姿も少なく歩いてる人は一様に表情が暗く例外なく痩せ細っていた。

オットロが周囲をキョロキョロ見渡していると、一人の少女が歩いて来る姿を視界に捉えた。


(あ、あの子だ!)


 およそ10歳ほどの年齢と見て取れる少女、彼女もまたひどく痩せ細り身に着けているTシャツやハーフパンツはあちらこちらに破れがあった。


「すみません、食べ物を恵んでもらえませんか…?」

「うるせー、あっち行け!」


 その少女は道を行く大人に対し弱々しく物乞いをするも一蹴されてしまった。

少女は特に驚いた様子もなく"いつものことだ"と言わんばかりに歩みを止めなかった。

少女はしばらく歩き進むと地面に大きな水溜りを見付けた。

トコトコと駆け寄り何の躊躇も無くその茶色く濁った水溜りの水を手で汲み飲み始めた。


(あらあらあら~)


 何口か飲み終えると近くにあった建物の壁に背をもたれ、その場に三角座りをしてうずくまった。


(ふむふむふむ、この子は難民というやつですかね~?ここは貧困層さん達の溜まり場ですね~)


 そう言うとオットロは再度足元からカードを拾い上げ、その少女のひざにカードを当て呟いた。


「テレポート」


 例によって2人は一瞬にしてその場から消え去った。

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