「まずお前から死ねよ!クソ偽善者」
はち切れそうな緊張の中、ギリギリまで距離を詰めた一行。
一瞬の隙を垣間見たギム、ギルティ、そして護衛の3人は刹那にデストロイド1号に向かって駆け出していた。
距離にして数十メートル、更にギリギリまで距離を詰めようとするギムとギルティだったが、次の瞬間、
「うわぁぁぁああ!!!」
「うううぅぅっっ!!」
デストロイド1号の後ろ首部分からいきなり発射口が現れ、発射されたレーザービームが5人の足元を吹き飛ばした。
「うぅっ…、っく…」
辛うじて命中を免れた2人だったが、地面に叩きつけられた衝撃で全身を強く打ち身動きが取れない状態だった。
加えて護衛についていた3人の兵士は姿が見えなくなっていた。
ゆっくりとこちらを振り向くデストロイド1号。そしてヨシオが2人に向かって声を掛けた。
「無駄ですよ、背面カメラありますから。ギルティさん、核兵器で僕を殺しに来たんですか?」
「…ッッッ!」
「厄介ですね。今のうちに殺しておいた方がよさそうだな」
ヨシオがデストロイド1号の手の平をギルティに向ける。
「ヨ、ヨシオ君、頼む、やめてくれ!聞いてくれ!頼む!」
「黙れよ!力になるとか言って結局僕を殺そうとしたクセに!どいつもこいつもさぁ。やっぱ人間なんてクズだ、ゴミだ、害虫だ。生きるべきじゃないんだよ!!」
「頼む、家族がいるんだ!他にも罪の無い多くの人々が苦しんでる。君だって、彼らには恨みはないはずだろ??」
「知るかよ。僕はこの世界そのものが憎いんだ。全員同罪だ!たっぷり怖がらせながら少しずつこの手で破壊しつくしてやる!今まで僕が味わった痛みとか恐怖とか、全部思い知らせてやるんだ!邪魔するんじゃねぇよ」
「そんなことして何になる?憎しみは何も生み出さないぞ!君をいじめた連中は確かに罪がある、だけど君はそれを許せる強さがあるんじゃないのか??」
「…」
ヨシオは俯き操縦レバーを握る手は強く震えていた。
しかしそれは懺悔や後悔といった感情から生み出されたものではなかった。
「あ~~~~~~、マッジでウザ過ぎる!!お前みたいにクソの綺麗ごと並べる奴、意味不明なこと言ってこっち側に泣き寝入りさせようとする奴、マジでウザいんだよ!!!!!」
ギルティに向けられていた手の平は方向を変えギムへと移動した。
「!!」
「まずお前から死ねよ!クソ偽善者」
ヨシオがレバー隣にあるスイッチを押すと、ギム刑事に向けた手の平発射口が光り次第にその光りは強さを増していく。
今にもキャノン砲がギム刑事に向かって発射されそうになった、次の瞬間、
”ドッゴォォン”
「うわぁっ!!!??」
「!!」
「!?」
突然どこから飛んで来たかも分からない砲弾の様な物がデストロイド1号の肩に命中し、操縦室のヨシオもろとも機体は大きくバランスを崩した。
「な、なんだ??」
「あ、あれは…!?」
「!!?」
ギム刑事、ギルティ、そしてヨシオが視線を向ける先には驚きの光景が映っていた。




