第5世界核兵器VSデストロイド1号
やがてデストロイド1号が巻き起こした竜巻は勢力を弱め、次々と宙に舞っていた物が地面に叩き付けられていく。
続々と起き上がっていく人々、しかし中には既に動かなくなっている者もいた。
ギム刑事が瓦礫の中から姿を現し、その凄惨な光景の中から立ち上がるギルティを視界に捉える。
ギルティは苦痛に顔を歪めながら右手で左肩を抑えていた。
「ギルティ、無事か?」
「あっ、あぁ。肩を脱臼した様だが問題ない」
「すぐに医者に見せないと。はっ、ドレッドは?」
2人は辺りを見回すと、数メートル離れた場所でドレッドが倒れている姿を見つけた。
「ドレッド!」
2人が駆け寄り様子を伺うと、ドレッドは頭を強く打ったのかこめかみの部分から少しの血を流し気を失っている状態だった。
それから暫くしてドレッドが目を覚ましたのは病院のベッドの上だった。
天井の風景が目に映り、すぐさま体を起こした。
「あぁっ、いっつぅ…」
ドレッドは体を起こした瞬間、頭に走った激痛に体を丸めた。
「ここは、どこだ…?」
頭痛が引き周囲を見渡すと、病室に居るのは自分一人であることに気付く。
”コンコン”
「!」
病室のドアが開き外から入って来たのはギム刑事、ギルティ、そしてオットロだった。
「目を覚ましたか」
「ギム、ここはどこだ?」
「近くの病院だ」
「はっ!エリカは?エリカはどこだ??」
「…」
ギム刑事、そしてギルティは互いに顔を背けた。
「遺体は安置所にある。残念だ…」
「!!!」
ドレッドは両の拳を膝上で強く握り締め怒りから体中を震わせ始めた。
「あのガキィ、絶対にぶっ殺してやるっ!!」
「…」
自身の真横で殺害宣告をしたドレッドだったが、エリカが目の前で殺されたこと、その怒りに震えるドレッドを見てギム刑事は注意することが出来ずにいた。
「おい、あの野郎は今どうなってる?どこにいやがる?」
ギム刑事は棚に置いてあったリモコンを取り、病室にあるTVをつけた。
そこにはヨシオの操作するデストロイド1号の残酷無比な暴走風景が克明に映し出されていた。
「!!」
「彼の勢いは止まらない。既に9つの街が完全に破壊された」
「警察は?軍は何してやがる?」
「戦車数十台を出動させても全く歯が立たない。今は彼の制圧ではなく市民の非難に全力を挙げるのが精一杯だ」
「やっぱ殺し屋の核をブチ込むしかねぇ!」
「簡単に言うな、この国は非核国家だ。核爆弾の使用にどれだけの法律と協定、倫理論争が関わってくるかはいくらお前でも分かるだろ。無断で使用すれば国際問題だ。正式なルートで使用許可が出た頃には地球は破壊されてるだろうが…」
「バカかテメェは?規則だルールだ法律だと、いい加減にしろ!世界が滅んだら元も子もねぇだろぉが!」
「放射線の影響はどうするつもりだ?どれだけの人々が被爆するか検討もつかん。街ひとつがゴーストタウンになれば、追いやられた人達はどうなる?」
「ならこのままあのガキに地球が滅ぼされるのを指咥えて見てんのかよ??もう既に9つがゴーストタウンなんだろうが!」
「…分かっている、最終手段としては考えている…」
「この際ある程度の犠牲はしょうがねぇだろ!もうとっくに数え切れない人間が奴のせいでくたばってんだ!」
「倫理論争はそこまでだ、まずはもっと重要なことがあるだろ!」
「!??」
ギルティが2人の口論を割って止め、内胸ポケットから商品である”第5世界製核兵器”を取り出した。
「本当に、これであのロボットを破壊出来るのか?」
「!」




