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キャットエイジ  作者: むいむい。
2/6

気がつくとジャングル

 目を覚ましてガバっと体を起こす。

 不快でない程度に湿った温かい風が腕や胸をなでていく。

 どこまでも続くジャングルの中に、岩でできた高台があり、その中腹の洞窟の入り口あたりに俺ことモリタケはいた。脚や腰の下には、苔生した土の感触。多分、背中にもついているんだろう。

 グルルルルル――。

 振り向くと、ホワイトタイガーと目があった。

「わっ」

 驚いたが、不快だった訳ではない。こんなにホワイトタイガーの顔を間近に見たことがなかったからだ。普通はないだろうが。せいぜい動物園の飼育員くらいだろうか。

「ガゥ」

 ホワイトタガーが軽く吠える。

――起きたか。

 頭の中に意味が聞こえてきた。

「……え、今の、君が?」

「ガゥゥ」

――その通りだ、下僕よ。

「あ、はい」

 猫に下僕呼ばわりされてついうっかり肯定してしまった。

――妾は下僕にさせたいことがあって、こちらに呼び寄せた。

「こちらと申しますと」

 ホワイトタイガーの持つイメージが伝わってくる。およそ半径200キロ以上の楕円形のジャングルだ。ここはそのほぼ中心にある、ホワイトタイガーの巣であった。

――これこそが妾の領域テリトリーにして、妾の子等の安住の地。いや、これからそうなるべき土地なのだ。

 さらにイメージが流れ込んでくる。

 戦乱。使い潰される猫耳や犬耳やその他の獣人たち。人の都合で獣人たちが戦場で殺し合わなければならなくなった。悲嘆と悲惨、血と鉄と炎、涙と叫び。傷つきながらも逃げ出す獣人たち。ホワイトタイガーは、それを憂えていた。

――下僕よ。妾の子等に、安住の地を用意せよ。

「御意です白虎様。――とは言え、ただの人間に何ができましょうか」

――案ずるな、下僕よ。

 ホワイトタイガーは、振り向き、かたわらに生っていた果実を口でもいだ。匂いに顔をしかめているが、なんとかそれを運び、俺はそれを両手で受け取った。

――触ればわかる。そして知りたいと念じよ。

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