第六話
正に夏真っ盛り、な八月中旬。関東地方に位置するこの町では、気温が三十度を超える事も珍しくなく、遂には猛暑日までもが頻発するようになっていた。
そこまでの気温ともなれば唯でさえ湿気で辛い日本のこと、当然夜や朝さえ尋常では無く暑苦しい。かといって一晩中エアコンを吹かせているのは、電気代的にも健康的にもよろしく無い。
まあ、結局何が言いたいのかというと。名残冷夏もまたその被害を受け、汗だくの状態で目が覚めた、という話である。
「……こんな事なら変に遠慮したりせず、エアコンをつけて寝るべきでしたか」
小声で愚痴りながら、汗をたっぷり吸ったベッドから身を起こす。カーテンを開けて朝日を取り入れれば、視界に映るのはここ数日で漸く見慣れてきた部屋の様子。
特徴の無い壁紙にフローリングの床、大き目のクローゼットが一つに本棚が二つ、机と椅子のセットが一つ。後は収納棚や細々とした物品と壁に掛かったエアコンに、つい先程まで横になっていた湿ったベッド。
この中で、自分の物と呼べるものは驚くほど少ない。それもそうだろう、何せ今居るのは自分の家では無いのだから。
変態の兄と争ったあの事件から、およそ十日。冷夏は今、彼女曰く『冴え無い変態』こと四速総真の家に住んでいた。
何故? と思われるかもしれないが理由は単純で、兄である狂三郎の待つ家に帰りたくなかったからである。事件の後、一時は自宅できちんと過ごして居た冷夏であったが、止む事の無い兄からのお見合い攻勢には流石に参った。
何せ薦められる相手が全て、例外なく変態なのだ。一度は翻した決意をまた翻し、家から出て行く事になったのは最早当然の帰結と言うべきだろう。
しかし未だ学生の身である冷夏には、その身一つで生きて行く事は非常に困難である。以前の家出の時は適当に安ホテルに泊まっていたのだが、今回は長期、下手をすればもう二度と戻らない予定だ。金銭的な事を考えれば、ホテルはもちろんそこらの安アパートでさえ厳しいものがある。
という訳で彼女が頼ったのが最近懇意になった博士こと物宮西加であり、彼女に連れられて到着したのが此処、四速総真の家であったのだ。
(おかしいです。どうしてこうなったんでしょう?)
内心首を傾げながら、冷夏はクローゼットから今日着る服を選び出す。
曰く、博士の家も此処であるらしいのだ。正確には此処と、研究室に存在する宿泊施設を行き来しているらしいのだが。
それを知った当初、冷夏は当然の如く総真へと冷たい目を向けた。こんな幼い子供さえその毒牙にかけるのか、と実際口に出して突っ込みもした。
そうして、総真から西加を引き離そうとしたのだが――てっきり笑って乗ってくると思っていた彼女は、その時ばかりは真剣な顔になって拒絶した。勿論冷夏とて彼女と総真が近しい関係であるとは知っていたのであくまで冗談だったのだが、彼女はそれすらも明確に拒絶したのだ。
どうやら、総真と博士の間には並々ならぬ絆があるらしい。あまり下手に突っ込むべきものでも無いのだろうが、何だか気になる。何れ機を見て、聞いてみようか。
そんな取りとめも無い事を考えている内に用意を終えた冷夏は、早足で部屋を出るとそのまま階段を降りて一階にある浴室へと足を進めた。今日の朝食は自分の当番だったはずだ、早々にお風呂を済ませて早速調理に取り掛かろう。
昨日の内に把握しておいた冷蔵庫の中身と照らし合わせ、朝食の献立を考えながら、脱衣所の扉を開ける。そうして中に入って扉を閉めると、着替えを適当な棚に置き、汗を吸って不快なパジャマを脱ぎ捨てた。
彼女のスレンダーで美しい肢体が露になる。絹の様に白い肌、ちょっと湿った艶のある黒髪。感情の出難い冷たい表情とは裏腹に、薄桃色の可愛い下着が少女らしさを醸し出している。
そうしてその下着さえ脱ぎ捨てた彼女が、早速浴場へ向かおうとした所で――
ガチャリ。大きく開かれる、脱衣所の扉。
ミスりました、鍵を掛け忘れていた――後悔するももう遅い。咄嗟に遮断時流を展開し逃れようとするもそれも間に合わず、哀れ彼女の肢体の全ては変態の網膜に焼き付けられ――
「おお、冷夏っ! 朝からお風呂か? 優雅な事だな!」
「……何だ、博士でしたか。驚かさないで下さい」
心配は、杞憂に終わった。てっきりあの変態男が入ってくるとばかり思っていた冷夏は、元気良く手を上げ笑う小柄な少女に安堵の息を吐く。
「? どうした、冷夏。朝から溜息とは、幸せが逃げるぞっ」
「いえ。ある意味、幸運でした」
そう返せば、西加は無邪気に首を傾げる。まだ幼い少女には、此方の危惧する所は伝わっていないらしい。
天才の割りにこういう部分だけはまだまだ子供である。が、だからこそ人にきつく当たり気味の冷夏も、彼女に対しては普通に接する事が出来るのかもしれない。
「しかし冷夏、お主もしかしてエアコンを点けずに眠ったのか?」
「ええ、そうですが」
「別段、遠慮しなくても良いのだぞ? 私の数々の発明のおかげで、金は余る程ある。本当はこの家ももっと大きな秘密基地に改造したいのだが、思い出が詰まっていると総真に拒否されてな」
残念だなーと暢気な声を上げながら顔を洗う西加に、内心当然でしょうと返す。例え思い出が詰まっていなくとも、普通の住宅街に秘密基地など建てられれば目立って仕方が無い。そんな場所で暮らすなど、動物園の猿ではあるまいに。
「しかし、凄い汗だな」
ぺたぺたと、その小さな手で冷夏の体を触る西加。ちょっと困った顔になる冷夏だが、女性、それも子供相手という事で強く拒絶はせず、やんわりと手を離すに留まった。
そうして手を離された西加は、なにやら思いついたようにポンと一つ手を叩いて小走り。
「? どうしたんです?」
「うむ、ちょっとな。……あった! これだ!」
お宝でも見つけたかのように彼女が軽く畳まれた衣服の中から取り出したのは、冷夏の下着だ。それも、先程脱ぎ捨てたばかりのピンクのそれである。
「……何してるんですか」
「はっはっはー、やはりびちょびちょだ! 今にもパンツから汗が滴り落ちてきそうだぞ!」
「いえ、そうではなくて」
「ん? ああ、安心しろ変な事はしない。ただ、これを……こうだ!」
言いながら懐から細く小さな試験官のような物を取り出した西加は、それを床に立て足で押さえると、その上で徐に冷夏の下着を搾りだす。
まるで果汁のように滴り落ちた冷夏の汗を試験官に詰め込み、蓋をして懐に仕舞い込むと、西加は満足そうに頷いて、
「うむ、これでよし。邪魔したな、冷夏っ!」
「ちょっと待って下さい。天才である貴女の考えが凡人である私に理解出来るとは思っていませんが、それでもせめて今の行動の理由位は教えてくれませんか」
「そうか、そうだなっ。私は科学者・発明家の端くれとして様々な研究を行っているが、実はその中には時流者についての研究も含まれているのだっ」
「時流者について、ですか」
「といってもおまけ程度だがな。どちらかと言えば時流者自体よりも時流至断理論の研究の方が多い。それも所詮は他の研究の片手間に、だが」
どうやら彼女は、提唱から百年経って尚全盛期と言える程に世を賑わせている時流者及び時流至断理論の研究については、それ程興味が無いらしい。
まあ、それもそうか。でなければトーレン・ライドなどという、酔狂を通り越した狂人のシステムに時間を掛ける訳が無い。世間一般の常識に囚われないからこそのあのシステム、だからこその大天才なのだろう。
「それで、それと今の行動と、何の関係が?」
「研究するとなれば当然対象となる時流者の体液の一つも必要だろう。今までは色々と伝手を使って入手していたが、せっかくこうして時流者と同居しているのだ、その縁を活かさなければ損だろう? そういう訳で、冷夏の汁は貰っていくぞ!」
説明を一通り終えると、はーはははーと高笑いを上げ、西加は去って行ってしまった。
正直自分の体液を採取されるというのは良い気はしないが、彼女ならばどこぞの変態と違って変な事には使わないだろうし、多少は良いだろう。この家に滞在する為の費用と考えれば、安いものだ。
そう納得した冷夏は、今度こそしっかりと鍵を閉めると、早くお風呂に入ろうと浴場の扉を開けたのだった。
尚、総真は未だ自室のベッドの上で寝転げていました。肝心な所で間の悪い主人公である。
~~~~~~
『一週間後に行われる世界選手権に備え、多数の時流者達が主催国である日本へと来日し……』
何とはなしに点けておいたテレビから流れる種種様々なニュースをBGMに、ようやく起床した総真を含む三人は、揃ってテーブルを囲み朝食を摂っていた。
天気予報でも言われていたが、どうやら今日は良く晴れるらしい。窓から見える空は青々と雲一つ無く広がり、どうやら連日に漏れず異常な暑さを人々に提供してくれそうだ。
最も、改造人間状態の自分には関係ないのだが――そう取り止めもない事を考えながらも(一応は)美少女の作った朝食を堪能していた総真だが、一通り食事を終えると食後のお茶を一啜り、その身体の何処にそんなに入るんだという位に大量のパンをほお張っている小さな同居人へと確認の言葉を切り出した。
「博士、今日は何か特別な用事があるんだろ?」
「む? ん、んぐんぐ……そうだ、だから絶対に研究室に来てもらうぞっ!」
助手として研究室に入り浸っている総真だが、だからといって毎日通っているかといえばそうでは無い。彼にとて普段の生活がある、一高校生男子としてやりたい事もある。
無論、幼い頃から情熱を注いできたトーレン・ライドの完成、ひいては憎きあん畜生の打倒というのは彼の人生にとっての一大目標ではあるが、その為に自分の人生全てを犠牲にする、などという修行僧のような信念は別段無いのだ。あくまでも人生を謳歌しつつ、達成する事にこそ意味がある。
でないとあの畜生のせいで人生まで踏み潰されて負けた気がする、とは本人の談である。加えて言えばまだ最終調整中とはいえ、トーレン・ライドが一応の完成を見た事で少々気が抜けたというのもあるだろう。
そんな訳でここ数日は研究室で調整やデータ取りを行いながらも、ごく普通の夏休みを送っていた総真だが、今日に限っては博士から一日空けて置け、と厳命されていた。
トーレン・ライドに関する事かと聞けば違うと言う。では何なのか、と聞いてもはぐらかす。
結局どれだけ聞いても答えは貰えず、子供の誕生日前日の両親のような笑みで、当日を楽しみにしておけと言われてしまっていた。まあそんな風に勿体つけるのもこの博士、良くやることなので、総真は了解と軽く請け負って今日の予定を空けておいたのだが。
「特に用意しておくものは無いんだよな?」
「ああ、総真はその身一つで来てくれれば良い。ま、ちょっとした発表会のようなものだしな」
「発表会? その為に丸一日空けとくのか?」
些か疑問である。博士こと西加が多様に行っている研究の成果を身内である己に第一に発表してくる事は珍しくは無いが、通常それだけならば一時間もあれば十分過ぎるはずである。
なにせ大概は研究のレベルが高すぎて、総真には大まかにしか理解出来ないのだ。西加自身もそれを良く分かっているから、詳細な理論だの構造だのといった部分まで解説したり理解を求めたりはしない。
つまりどんなに見積もっても午前中さえあれば事足りるはずであり、午後まで時間を取るというのは相当に特殊で重大な内容の可能性が高いのである。
はて、一体どんな研究なのか――そう思案の渦の中に沈みかけた総真の意識を浮上させたのは、もう一人の同席者で。
「その発表会、私も参加して良いですか?」
「勿論っ。冷夏もぜひ、見ていってくれ。そして驚いてくれっ!」
元気良く了承する博士に、満足そうに冷夏はサラダへと伸ばしていた手を再動させた。
どうも冷夏、博士の研究の数々に興味があるらしい。ここ数日で気付いた事だ。
と、山と積まれていたパンの全てを平らげた博士が、椅子から跳ね立ちながら両手を合わせる。
「ごちそうさまっ。それでは私は先に行って準備を整えておく、お主達はそうだな……一時間程したら来い。ではなっ!」
ぶんぶんと手を振って、兎のように跳ね回りながら博士は去って行った。相変わらず元気に溢れた幼女である。
彼女の発表、とやらが何なのかはまだ分からないが、まあ言われた通り楽しみにしておく事としよう。そう思いながらおかわりを注ごうと手を伸ばした急須は、直前で冷夏に掻っ攫われた。
~~~~~~
それから一時間後。言われた通り総真と冷夏の二人は、うだるような暑さの中を懸命に徒歩で踏破し、敷島高校にある研究室へと辿り着いていた。
暑さもそうだが、せっかくお風呂に入ったというのにまた汗を掻いた事で、冷夏は露骨に不機嫌そうである。だったら家に居れば良かったのに、と思った総真だったが実際そう言ったらスタンガンを撃たれ暫く痺れる事になったので、以後口を控える事としていた。
体温管理のおかげで汗一つ掻いていない手で、プレハブ小屋の扉を開ける。中は六畳程度の然して広くも無い部屋で、壁際にくっ付けられたスチールデスクとぼろぼろな木の椅子がまるで廃墟のようにこの場所を彩っている。
後は、小さな本棚が一つ、角に置かれている位だろうか。収められている本はどれも異なった国の言語で書かれており、多国語に詳しくない総真にはほとんど理解は不可能だった。
初め冷夏にこの部屋を見せた時には、大層驚かれ腐ったキャベツを見るような目を向けられたものだ。それもそうだろう、この光景を研究室だと主張する人間が居たら、それは最早更正施設にでもぶちこんでおくべき人種である。
が、そこは当然かの大天才物宮西加の研究室、これで終わる訳が無い。
という事で総真は慣れた手つきでスチールデスクの上から二番目の引き出しを開けると、設置されているでかでかとした真っ赤なスイッチを叩いた。
途端、部屋の中央の床がゴゴゴゴといかにもそれらしい擬音を鳴らしながら開き、地下へと続く階段が顕れる。これこそ博士の研究室へと繋がる、秘密の通路である。
それじゃあ行くか、と気軽にその階段を降りようとした総真だが、ぐいと肩を掴まれ少女のものとは思えぬ怪力で身を後ろに引っ張られた。
「私が先に行く、という決まりのはずです」
「あ、そうだったな。悪い悪い、ついいつもの癖で」
「はぁ。もうこれで三度目ですよ? 絶対に嘘ですよね、間違いないです。そんなに私のスカートの中が見たいんですか? 見たいですよね、変態ですから」
「ソンナコトナイヨー」
掻かないはずの汗をだらだらと流しながら、総真はそっぽを向いた。
何せこの階段、結構急である。それこそ降りている最中に振り向けば、後ろの少女の大切な部分が覗けてしまう位、角度がある。
おまけに途中には梯子まであるのだから、総真が先に行った場合どうなるかは言わずもがなであった。なお安全性に関してはあの博士のこと、きっちりと配慮されている。常識的では無い発明品によるものではあったが。
暫く此方をジト目で見詰めていた冷夏だが、いい加減この暑さにも嫌気がさしたのか、研究室の涼しい空気を求めて階段を降りて行った。続いて、総真もまたそこそこ明るく照らされた階段を降りて行く。
(危ない危ない、もう少しでまたスタンガンを喰らう所だった)
額の汗を袖で拭いながら、内心安堵の息を吐く。
ぶっちゃけ、冷夏の言っていた事は結構当たっていた。総真とて年頃の男の子、女子のスカートの中には大層興味がある。ましてそれが冷夏程の美少女となれば尚更だ。
だから密かにチャンスを狙っていたのだが、今後は止めておくとしよう。いい加減限界だろうし、正直リスクに合わない。もし実現してしまえば冷夏の好感度がストップ安まで下がる事は間違いなく、おまけに『あの』兄による殺戮ショーの幕開けとなりかねないからだ。
四速総真、男の子だからといって一時の性欲に命まで賭けるほど愚かな人間では無いのである。へたれでは無い、と自分では思っている。
そんなこんなで階段と梯子を降りたその先には、小さな金属製の扉が厳かに座していた。ぴっちりと閉じ、取っ手も無いその扉の横にあるスイッチを冷夏が慣れた様子で押せば、開いた扉の向こうから明るい光が網膜に差し込む。
その人が五人も入れば一杯になりそうなエレベーターに乗って一つだけあるボタンを押し、十秒も待てば目的地に到着だ。
ガーと小さな音と共にエレベーターの扉が開き、目に入って来たのは――
「相変わらず凄い所ですね、此処は」
白を基調とした、広々とした研究室の姿であった。
様々な機材が設置されており、部屋も幾つか存在する為一見しただけでは正確には分かり辛いが、此処から見えるだけでも学校の校庭位の広さがある。
多分全ての施設を統合した研究室全体の大きさとしては、この学校全てよりも広いのではないか。きっと今上で部活動に精を出している皆には、自分達の下にこんな空間が広がっているなどとは想像もつかない事だろう。
そしてそんな空間の一角に、彼女は居た。
「おお、待っていたぞ二人共!」
満面の笑みで手を振る博士の下へ、脚を進める。徐々に大きくなる彼女の隣には灰色の布が掛けられた縦に長く大きな物体が鎮座しており、恐らくはこれが例の発表物であろうと読み取れた。
しかし、大きい。まず間違いなく総真よりも大きなその何かは、横幅はそうでもないが高さについてはそれこそ三メートル近くはあった。
布越しに浮き上がるラインによって、円柱型をしている事も予想が付く。まさかミサイルでも作ったのだろうか、この幼女は?
そう冗談交じりにいぶかしみながらも、総真は軽く手を挙げて博士に応えた。
「おーう博士、さっきぶり。で、その隣のが俺達に見せたいもの、って事で良いんだよな?」
「その通りだっ。一刻も早くこの大発明を見せたくて、私は今無性にうずうずしているぞっ!」
ぬりゃー、はやぁーと奇声を上げながら訳の分からぬ動きをする博士に、冷夏と揃って苦笑する。こういう所は、実に年相応な少女であった。
「それじゃあ早速、見せてもらえるか?」
「勿論だともっ! 本当はもっともったいぶりたい所だが、私の方が我慢できん。百聞は一見に如かずとも言うしな、まず見てもらうのが一番だろうっ!」
そう言って彼女は、布の端を手に取った。次いで冷夏を手招きすると、反対側を持つよう指示を出す。
きっと俺が言ったら素直に従ってはくれないんだろうなー、と思いながら総真が眺めるその前で、布の両端を持った二人は、博士の合図で揃ってその布を取り払った。
「これが私の大発明っ! 心を持ったロボット――『MN―11483・アルトリーナ』だ総真ああああああああああああああ!」
そうして露になった巨大な試験官のような装置の中に浮かぶ、長い緑髪を持った美しい女性の姿に、総真の意識の全てが釘付けになった――。