私家版 SF DO & DON'T
ご意見をいただけると助かります。
私論であり、試論であり、極論です。その点はご容赦を。
(*** 私家版 SF DO & DON'T ***)
Ver. 2015-Mar-21-1
Ver. 2015-Mar-23-1: 「科学的な考え方とは言っても~」に書いた疑問を持つことを追加しました。
深く考えていません。「SFってなんなんだろう?」のシリーズをベースに、私が思う、「SFにおけるDoとDon't」を列挙してみます。あくまで私論であり試論です。もちろん極論でもあります。ここから外れることもSFにおいてはあって当然のことです。
DoとDon'tは表裏の関係になりますが、とりあえず両方書いておきます。
深く考えていないので、適宜改訂すると思います。
(** DO **)
1. 早い段階で可能なかぎり多くのネタを見せる:
読者の頭の中に作中の世界を構築するためにも、作品の早い段階で可能なかぎり多くのネタを提示しましょう。SF読みはオチや結論は求めていません。結論と結末とは異なるものです。結末は必要ですが、結論は不要です。
2. 異質であれ。どこまでも異質であれ:
意外性というのは、内容などを提示されることで読み手にとって納得できるものかもしれません。異質さは、理解できない、あるいは理解が追い付かないものです。納得できたことで喜ぶSF読みはいません。SF読みが求めているのは意外性ではなく、異質さです。
3. ガジェットはカセであれ:
ガジェットとは、小道具に限りません。設定の要素の全てがガジェットです。
ガジェットは、話の舞台や展開に対してのカセでなければなりません。カセであってこそ展開の原動力や鍵となります。
4. 想像力を制御せよ:
想像力は羽ばたかせるものではありません。どこまでも広がる想像力は、制御しなければなりません。制御されない想像力は、ただの魔法しか思いつかせません。
5. 貪欲に学べ:
あらゆる学術分野と過去のSF作品をを貪欲に学びましょう。学術分野の知識がSFの父であるとすれば、過去のSF作品はSFの母と言えるでしょう(逆でも構いませんが)。特殊なガジェットにそれっぽい理屈付けをするためにも、知識は多いほど望ましいです。詳細まで理解する必要はありません。たとえ話ができる程度で充分です。
6. 科学と科学的な考え方をエクストラポレートせよ:
あくまで科学的であれ。科学的な考え方であれ。
7. 疑問を持て:
どれほど単純なことであったり、基本的なことであっても疑問を持ってみましょう。それが事実でも、仮説でも、予想でも、社会的なルールであっても。
(** DO NOT **)
1. (一人の)天才による解決はあってはならない:
天才科学者、天才技術者――とくに一人の――によって問題が解決する展開は論外です。仮にそれを行なうのだとしたら、解決できるだけの背景があることを、できるだけ早い段階から匂わせましょう。
2. トリック的展開は避けろ:
「実は」などなど、あるいは「後で明らかになった」という類いの展開は、SF読みに対して詐欺を働いています。SF読みはそういうものは望んでいません。「後で明らかになった」という展開をするなら、できるだけ早い段階から「明らかになる」ことを匂わせましょう。
3. ガジェットに依存するな:
何か特定の事柄についてであっても万能であるガジェットを出してはいけません。話の何もかもが特定のガジェットの存在に依拠しているのであれば、まさにそのガジェットこそが問題であるという話を書きましょう。あるいは、あるガジェットで問題が解決してしまうのであれば、1. および2. と同じことをガジェットを使って行なうだけにすぎません。
なお「万能」という言葉については「万能ネギは全能か?」という古い議論があります(もちろんジョークとしての議論ですが)。
4. 想像力を羽ばたかせるな:
3. とも関連します。想像力を羽ばたかせてはいけません。想像力は制御するものです。制御されない想像力は、ただの魔法しか思いつかせません。そして、そのような安易な魔法は、SFとは相容れないものです。
5. 学ぶことを厭うな:
勉強というのはそもそも楽しいものです。Eテレで「知らないってワクワク」とか流していますが、むしろ「知りたいってワクワク」の方がいいのではないかと思います。学ぶことは受動的な行為ではありません。積極的に学ぶからこそ楽しいのです。学ぶこと、そしてそれについての能動的な姿勢を失ったとき、あなたの知性は一瞬にして錆びつき始めます。
6. 魔法、超能力を使うな:
魔法、超能力はうまく制御できないかぎり、SFの範疇ではありません。
7. 考えることを放棄するな:
事実でも社会的なルールでも、「そういうものである」として考えることを放棄してはいけません。