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8、一枚布は、万能です

すー…すー…。


よし、よく寝ているな。

実行するなら…今のうち…。


ごそごそ。


あっ…、そんな。


ひやんっ、やっ…破れちゃう。


かっ…固い…。



何をしているかって?


布を外そうとしていたのである。


身に纏っていた布は、胸の部分と、腰から下だけだった。

ヘソだしが抵抗なく、受け入れられるような時代に育ったとはいえ…、私は恥ずかしい。

せめて、お腹周りを隠したい。


ぼっきゅんぼんでも、恥ずかしいモノは恥ずかしいんだい!


ティークが寝静まるのを待って、作戦開始である。

身につけていた布を外して、寝る前に借りたフェルトモドキを肩からしっかり被って、準備万全。


胸当ては、幅が狭い。

加工には厳しいので、とりあえず置いておく。

解く時に分かったのだが、胸の前で布を交差させて、縛っているだけだった。

なんと言うお手軽さ。

長さはそれなりにあったので、ベルト代わりにはなるかもしれない。


腰巻きは、二つ折りにした布を、これまた巻きつけて縛っているだけだった。


当然、下着はない。


下着…切実な問題…。


胸と違って、二回りしてたので、幅も長さも申し分なかった。


肌触りは、少しゴワゴワしてたから、植物から作り出した物なのだろう。

色は、生成りのような淡い色だった。


しかし、針もない。糸ももちろんない。

さて、どうしたものか。


しっぽは、尾てい骨があった辺りから生えていた。

尾てい骨と言う名は、伊達じゃなかったか。


二枚を前に、暫く考える。


そして、ふと思い出した。

パレオと言う存在に。

あれは一枚布を、どうにかしたものじゃないか。


思い出してからは、早かった。


パレオの巻き方も色々あるが、難しいのは覚えていない。

かつて流行った、首で結ぶ、あのパターンしか覚えていないのだ。

パレオに使う布は、華やかな物が多いのだが、そんなの知ったこっちゃない。


今ある物で、なんとかせにゃならぬ。


胸の前で、布をネジネジ。

あぁ、昔を思い出す…。


首の後ろで結ぶ時に、腕やら脇やらが、ピキッとなったのは気のせい。

気のせいだってば!


長さは膝丈くらいになった。


前が思いっきり広がるのを避ける為に、残っていた布を腰に巻き、リボン結びにしておく。


寝る時は、前じゃないと、背中が痛そうです。


これで、多少はマシかな…。


二重で無い分、薄くはなってしまったけど、「身体を覆っている」感が増した気がする。


フェルトモドキをかぶり直し、横になって、身を丸める。


あぁ、地面が固いよぅ…。

柔らかいお布団が恋しいよぅ…。


明日のティークの反応を楽しみにしつつ、私も寝ることにした。


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