表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/37

5、食べられる、何か

目の前に置かれた物は、数種類。


白い物(塊)と、白い物(粉末)と、赤い物(果物ちっく)と、赤い物(塊)、である。


赤い塊は、お肉らしい。

見た目がそうっぽいので、そう判断しておこう。


白い塊は、全くもって謎のまま。

ゴツゴツしてて、岩のようである。


白い粉末は、謎のお薬か!と思ったら、塩だった。


食べ方が分からずに、まごまごしていたら。


「はい。」


と、お肉を半分に切って渡された。


そのままかい!


仕方がないので、齧りついてみる…。

齧りついて…。

齧り…。


固い!


よくこんな物が切れたな。

てか、普通に齧ってますよ、ティーク凄い。


固さはそう、スルメと同じ。

干したんだろうな、と想像はつく。

しかし、想像して欲しい。


厚さが三センチ位ある、スルメ。


噛めるかい!齧りつけるかい!


噛むことも、齧りつくこともままならず、四苦八苦してたら、ティークは、笑いながら、白い塊も分けてくれた。


これは、それほど固くなかった。


ただ、死ぬほど不味かった。


材料は小麦粉っぽい物だろう。

それをただ捏ねて…いや、捏ねてすらいなさそう。

水を入れて、まとめて、半乾きにしました!みたいな物体。


ティークを見ていると、塩を舐めてから、白い塊を齧っている。


あぁ、味無いものね…と妙に納得してしまう。


真似をしてみたが、不味いことに変わりはなかった。

塩、めっちゃしょっぱい。


赤い果物は、リンゴっぽかった。


ただ、スカスカしてた。味はぼやけていて薄い。


どれもこれも手をつけてみて、私は唖然としていた。


これが…ご飯…。


自分は今、究極に、この世界に来たことを、後悔している。


こういっちゃあ、なんだが、自分は料理は大好きだった。

フランス料理のフルコース!とか言われたら無理だが、大抵の料理は作ることが出来た。

勿論、お菓子も。


裁縫もそれなりに出来た。

コスプレ衣装を作っていたくらいだし、洋裁も和裁もついでに編み物も出来た。


服は布切れ、料理は、辛うじて食べられる何か。


そんなのは…。


そんなのは…、許せる訳が無いっ!


たとえだ、たとえ、これが旅行用の携帯食だったとしても。

もっと、こう…あるだろっ!


皆月 愛理、18歳。

お父さん、お母さん、ごめんなさい。

どうも日本には、帰れそうもありません。


この世界に…料理と言う名のご飯と、裁縫と呼ばれる服を教え込むまでは!


「アイリー、食べないの?」


何処からか響く呑気なティークの声を聞きながら、私はそう決心した。


もっとも、獣人の自分は、帰ったら大騒ぎだろうし、「あれ」にも帰れないって言われちゃっているんだけどね。


ようやくタイトルに追いついた…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ