4、獣人って憧れだよね!
確かに、ネコミミネコしっぽは、大好物だ。
若気の至りで、某格ゲーのコスプレもした。
露出過多で、18禁認定も食らったが。
いや、今はそんな話をしている場合ではない。
リアルにしっぽ生えているってどうよーーーーーーーーーっ!
と、全力で叫びたい。
さりげなく、自分の耳の辺りに手をやったら、もふもふに触った。
………さっきの叫びに、ミミも追加したい。
そう、座ろうとして気がついたのだ。
自分の足にまとわりつく何かに…。
…そうか、自分は獣人になったのか…。
もう一回「あれ」に会う機会があったなら、迷わずにぶっ飛ばしてやろう。
そう心に決めた。
彼の横に、とりあえず座る。
しっぽはちょっと意識したら、座るのに邪魔にはならなくなった。
コントロール出来るようになったのかなぁ…。
「とりあえず、ボクは、ティーク。旅の途中だったんだけど…、君が倒れてたからさ、夜にもなるし、ここで野営始めたんだけど…。」
申し訳なさそうに、ぽりぽりと頭を掻くティークさん。
「あんまりにも寒いし、君も冷え切ってたから、あっためようと思ってさ。ごめんね。」
…命の恩人だったのか。
突き飛ばしてしまったーよ。
「いっ…いえ、ありがとうございました!私はアイリです…。」
名乗ってから気がついた。
私、自分の身の上知らんやんけ!
「あれ」、ミスが多いわ…。
「アイリちゃん、か。自分で帰れる?」
ティークさんの問いに、ふるふると首を振る。
「じゃあ、送って行かなきゃかな…、何処だか分かる?」
これにも、首を振る。
「あっあの…私、記憶がなくって、名前以外思い出せなくて…。」
必殺!都合良く、記憶喪失!
このティークさん、いい人みたいだし、この人について行ったら、色々覚えれる筈!
「そっか…。じゃあ、手がかりはこれだけか…。」
あ!「あれ」からもらった金属カード!
ティークさんは、はい、と返してくれた。
「よく分からない言葉で書いてあるけど…大事な物なんでしょ?握り締めてたし。」
「はい。」
大事かどうかは微妙だけど。
とりあえず、カードの文章に目を通す。
『彼を落とせ!』
ご丁寧に日本語で書かれていた。
助言かよ!
いや、言われなくても、彼について行く以外、選択肢ないと思うんですけど⁈
「何か思い出した?」
ティークさん…あんた、優しい。
優し過ぎやて。
彼の問いかけに、首を振ってから。
「でも…大切な物のような、気がする。」
と、一応言っておく。
スキルが見れる約束だもんね!
「ティークさん…。」
「さんは要らないよ、ティークでいい。こっちもアイリって呼んでいい?」
彼の問いかけに、今度は頷く。
「じゃあ、ティーク…、私も一緒に旅しちゃ、ダメかな。」
頑張れ!超頑張れ、自分!
こう…上目遣いで、ちょっとモジモジして、お目目もうるうるさせて。
手をきゅっと組んで、尚且つちょっと胸の谷間を強調だ!
俗に言う、ぶりっ子ってヤツである。
身も蓋もない言い方をすれば。
これで、ティークがちょっとでも赤くなったり…、目を背けたりしたら成功である。
押し倒されるのは、勘弁していただきたいが。
「あはは、無理しなくていいよ、アイリ。」
えっ?ええっ?
こんなに頑張ったというのに⁈
赤くなることもなく、背けることもなく、押し倒されることなど、欠片もなく⁈
「そうだね、一緒に行こう。とにかく、この森を抜けなきゃね。」
置いて行かれた感満載で、ぽかーんとする私。
…くきゅ〜るるる…。
何も知らずに鳴るお腹。
「うん、うん、何か食べようか。」
敷物の隅に置かれた荷物を、ティークが解き、食べ物を取り出すまで。
石化でもかけられたかのように、私は固まったままだったのである。
えー、そろそろタイトルに沿った物を出さないと…(汗)。
逆ハーレムは作りません。




