30、旅に行こう?
「ふぁーあ…、暇だな…。」
黙っていても、お金は入って来るし、今はしたいことも…特にない。
「アイリさま、行儀が悪いです。」
大きな口を開けてあくびをした私を、ハートが嗜める。
「だってさぁ…。」
二号店も順調で、一号店となかなかいい勝負になっている。
一号店は、洋風。
二号店は、和風。
そんな分け方をしたら、なかなか好評だったのだ。
制服も、メイド服と女給さん風で分けたし。
「そう言えば。」
何やら書類に目を通していたハートが、何やら思い出したらしい。
「ティーク様が、出かけるらしいですよ。」
「なに⁈」
何か楽しそうではないか。
「じゃ、ちょっと出かけて来るー。」
行き先は、勿論、ティークのいる家。
「はい、俺も書類が終わり次第、行きますので。」
到着!ティークの家。
と、言っても、毎晩帰って来ているのだが。
「ティーク、出かけるってどこへ?」
いるのは、いつもの場所。
ソファや机のある、リビングとも応接間とも言える場所。
「あ…いや…。」
机に乗っている、様々な物。
そして、剣。
明らかに、何処か行こうとしてますよね。
しかも、長期。
「私は置いていくの?」
確かに私は旅には役に立たないだろう。
いや、むしろ、邪魔か。
「王子、もう無理ですね。」
やれやれと言った感じで、ダニィさんが頭を振った。
「あー、うん、行こうとは思ってた。」
諦めたように、ティークも話し出した。
「アイリを連れて行くかは、迷ってたんだが…行くか?」
「うん。」
そりゃもう、きっぱりと。
言い切りましたよ。はい。
「だよなぁ…。」
「アイリさまが行くなら、勿論俺も行きますので。」
わっ、ハート。
何処から湧いた。
手を額に当てて、ティークは空を仰いだ。
「店は大丈夫なのか。」
「幸い、代わりを出来る者が居ますので。」
…いつそんな人を雇ったんだろう…。
とことん出来る人だよな、ハート。
「分かった。行き先は、ドワーフ族の国だ。」
ってことは…。
「交流を持ちに、とりあえずは行ってみる。」
わーい、ノッピィさんの故郷だね!
じゃ、なくて。
「大丈夫なの?」
「アイリが作り出した酒を持って、交渉しに行くって方が、正しいんだけどね。」
あ、やっぱり和平ですか、さいですか。
「じゃあ、荷物いっぱいだね。」
「うん、とりあえずは馬車だな。」
お酒を積んで行くなら、そうだろうな。
座布団とクッションを作っておこう、そうしよう。
「ノッピィさんは?」
確か、彼はドワーフさんだった筈である。
「もうドワーフの国に帰ってるよ。先に色々と手を回して貰ってる。」
立っているのもなんなので、とりあえずは座った。
さくっとダニィさんが、お茶を入れてくる。
「で、上手くいきそうだから、賄賂を持って交渉ですか。」
「そ、鋭いね、ハート。」
賄賂ってのは、お酒だろうな。
「なんなら、製造方法を伝えてもいいと思ってる。アイリが良ければ。」
「どうぞどうぞ。」
作り手が変われば、バリエーションが増えるだろう。
大歓迎だ。
しかし、ダニィさんの入れるお茶は、相変わらず美味しい…。
「そこから、他の種族への足掛かりが出来ればなぁとか思ってるんだけど、甘いかなぁ…。」
なんか、望む望まないに関わらず。
政治的な事に、巻き込まれている気がするのは…。
気のせいでしょうか…?
ストックなしで書いているので、なかなか更新が…(汗
今朝方、webに繋がらなくなった時には、もうダメかと思いましたw
再起動で復活しましたがw




