3、初めのいーっぽ!
…。
………。
ゆっくりと意識が浮上する…。
そーいえば、「あれ」は何も言ってなかったけど…。
私、何処から始まるんだろう…。
戦場の真ん中とか、勘弁して欲しいなぁ…。
自分でフラグとか立てたら、シャレにならないよね!
慌てて、意識を他へとすり替える。
せめて地面のある所がいいなぁ…。
パチパチと、火の燃えるような音がする。
あぁ、あったかいなぁ…。
地面の固い感触もするし…。
少しだけふにふにした柔らかい感触も…。
重たい瞼を、ゆっくりと開ける。
「%$@!*?ーーーーっ!」
声にならない声を上げて、目の前の人を思わず突き飛ばす。
「っっっったぁ…。」
じぶんは…自分は…。
今突き飛ばした人(多分男)に抱かれていたのである。
しかも、半裸で。
もう一回言おう、半裸で。
大事なことなので(ry
目の前のお方も、半裸で。
ふにふにしたのは、どうも彼の何処からしい。
ピーな場所ではないことだけは、確かだ。
いきなりハードル高いんじゃないですか?神様(自称)よ…。
びっくりし過ぎて、呼び方戻ったわ。
半裸、とは言っても、大事な所は隠されていた。
一安心。
相手のお方は、「あれ」と同じ腰巻きスタイル。
自分は、胸を覆う布と、これまた腰巻き。
ばいーんと突き出した慎ましさの欠片もないモノが、胸に巻かれた布からはみ出す勢いで、ゆさゆさと揺れている。
あぁ、元の自分は、そこは悲しい程にさみしかったからか…、ってやかましいわ。
お互いに、目を合わせたまま、固まる。
「あっと…えっと…。」
で…出来れば、もうちょいわかりやすい状況がよかったな…。
戦場のど真ん中も嫌だが。
目の前の彼は、長い白髪を無造作に束ねて、腰巻き一つ。
飾り気は、まるでない。
青い瞳は、宝石の様。
あらやだ、イケメン。
がしかし、しかしだよ。
なんというか…こう…薄汚れた感じが…なんとも…。
目を合わせたまま、さてどうしたものかと考えていたら、彼はにっこりと笑った。
「よかった、気がついたんだ。」
あらやだ、声もイケメン。
高過ぎず、低過ぎず、それでいて、よく通る声。
突き飛ばされた衝撃で、尻餅をついていた彼は、とりあえず立ち上がった。
「そこ座って?話しよう。」
火のそばの敷物らしき布に座るように言われて、座ろうと、する…。
座ろうと…。
すわ…。
「$&%#$!」
私は、目が覚めて、二度目の声にならない声を出す羽目になるのだった…。
というか、一歩も進んでないじゃないか…。