表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/37

23、布×針×糸=?

ちくちく。

ちくちく。

ちくちくちく。


私は今、真剣だ…。


ちくちく。

ちくちく。

ちくちくちく。


「…出来た。」


ノッピィさんが、精魂込めて作ってくれた針で、初めて私が作った物。

それは…。


ぱんつ。


笑うなよ!


なにせ、服が布なこの世界。

下着なんて物は、皆無で…。

上は兎も角、下がすーすーするのは、どうしても落ち着かなかったのだ。


とはいえ、元いた世界の様な、伸縮性に富んだ生地はない。

立体的に縫うのも、なかなか厳しい。

そこで、作り上げたのは。


かぼちゃぱんつ。


ドロワーズとか言われる、あれだ。

ぬいぐるみの服を、無駄に作っていたのが幸いした。

ゴム紐はないので、布で作った紐を通す羽目になってでも、だ。

もちろん、ちゃんとしっぽを通す穴も開けておいた。

素材は、綿で、色も白。


「ほわぁ…。」


はくと、とりあえず安心できる。

これで布の端がめくれ上がっても、見えない。

それだけで、安心。


「さて…。」


一枚だと困るから、あと少なくとも二枚は縫わなきゃな。


布を切るのは、ノッピィさんに貰った短剣。

こんな役立て方をしていい物か悩んだが、他に切れる物が無かったから、仕方が無い。


二枚目を切るべく、私は布に立ち向かう…。



パンツを作って、数週間後。


私は、次なる物を作り上げた。


ワンピース。


これで…やっと…。

やっと服が着れる…!


たとえそれが、ちょっと縫い目が曲がっていようとも。

布を巻いているよりは、幸せだ…。


四季がないこの辺りは、腕や足を出していても、寒くなかった。

なので、袖はない。

それに袖を作るとなったら、また時間がかかりそうだしね。

ノースリーブで、切り替えのないすとんとしたワンピースは、腰に布で作ったリボンがついていて、背中で結ぶようになっている。

胸にも、飾りのリボンがついていて、丈は短め。

ドロワーズが見えないギリギリだ。

…布がなかったの!


白しかないかと思っていた布は、色のついたのもあった。

流石に、染色の知識は無かったので、これは助かった。

無かったら…植物とかで染める、怪しい知識を披露する羽目になるとこだった。

紅花とか、藍とか…。

あ、ワンピースの色は、無難な紺です。

リボンだけ、白で。

メイドさんチックになってしまったが、気にしない。


やっと出来たワンピースを着て、ティークとダニィさんの前でくるりと回る。


「わぁ、かわいい。」


「ほう!凄いですな。」


二人とも、興味津々だ。


「これは、女性が着る物だから…、男性のも、また作るね。」


流石に縫い物が続くのは、疲れる。


「うんうん、楽しみに待ってる。」


もう多少の事では驚かなくなった二人も凄いな。


「お店の方も、もうじき完成しますし…。楽しみが増えますな。」


おお!お店出来るんだ。出来ちゃうんだ…。

あと二着くらい、服縫いたいけど、そんな暇あるかなぁ?


「アイリ、アイリ。」


「なぁに?」


びっくりしてくれたのかな?


「今夜は、ステーキと、パンがいい。」


「………。」


ティークのご飯の催促に、無言で対抗する、私なのでした…。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ