表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/37

12、しょくりょうじじょう

はーい、アイリちゃんクッキングのじっかんだよー。


今日の食材は…。

食材は…。

…。


「小麦粉です。それから、街の方から頂いた野いちごと、ミルク。野生の蜂から採った蜜と、…。」


ダニィさんに案内されたキッチンには、材料は豊富にあった。

意外なことに、フライパンがあった。

ついでに鍋も。

ボウルやザルは、この際他の物で代用である。

食器類は、木かティークが持っていたような土器さん。

泡立器や、おたまやフライ返しは、なかった。

便利な物は、望めないと言うことだ。

もちろん、ベーキングパウダーのような、食品添加物も。


コンロの火を点ける所が見当たらなくて四苦八苦してたら、ダニィさんが魔法で点けていた。

一回点けたら、消すまで燃料要らず。

便利だ…。

今度、覚えよう。

魔力はくれるって「あれ」も、言っていたし。


お米は見当たらなかった。

ダニィさんに聞いたら、仕入れることは出来るらしい。

調理法は、煮るだけ。

お粥ですね。


小麦粉をパンにするイースト菌の存在は、知られていなかった。

天然酵母を仕込んでみよう。

上手くいったら、バンザイくらいのつもりで。


主食に使えそうな物が、小麦粉しか見当たらなかったので、芸がないと思いつつ、懲りずにクレープを焼くことにする。


何の卵か知らないが、卵もあったからだ。


「手伝える事があれば、手伝いますよ。」


と言うダニィさんのありがたーいお声がかかったので、ミルクを蓋が出来る入れ物に入れて、手渡した。


「これを、ひたすら振ってて下さい。」


そう、バターを作ってもらうのだ。


小麦粉を卵とミルクで溶き、蜂蜜を入れておく。


野いちごを細かく刻んで、蜂蜜で和える。

包丁の代わりは、ナイフ。

まな板の代わりは、ダニィさんに持ってきてもらっておいた、木の板。


ミルクに卵に小麦粉があれば、カスタードも作ることが出来る。

甘みは、砂糖の代わりに蜂蜜でつけてみた。


ミルクと格闘しているダニィさんを横目に、他の食材を漁ってみる。


野菜が意外と多い。


なんじゃこりゃな野菜も多かったけど、分かる野菜も幾つかあった。

ただ、トマトは紫色だった。

ジャガイモの断面は赤かったし、人参らしき野菜は白かった。


トマトソースのピザを焼いたら、紫色か…、食欲は湧かないかもな。

ポテトサラダは、赤いのか…物騒だな。


ジャガイモがあるなら、いももちでもよかったかな。

あ、でも、醤油がないし、海苔もないか…。

チーズもなさそうだしな…。

その前に、赤いいももち…うーん…。


「アイリさん…ところで、これはいつまで…。」


あ、ダニィさんが、だいぶぐったりしてる。


「あ、ごめん、ごめん。」


ダニィさんから容器を受け取って、耳元で振ってみる。


じゃばじゃばという水音に混じって、固形物らしき物がぶつかる音がする。


「出来た、ありがとう。」


蓋を開けると、見慣れたバターよりは少し色の薄い塊が出来上がっていた。


ちょこっと掬って、舐めてみる。


うん、無塩バター。


塩を入れて混ぜるのは、ダニィさんにお任せして、塩の入っていないバターを、溶かす。


牛乳で溶いた小麦粉に溶かしバターを入れて…、さらに塩を少し。


さて、本来ならば、このクレープ生地は寝かさないといけない。

少なくとも、30分位は。


さてさて、どうしよう?


ボウル代わりの器を前に悩んでいたら、ティークがひょっこり顔を出した。


「あ、アイリも汚れ落としておいで。」


相変わらず見事な腰巻きで。


「ん、分かった。ダニィさん、それそろそろいいので、そのまま置いておいて下さい。」


そう暑くもないし、常温でバターが溶けることもあるまい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ