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10、王様、王子様、領主様

そこは、街というより、村でした。


あ、いや、建物はそれなりにありました。

木造にせよ、石造りにせよ。

奥の方には、石造りの立派な家が見えます。

あれが、領主とか、王族とかの家なんでしょうか。

門から続く壁は、木造ですが、しっかり作ってありそう。

町の真ん中辺りを突っ切るように、川が流れています。


…。

………。

この口調、疲れたから、やめていいかな。


ティークはどんどん歩いていく。

一回転びかけてから、手を繋いで引っ張って行ってくれている。

それでも、歩くのは速い。

超速い。

必死に着いて行く。


「…あれ?」


…ティークさん?そちらには、立派なお家しかないですよ?


「いいから、いいから。」


ティークはガンガン歩いて行って、一番奥にあった家の扉をばーんと開いた。


「帰ったよー。」


「おかえりなさいませ。」


…嫌な予感しかしません。


出迎えてくれた方は、初老といった感じの方でした。

腰巻きで無ければ、執事さんのよう…。


荷物をぽいと執事さんに渡して、ティークは、私の方をくるりと振り返った。


「彼は、ダニス。家のことをしてもらってるんだ。」


「ダニィとお呼び下さい、お嬢様。」


渡された荷物を解く手を休めて、執事さんはにっこりと笑ってくれた。


「あ…、アイリです。」


ぺこりと頭を下げる。


「もう頭の取っていいよ。ダニィしかいないし。」


ぱさりと、頭に巻いていた布を取る。


「ほう!これはまた!」


ダニィさんが…喜びました…。

なぜでしょう…。


ティークは、部屋にある、手触りの良さそうな毛皮の上に座っていた。

いつの間に。

ティーク素早す。


「…ティーク…、もしかして…。」


さっきから、聞きたかったんですが。


「ん?もしかしなくても、ここは、ボクが治める街だよ?」


爆弾発言してくれやがりましたよ、このお方。


「まだ小さいけどね。大きくするつもりはあるんだけど、なかなか上手くいかなくて、このままかも。」


にこにこと言葉を続けるティーク。


「そういえば、教えてなかったね。人間の王は、ここにはいないよ。ここじゃ無い所を治めてる。この場所は、他の種族に近い所にある、人間の街。だから、自分が色んな種族の所に出向いて、話をしたりするのには、うってつけなんだ。」


荷物を片付け終わったダニィさんが、すっとティークの横に立った。


思わぬ事態に、私は立ち尽くしている。


「王子のその趣味がなければ、ここに街が出来ることもなかったんですが。」


「まぁ、そうだね。」


王子⁈

今、ダニィさん、王子って言っちゃったよ!

ティークさん、あなた笑ってますけど…。

笑い事じゃ無い気がしますです…。


「じゃあ、改めて。」


すっと立ち上がったティークは、少し気取って、私に手を差し出した。


「街の発展に、力を貸してくれませんか?異世界のお姫様。」


ティークが…ティークが…。

どんどん暴走していっている…。

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