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Silver Pendulum  作者: 迦月
11/11

a couple of affair-V

 ―異界 学園地下訓練場(鴻)―



万里『…どういう事です?』

 『万里』が尋ねる。

鴻「どうもこうも…いい加減、正体見せてくんね?」

 鴻が『月夜』のハンマーを下ろしながら言う。

鴻「今、あんたは―『こんなに遠いと死に様がよく見えない』って言ったよな?万里の能力なら、そんなはずはない。―ってことで、いつもの観点からつい言ってしまったっていう推測が一つ。」

 銃を持ったまま、鴻は器用に指を一本立てて見せる。

鴻「そして―もし、それが比喩的表現にしろそうでないにしろ、決定的な揺るがない矛盾。」

 もう一本、指が上がる。

鴻「それは―あんたの銃の扱い方。」

万里『……具体的には?』

鴻「あんた―いや、万里はここに取り込まれる前に『銃は苦手だ』って言ってたんだ。でも、今、あんたはそんな遠くから―しかも片手で、ボインターも無しにきっかり狙ってる。」

 鴻が一歩、後ろに引いた。

鴻「Q.E.D.」

万里『…ご名答。僕は、佐藤 万里じゃないよ。』

 『万里』の姿が、一瞬歪む。

 次の瞬間―

 そこに立って、鴻に銃を向けていたのは、銀髪で明るい緑の瞳をした少年だった。

鴻「一番隊Les 2e…『幻術特攻』冨岡とみおか けい!」

 改めて、鴻は『銀木犀』を『万里』―馨に向ける。

鴻「私が、消してやるよ―I」

馨「やあ、久しぶり、鴻ちゃん。僕は、『幻術師』だけど、でも―」

 銃を構えなおす馨。

馨「ハンデは―無いよ!」

 『パンッ!』

 馨が銃を撃った。

 しかし、鴻は円月刀を盾にして銃弾を防ぐ。

 そして、馨が手動式らしい銃のハンマーを下ろしている間に、一気に間合いをつめる。

馨「っ!」

 ガキン、と音がして、馨の銃が弾き飛ばされる。

鴻「あんたの武器は―それじゃないでしょ?」

馨「正解!」

 馨は、ぶん、と腕を振る。

 すると、その手には大鋏―のような剣が握られていた。

馨「さあ、行くよ『泡沫』―!」

 シャキン、と大鋏―『泡沫[うたかた]』を鳴らす馨。

馨「っと…この舞台は、相応しくないね。」

 パチン、と馨が指を鳴らす。

 すると、そこは訓練場ほどの広さで光があたっている場所となった。

 しかし、周りは最初の暗闇らしく、その部分以外はどこまでも黒く染まっていた。

鴻「随分腕上げたじゃないの―さ!」

 鴻が円月刀を振る。

 しかし、馨はそれをしゃがんで回避する。

馨「そっちは鈍った―ね!」

 馨が蹴り上げた足が見事に鴻の手を弾く。

 円月刀が馨の額を掠めて血を流したが、カシャン…と音を立てて、鴻の手から離れた円月刀は隅まで滑っていった。

 しかし、鴻は即座に銃を取り出し、馨の眉間に銃口を押し当てる。

馨「あー…」

 油断していた馨はかわすこともできず、銃を突きつけられた状態で動きを止める。

鴻「ゲームオーバー。」

 ジャキ、と銃のハンマーを下ろしながら言う鴻。

馨「やられちったよ…」

鴻「じゃあ、死ね。」

 引き金に指がかかる。

馨「でも…」

鴻「!!」

 ぴくっ、と鴻の動きが止まる。

馨「『コンティニュー』って選択肢もあるんだよね。」

 しゃがんでいる…と言うより、座った状態の馨が笑いながら指を鳴らした。

 『パチン』

 パッ、と鴻達からそう遠くはない場所に、もう一つ小さな光の円ができた。

 その中にいるのは―

 見慣れた赤に近い茶髪、メンバーで一番背の高い人物。

 本物の―

鴻「万…里……!」

 その万里の後ろには、もう一人の『鴻』がいる。

馨「こないだ盗んだデータはもう見たんでしょ?なら知ってると思うけど…あれは、君のクローンだよ。」

 『鴻』がジャマダハルを構える。

鴻「クソが…っ!」

 銃を投げ出し、鴻は駆け出した。

鴻「止め――――!」

 離れた鴻にまで音が聞こえるかのように、『鴻』は万里にジャマダハルを突き刺した。

馨「バーカ。」

 どこかで、タッ、と床を蹴るような音がした。

 にぃっ、と笑って馨は落ちていた銃を拾い上げ、鴻に向けた。


 『パン パン!』




 ―現世 8時58分 星宿館屋上―


 『キイィィィィン…』

 刃と刃がぶつかり合う音が響く。

 互角と言っていい二人の祥は、刃を交えた後双方引き、距離をとる。

祥「榎璃!」

 祥の声で、『祥』の後ろ―星宿館の壁に張り付いていた榎璃が『祥』目掛けて薙刀を横一文字に降る。

祥『…っ!』

 とっさにしゃがんだ『祥』の頭スレスレを、榎璃の薙刀が掠めた。

祥『…このままでは…』

祥「…おい…」

祥『分が悪い、なっ!』

 『祥』はいきなり後ろへ踏み出し、空中に向けて何か―網の枠のような物を投げた。

 そして、それと同じように、自分も宙へ跳んだ。

榎璃「はぁ!?」

 そのまま、何かに捕まる様子もなく『祥』は下へ落ちていく。

榎璃「え、ええぇぇぇぇ!マジ!?」

 慌てて駆け寄り、縁に手をかけて見下ろす榎璃。

 しかし、地面に『祥』の死体はない。

榎璃「ちょっ!何なのよ、今のは!」

 急ぐでもなく、普通に歩いてくる祥に榎璃が問う。

祥「…まだ、解ってねぇの?」

榎璃「…え?」

祥「さっきも、お前は見た―あいつ等が、あれを使ったのを。」

榎璃「……万里と鴻!」

祥「その通り。まあ、あれは俺が仕掛けたんだけど…。」

 なるほど、と頷く榎璃。でも、すぐに次の問題を見つける。

榎璃「…ッじゃなくて!どうすんのよ!」

 それを聞いた祥は、呆れたように―でも、目標を見つめるような眼で、

祥「きっと、あいつ…俺のクローンは、鴻達と同じ所にいるはずだ。」

 ピッ、と音をさせながら、

祥「追いかけよう。」

 その手に持った黒い箱からピアノ線のような―細く、透明な紐を引っ張った。

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