表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

課外活動

『人格:嘘』

作者: 風切東

「雨が降っている」

外は晴れている

「みんな元気そうだ」

みんな疲れているみたいだ

「今日は気分が良い」

今日も気分が悪い


本当のことを言う人を見た

『嘘をつくな』と怒られた

本当のことを言わない人を見た

『教えてくれてありがとう』と感謝されていた

練習中、『疲れた』というと、

『泣き言を言うな』と怒られた

『まだいけます』というと

『よし、その意気だ』と褒められた。もうへとへとなのに


嘘をつくと褒められるなら、

真実を伝えると怒られるなら、

それなら『僕』は、自分の心に『嘘』をつこうじゃないか


その時から『嘘』をつき始めた

『嘘』について学び始めた

『嘘』にも種類があること

自分が得するための『嘘』

他人を気遣い安心させるための『嘘』

嘘は真逆のことを言うだけではないということ


こうして『仮面』は出来上がり、いつしか『素顔』を見せなくなった

それからいくつか時は過ぎ―――――



好きな人が出来た

その人は心が強い人だった

2年の間友人として過ごしてきた

鼓動の速さは気のせいだと決めつけた


しかし、時間が経つにつれてこの鼓動は大きくなった

この思いは『素直』に打ち明けるべきべきだろうか?



『僕』は『素直』になるのが怖かった

今までの『嘘』がバレる気がして

バレた人の末路は知っている

『バレたら怒られる』

『愛想を尽かされる。周りに人がいなくなってしまう!』



もこの気持ちに『嘘』はつけない

でも『素直』に伝えるのは怖い

ならば・・・、

ならば同じ方向に『嘘』をつけばいいじゃないか


≪           ≫


「そんな見え透いた嘘つかないで。」


僕の心は大きく揺れた

バレた

バレてまった

どうしてバレたんだ

その場を取り繕い家に帰る

そして一人考えることに集中した


何がいけなかった

どうして気づいたんだ

もうだめなのか

まだ、まだ大丈夫

まだ取り返せる


次の日、またその次の日も『彼女』と話す

友人としての会話

『彼女』は楽しそうに話している


『嘘』としての思いを伝える

「嘘をつかないで」

「そんなうそはつかない方が良いよ」

「その嘘にも飽きたんだけど」


『嘘』としての気持ちを伝えるたびに彼女は冷たく言い放つ

『僕』は怖くなった

全ての『嘘』がバレていて見逃されてきた感覚に襲われる

そのうち『僕』は『独り』になることを望んだ

引き籠っても『独り』にはなれない

居場所を転々とし、『独り』で居続けた


『嘘』よりも『独り』が楽

他人を気にしなくていい

気を使う必要もない

なのに、

なのに、なぜ

なぜ『彼女』が目の前にいるのか


「探したよ」


人の心に『嘘』はつけない

鼓動が高鳴り、周りが見えなくなった


ああ、『僕』は、

「『僕』はどうしようもないくらいに『君』を好きになっていたみたいだ」


『言葉』が口からこぼれると、『君』は少し驚いた顔をして、笑った

「やっと『君』の『声』が聞けたね」

『彼女』は『僕』を優しく抱きしめた

「『君』の『生き方』は辛すぎる。そのままだといずれ『一人』になってしまうよ」

『僕』は少しの間この『優しさ』に身を委ねた

『仮面』はいつの間にかずれ落ちていた


「どうして分かったんだ」

今はいつものように横に並んで座っている

「『僕』もそうだったから」

『彼女』の『答え』は予想外のものだった

「でも気づいたんだ。何も手に入らないんだって」

「周りに人がいなくったときがあってね。『嘘』は必要な時につけばいいって」

『彼女』が言うのは『人を気遣う』『嘘』

『嘘』から『素直』に戻るにはとても勇気がいる

『彼女』はそれをやり遂げたのだ。『彼女』は本当に『強い』

「『強い』なあ」

「ううん、『僕』は『強く』なんてない」

『彼女』は『僕』の言葉を否定した

「『僕』は『君』がいたから、頑張れた。たとえそれが『嘘』でもその『嘘』に助けられたんだ」

『彼女』は『僕』に感謝していた

「『君』が『君』を『好き』だと言うのなら、『僕』は『君』の『嘘』を壊さなければならなかった。末路を知る者の義務として」

少し荒療治だったけどね、と『君』は小さく微笑んだ

「それに」『彼女』は少しうつむき加減につぶやいた

「未来の伴侶となる存在が破滅の道を辿るのは阻止するべきでしょう?」

『君』は顔を赤くさせ、悪戯が成功したかのような笑みを浮かべた


だから『君』は『僕』のそばにいてくれたのか

顔が赤くなるのが分かる。今、今伝えるべきなのだろうか

『仮面』を少しだけかぶり『君』に向き合った

「『俺』は『お前』に伝えることがある」

「『私』も『貴方』に伝えることがあるわ」


「好きだ。付き合ってくれ」

「好きです。付き合って下さい」


これを読んだ人にポエマーって呼ばれたorz


すごく悲しい(´・ω・)


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ