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星の城  作者: 髙梨レイン
第一章 スピカ
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5

「明海…、明海…待って!」


「ふん、待たない」


「でも明海、そっち原っぱに行く道じゃないよ?」


「……」


明海は振り返った。暗くてよく見えないが、きっと顔が赤くなっているだろう。


そして明海は…口を開き、つぶやいた。


「…バカ。」


「は?」


「……バカ。」


「………なんで?」


「…」


「じゃ、原っぱ行こ?」


明海に手を差し出すと、思いのほか素直に手をにぎってくれた。


そのまま歩き出すと、明海も歩いてくれる。



美音には今の明海の気持ちがなんとなくわかる気がした。美音にも似たようなことがあったから…。


明海は今きっと、すねている。


さっき母親と美音に子ども扱いされたからだろう。


自分だって大きくなった。もう11歳だよ、だから同じ扱いをして…。


と、いう感じだろう。


美音は広い道路のはじをかなり速いペースで歩いた。


ゆるやかに左に曲がっている道をそのまま進んだ。


「…ついた」


そうつぶやくと、50cmくらいの段差を飛び降りた。下はふかふかの草原だ。


「明海、ほら」


美音は上を向いて腕を広げた。明美はもうすぐ小5だが、段差を飛び越えられるほどの体力はついていない…はずだ。だから私がだっこを…


「どいて」


「え?いいの?」


「うん、おりれる」


言われるがままに、美音はどいた。


暗いのに大丈夫かな~…というのが美音の本音だ。



明海は軽くとんだ。そのままきれいに着地する。


「ふふん、ど~だ!」


「…明海、マジでどうしたの」


「一応陸上クラブですから」


そうか、忘れていた。明美は美音よりはるかに運動神経が良いのだ。


明海はそのまま、美音を置き去りにして走った。


「お兄ちゃ~ん!」


明海の声に反応するように、闇の奥でライトが点滅した。


明海と美音は、その光に向かってかけだした。

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