表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星の城  作者: 髙梨レイン
第一章 スピカ
2/5


「ふぅん、じゃぁ春休みは1カ月くらいしかないのね~。」

…その日の夕飯。


 美音たちの母親の和子が、にこやかにご飯を盛っている。


「あ、うん。明海も同じだった気がする。……あれ?そーだったかな?そーいえば、明海だけ、まだランドセルだもんね~!!」


「ふんにゃぁ…ほはへはほほひふへぇ!」

「こら明海、口のなかにご飯が入ったまましゃべるなといっただろう?」

美音の家庭…つまり渡辺家にはお父さんがいない。だから、いつも直也がお父さん役をしている。自然にそうなってしまったのだ。


「あ、ごちそう様っ!」


明海が、まだご飯を食べ終わってないのに席を立った。

そして、ダイニングを出て横の階段をあがって2階に行く。


「…またか」


引きとめる間もなかった、と、直也はため息をついた。


 ご飯を飲み込んでから、美音は口を開いた。


「いっつもこの時間だよね。…8時ごろ。いっつも2階で…何してるんだろ、明海。」


「部屋で勉強でもしてるんじゃないかしら。」

和子がのんびりという。直也と美音はそうかなぁ…と、心のなかでつぶやいた。


「美音、食べ終わったか?」


直也がふわりと笑いながらきいた。直也がこんな表情をするのは珍しい。


(こんな表情ってことは…また「あれ」かな?)


美音はそう思いながらも「うん」とうなずいた。


「そうか、じゃあ3人で外に行こう。いつもの原っぱな。明海を呼んできてくれ。僕は先に準備しておくから。」


「あ、うん!」


美音が笑いながら大きくうなずくと、直也もかるく笑いながら美音の頭をなでた。

 そのまま直也は玄関に歩いた。


「行ってくる」


和子は気に留めない様子で、「行ってらっしゃい!」と言った。


「んじゃ、私もごちそう様!…あ、あとでお皿洗うよ!」


美音はそう言って、笑顔を見せた。


「いいって。はやく明海を呼んできたら?お兄ちゃん待ってると思うわよ。…原っぱで?」


和子もそう言って、笑った。


「…あ、そっか。そうだね!じゃぁ明海呼んでくる!」


美音はそう言い終わらないうちに階段を上がり始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ