第1話 名のない誰か
連載初めました。
少しでも読んでいただけると幸いです。
ここがどこか分からない。自分の名前すら分からない。
これまでの記憶が何もかも失われているのか。
人間の基本的能力は備わってはいるものの、自分自身についての情報を何一つ持っていない。
自分の身なりを見ても、見覚えのない服を着ている。周りを見渡しても、何も分からない。
ここは宇宙ステーションというらしい。周りの誰かがそう言っていた。
見慣れた所ではない。
途方もなく彷徨っていたが、ついに気を失ってしまった。
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「おーい!大丈夫!?」
「大丈夫か」
誰かの声が聞こえる。
目が覚めると、二人の人がこちらを心配そうに見ていた。
「目が覚めたか、もう大丈夫か?」
「君大丈夫?道のど真ん中で倒れてたよ」
どうやらこの人たちが助けてくれたらしい。
「助けてくれでありがとございます」
二人にここについて聞いてみよう。一先ず何が起こっているか確認しないといけない。
「すみません、ここはどこですか?記憶がなくて、何も覚えていないんです」
「え、記憶がないの?」
「ここは宇宙ステーションの第三ターミナルだが」
宇宙ステーション、さっき耳にした単語だ。まだ同じ場所にいるらしい。
「迷子、なのかな?」
「ここが分からないのなら、案内しよう。何か思い出せるかもしれない」
二人に案内してもらうことになった。
案内してもらって分かったが、ここはどうやら宇宙に作られた駅らしい。
宇宙という存在はもちろん知っているが、宇宙に駅を作るって、そんなことができるのか。
何も覚えていないからなのか、全てのことが新しく感じられた。
「そういえば、二人の名前は?」
まだ案内してもらった二人の名前を知らないことに気づき、聞いてみた。
「私は伊月まいか、改めてよろしくね!」
「俺は竜鳥だ。よろしく」
二人の名前を聞いて自分も言おうとしたが、記憶がないことを思い出し、名前すら忘れていることに
気づいた。
少し時間が経った。
案内も一通り終わったようだ。
この先どうしていけばいいのか分からないが、とりあえずここが何処か分かった。
ふと、宇宙ステーションからの景色が目に入った。
そこには、あまりに広大な空間が広がっていた。見える限界など遥かに超えた未知の領域。
美しいと思った。
記憶は失っているが、以前にも宇宙の美しさに感動していたはずだ。
こんなに広大な宇宙には、何があるのだろう。見える限りでも数えきれないほどの星がある。
景色に感動していると、まいかと竜鳥に呼ばれた。
振り返ると、まいかと竜鳥の他に二人背の高い男女がいた。
「この子が迷子の子?」
「うん、宇宙ステーションのことも知らなかったから、もしかしたらここじゃない
他の星から来たのかも。二人はいくつもの星を旅してきたから、何か分かると思って」
「よろしく、私は都。で、こっちは」
「ライトだ。よろしく」




