逃亡する世界線①
5話目でございます。
新章(?)です。
余談です。
元々、ゲームのシナリオとして考案したこの物語ですが、ここまではすべて前々から考えていたものになっています。ここから先は私も未知の領域(?)です。ぜひ、生温い目で見ていただけたら幸いです。
1000文字を目安に書いております。
まさか、自分も逃亡生活をする羽目になるなど、ヒイラギは思ってもみなかった。
が、もうこのアパートもじきに特定されるだろう。
逃げなければならない。
とりあえず、上司への連絡と、引っ越しの荷物をデータ化し、軍の寮に送信。
まだ少ししかお世話になっていないのだが……
大家さんに多めに家賃をわたし、深く深く頭を下げ、事情をおおまかに伝える。
ちなみに、大家さんは小柄なおばあちゃんだった。
ワープポッドには、人体を修復する機能が備わっている。
簡単な切り傷などであれば、ものの数分で治療することができる。
ソーノスに受けた傷を治療し、リビングへ移動する。
「で、だ。」
「……」
モミが唾をのむ。
「なんなん?あの身体能力。」
モミの瞳は、青く輝いた。
・・・
時は、前回まで遡る。
モミは、筋力が2~3倍まで高められた、さらに軍人であるヒイラギと同等の高さを跳躍し、
敵の頭上を凄まじい速度で駆け抜けていた。
・・・
「覚えてるか……?」
「……はぃ。」
「じゃ、以前も聞いたが……もう一度言うぞ。」
ヒイラギは大きく息を吸い込み、言った。
「――何者だ?お前は。」
モミは俯く。
「何も……覚えてない。」
「記憶、ないのか?」
「名前と言葉、だけ。」
リビングは、静寂に包まれ、ヒイラギはそれ以上の追及をやめた。
「もう、出発しよう。先にワープポッドに入れ。」
モミは頷き、ポッドの中に入る。
〔スキャンを開始します。〕
ポッドのレーダーが下りる。
ちょうど、頭部。
その輝く銀髪にさしかかったその瞬間、
〔ERROR:15 不明な粒子です。〕
ポッドが、スキャンを停止した。
・・・
ワープポッドを理解するためには、物質の特性を知らねばならない。
全ての物質には、エネルギーが存在し、その大きさが物質によって決まっている。
なので、物質の数、そのエネルギー量から、その物質を特定することが可能だ。
基本として、ワープポッドはそれを読み取り、転送先へ送る。
だがそれでは、常に代謝を行っている人間は、正確に読み取ることができない。
始まりと終わりの時差があるからだ。
そこで、何度も繰り返し読み取り、AIによる分析・修正をする。
これによって、大幅なズレによる致命的な欠陥がなくなった。
これによって、ワープポッドは、実用化に至った
そんなワープポッドには、何百、いや何千、何万ものエラーコードが存在する。
理由はいたってシンプルである。
人が使うからだ。
もし、一つでもエラーがある状態で、ワープをしたらどうだろう。
最も恐ろしいパターンでは、脳みそがズレた状態で生成されたりして、
データの復元もできずに死体だけが残るだろう。
そんなエラーの中で、絶対に起こりえないと言われていたエラー。
それが、エラー15番である。
切りもいいのでここまで。
SFってファンタジーだと思うんですよね。
意見、感想、考察ありましたら、ください。