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25「学校で口封じを徹底する」3


 「咲哉さまー、こっちにいた人間は全員消しましたにゃ」


 ミィの体…特に両手両足の爪には人の血と脂がべっとり付いている。彼女はパワー・スピード・ディフェンスが全て均等のバランス型の格闘家グラップラーだ。故に近接戦に長けており、様々な武術が扱える。

 

 「そうか。スノウの方も片付いたか?」

 「はい。ちょうど今こちら側すべての人間を消したところです」


 スノウの体には血などどこにもついてはいないが、彼女の向かい側の通路には原型が崩れた人の死体がいくつも転がっている。彼女の超能力は殺人はもちろん、ドアをロックさせたり電子機器を壊してみせたり、さらにはバリアーを展開して足止めも出来たりと、何でも出来る優れた力だ。あと、こう見えてミィよりも素早い。


 「………!咲哉さま、あっちから何人かがこの階に来る気配がしますにゃ」

 「こちらからも、階段を上ったり降りてきたりといくつもの足音が聞こえてきます」


 ミィは人の気配に目ざとく気付ける感知スキルが、スノウには遠く離れたところからの足音も聞きつけられる聴覚スキルがある。二人のこのスキルがあったお陰で、幻のダンジョンを生き抜くことが出来たと言って良い。


 「んーー。全員ぶち殺して回るのも悪くねぇが、さすがにめんどくせェな。めんどくせェ殺人なんざやっても楽しさは今一つなんだよなー」


 何より、固有スキルによる変身が解けて、元の姿に戻ってしまってる。このままではこの階にやってくる連中に見られてしまい、また目撃者をぷちぷち消しに行かなきゃならない。さすがにめんどくさい。


 「見つかるのが面倒なのであれば、咲哉様のスキルでここから離脱するのはどうでしょうか?たしか“転移”というスキルで、好きな場所へ瞬時に移ることが出来る、非常に有用で素敵なスキルであれば………」

 「そうしたいんだけどよー、僕が今日ここに来たのは、退学の手続きの為なんだよね。だから今から人に見つかることなく、校長室に行かないと……って、あ。それも転移スキルでパッと行けば良いのか。

 つーわけでちょっと校長室に行ってくるわ。二人はどうする?元いたとこに帰るか?」

 「アタシは咲哉さまに付き合うにゃ」 

 「私もご一緒させていただきます。咲哉様を追放した不逞者に、この世の恐怖というものを思い知らせてやりたいので…っ」

 「分かった。じゃあ僕の体にさっさと触れて」


 僕の転移スキルは僕自身以外にも、僕に触れたものも一緒に転移させることが出来る。ミィとスノウは僕に駆け寄ると、両側からぎゅっと密着してきた。くっつき過ぎだっての、ちょっと触れるだけで効果あるってのに…。

 というわけで、「転移」を発動した瞬間、僕らは三階の廊下から一階にある校長室の室内に転移していた。部屋のソファで呑気にくつろいでいた校長は、突然現れた僕らを見て素っ頓狂な声を上げた。


 「な……!?き、君たち、扉を使わずどうやってここに…!?」

 「こんちわー、校長先生。今の登場びっくりした?これはな、僕のスキルだ。はい、説明終わり。

 それより、今日は僕の退学のことで話があるから、こうして部屋を訪ねたんだけど」


 狼狽する校長を無視して、こっちの用件を一方的に話していく。


 「――というわけでー、僕のこのクソ高校の退学は、今日にしてくれ。僕は明日からはただの探索者だ」

 「い、いきなりそんな話をされてもな。わざわざ私のところを訪ねずとも、君の退学手続きはもう行われているのだよ」

 「なぁーんだ、そうだったのか。じゃあ何の為にこんなクソ高校に通ったってんだよ。そのせいで嫌な奴らに嫌な言葉を浴びせられたじゃねーかよ」

 「そ、それより!さっきから気になることがあるのだが、その子たちはいったい?特にその猫耳の彼女の両手と両足に付着しているのは………人の血じゃないのか…!?」


 校長の目はミィの血で濡れている手足の爪に釘付けになっており、顔を真っ青にさせていた。


 「き、君たちはさっきまで何をしていたんだ!?その血はいったい何だというのか!?」

 「上の階で殺してきた生徒と教師どもの血だよ」

 「は………?」

 「いや、は?って何?こっちは正直に答えてやったのに」


 校長は顔を真っ青にさせたまま、体を硬直させていた。


 「だからぁ、今朝僕のクラスの何人かが僕を馬鹿にしてきたから、みんなぶち殺して、派手に暴れてやったんだよ。そしたら騒ぎを聞きつけた担任と学年主任が教室に入ってきたから、復讐がてら口封じにぶっ殺した。その後も、僕のことを聞きつけて廊下に集っていた目撃者どもも口封じに片っ端から消して………」

 「ちょ、ちょっと!?さっきから何を言ってるのかね君は!?まさか、人を殺したと言うのか!?この学校で!?」

 「さっきからそう言ってんだろ。目撃者の抹殺と口封じは粗方済ませたから、あとはこうして校長に挨拶しに来たんだよね。

 ああ、違った。挨拶だけじゃなかった。ちゃんと、目撃者は消して、口封じしとかないとな」


 悪意ある笑みを浮かべながら、「収納」による空間収納機能で拳銃を取り出し、銃口を校長の頭に向ける。


 「ひっ!?わ、私まで殺す気か!?」

 「そりゃそうでしょ。この僕を見た以上、消しておかなきゃだし」


 こっちから訪ねておいて何だけどな。


 「よ、止すんだ!探索者が殺人を犯せば、公安による拷問の末、極刑に科されるのだぞ!」

 「そんな脅しはもう聞き飽きてんだよ。こっちはとっくに何人もぶっ殺してきた後なんだ、今さらテメェを撃ち殺したところで変わんねェよ」

 「あ、あ………ぁ」


 顔中脂汗を垂らして腰を抜かす校長。恐怖のあまり立つのにも苦労している。


 「はぁ~あ。今まで真面目に学校に通って、高校を卒業したら大学に進学して、ちゃんとしたところに就職を……てな感じの将来を考えてたのに。テメェらは一方的に僕を退学…追放しやがった。いくらダメな成績だからって、フツー大学受験を控えたこの年に、何の事前通知も無く退学処分にするかよ?

 勉強が出来ない愚図はこの国には要らないってか?だったらテストで赤点採った奴らも全員退学にさせろよな!」

 「す、すまない…!そういうことなら、君の退学は取り消して、復学させてやろう。それと、公募やAO入試の大学の推薦枠に、君を推してもやろう!私の権限でそれくらいは………」


 校長に詰め寄り、銃口を額にぐりっと押しつける。校長の顔から生気が薄まっていく。


 「色々あって、大学に進学するのはもう止めることにしたんだ。今後もし大学行きたいなーってなったら、高卒認定試験でも受けて、自分で合格してみせるさ。

 というわけで、テメェはもう要らねー。じゃあな」


 ドパン! 校長の頭を吹き飛ばした後、ミィとスノウを連れて速やかにこの部屋…いや、この校舎から去った。


 こうして僕はこの……何て名前の高校だったかな?とにかく間野木とかに虐められてばかりだったこのクソっタレ高校のクラスと担任に復讐して、色々ぐちゃぐちゃにしたところで、腐れなく学校を去ったのだった。

 


 校長室から転移した先は、僕の家の中だ。ミィもスノウも連れて家の中でくつろぐことに。スノウの超能力はもう解かれてるから、学校の封鎖は解け、スマホとかも使えるようになっている。もうじき警察があの学校に殺到するだろうな。


 「目撃者の抹消・口封じはやっておいたけど、僕の指紋とか毛髪とかの物的証拠に関しては、何も処分してなかったから、いずれは公安にも僕のことバレてしまうだろうな。

 それまでの間だけでも、ここでの生活を堪能していようと思う」

 「警察がここに来た時は、この家を捨ててしまうのかにゃ?」

 「いや、僕のスキルを使って何かいいように出来ないか、試してみる」



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