22「クラスメイトたちを分からせてやる」3
「きゃああああああっっ」「うわああああああーー!!」「いやぁぁぁぁぁあ!?」
ガラスの破片で滅多刺しにされぐちゃぐちゃになった木内を見て、クラス中が悲鳴や絶叫を上げて、パニックに陥った。
「き、霧雨が……木内を殺したぁ!」
「せ、先生呼びに行ってくる!誰か、公安にも電話かけろぉ」
誰もが恐怖や恐慌、パニックに陥る中でも、人を呼んだり警察に電話しようとする冷静な奴は、一人や二人いるものだ。
とはいえこの段階で公安の連中に追われる身になるのは避けたいところ。なので、まずは外への連絡を絶とうか!
「スキル「召喚」――眷属獣ミィを、主人たる僕のもとに呼び出す!」
スキルを発動した瞬間、僕の目の前に猫耳が生えた亜麻色のミディアムショートの少女が現れた。
「――咲哉さまの忠実なる眷属獣ミィ!ただいま参上つかまつりましたー!にゃ~~んて♪咲哉さまー!会いたかったにゃ~」
猫の眷属獣のミィは、開口一番そんな元気いっぱいの声で僕に挨拶を述べて、顔を胸にすりすりしてくる。
ミイは僕の眷属獣で、幻のダンジョンの中で出会った猫獣人だ。第三の関門に挑戦している間に彼女と戦い屈服させて、眷属獣として使役するようになった。眷属獣はミィ以外にもまだ数人いる。今後どこかで呼び出すつもりだ。
「よおミィ。呼び出して早々で悪ぃんだが、この部屋にいる奴らが持つ、こういう形をしたアイテム…携帯電話ってやつを、僕と一緒に壊してほしいんだ」
自分のスマホを見せて、これと同じ物を取り出した奴がいたら、そいつごとスマホを壊すよう指示を出す。僕とミィで分担してかかればすぐにでも全員の連絡手段を断つことが出来るだろう。
「そんなことなら、咲哉さまのお手を煩わせるまでもにゃいよ~。あたし一人でじゅーぶんだにゃ!」
そんな返事の後視界からミィが消えたかと思ったその時、あちこちからさっきまでのとは違う悲鳴が上がった。
「うわっ!?」「きゃあ!?、私のスマホが…っ」「そんな!?使えなくなってる……っ」
クラスメイトたちの持つスマホが皆壊されてる。ミィの目にも止まらぬ早業により、外部への連絡を見事絶ってくれたというわけだ。
「さすがだなミィ。見事な早業だ」
「エヘヘ~♪でもスノウちゃんの方がもっと速く動いて、片付けられてたにゃ~。
それで咲哉さまー、こいつらはいったいにゃんなのかにゃ?」
「ああ、こいつらは昔も今も僕を馬鹿にしてきやがるゴミクズどもだ。ついさっきその中の一人をぶち殺しちまったんで、復讐の続きがてら口封じもしねぇと。
そういうわけだからミィ、あそこで転がってる男以外の奴らの息の根を止めろ。一人残らず引き裂いて殺せ」
「にゃ~るほど!強くて素敵な咲哉さまを馬鹿にするにゃんて、最悪のゴミどもにゃ!そういうことにゃらこのアタシにお任せ下さい!」
僕とミィの話をクラスメイト全員が青い顔で聞いていた。話を終えたところでミィは両手両足に凶悪な爪を出して、皆に獣の眼光を向けて舌なめずりをする。
「それじゃあ、いっくにゃああああああっ!」
元気なかけ声とともにミィは爆発的な脚力で床を蹴って跳んで、教室のドアに手をかけていた男子の首を掻き切った。首筋から血が噴水のように噴き出て、そいつはばたりと倒れて即死した。
クラスメイトたちの反応を待たずして、ミィは反対のドアの近くにいる奴らの首を掻っ切って、クラス全員の退路を断ってくれた。
「咲哉さまを馬鹿にする奴らには、このミィの鉄の爪の錆にしてくれるにゃ!」
そんな調子でミィが連中の口封じに努めてくれてるので、僕は心置きなくさっきの続きに没頭することが出来るわけだ…!
「どうよ大越、これが今の僕だ。一般人よりも非力でテメェら間野木どもに馬鹿にされ虐められてた頃の僕じゃねぇんだよ。テメェ程度のカス雑魚なんざ、あそこで死んでる木内のように簡単にズタズタに出来るんだよ…!」
「う、うあぁぁぁぁ」
「あと、岡のやつが間野木が死んだってことを冗談だって否定してやがったが、俺は冗談なんて言ってねぇぞ?間野木の奴らは昨日僕がぐちゃぐちゃにして殺してやったのさ!」
「そ、そんな……!探索者の適正試験で優秀な成績を出した間野木たちが、お前にやられたってのか!?」
「そうさ!それが事実かどうか、今のテメェ自身とクラス中のありさまを見れば分かるだろうよ」
「あ………あ…っ」
大越は僕の言うことを嘘だと弾劾しなくなった。
「これで分かったか?僕がテメェら虫けらを簡単に殺せるくらい強いってことがよォ」
「わ、分かった!もう十分に分かりました!い、今までのこと全部謝るし、金とか何でも払いますから、どうか見逃してくださいお願いします…!」
大越のみっともない命乞いを、僕は鼻で笑ってやる。
「さっきの僕とミィの話を聞いてなかったのか?ここで起きたことを見た奴らは全員ここで死んでもらうってよォ。テメェらがぶち殺されるのはもう決まってんだよ…!」
教室にクラスメイトを獣の爪で引き裂いて、次々殺していくミィを指して、残酷な決定事項を告げてやる。大越の顔がさらに絶望の色に染まっていく。
「つうかテメェは特に許さねぇ!強いと分かった途端手のひら返すように態度を急に変えるところもクソムカつく!
昨日の間野木とさっきの木内と同じように、テメェは僕の手で惨殺しねぇと、収まらねぇ!!」
「わあああああ!?た、助けてぇぇぇぇぇぇぇ」
どんな魔物も殴り殺せるくらいの筋力に育った凶悪な拳で、大越を殴り、殴り、ひたすら殴った!全身が崩壊するまで、肉が潰れ骨が砕け内臓が破裂する感触と音を楽しみながら……!
「――ふぅう」
もう殴れるところが無くなり、頭の形が変わって顔も潰れて見た目の判別がつかなかくなった大越の死体を引きずって窓のそばに立つと、思い切り外へブン投げて捨ててやった!木内の死体も同じように投げて処分した。
「ははははは!最高にスカッとしたぜ!さーて、ミィの方はどうなったのかな、と」
教室を見回すと普通の人間ならば目を覆いたくなるような、凄惨な光景が視界に入った。床も壁も天井も机も椅子もドアもガラスも、クラスメイトたちの血で真っ赤に汚れていた。そして床や机の上にクラスメイトたちの死体がどっさり転がっていた。
岡や城山などクラスのカースト上位も、体育会系のグループも、そこそこのカーストだった女子グループも、モブみたいな男子たちもみーんな、ミィに切り刻まれるか引き裂かれたかで死んでいた!
「おほう、こいつは凄ぇな!血の臭いがプンプンしやがるぜ…!」
「あ、咲哉さまー!もう片付いたのかにゃ?」
「まあな」
「うぅ~ゴメンにゃさい、こっちはまだ全員片付けてにゃいにゃ。まだ一人だけ……」
申し訳なさそうに答えるミィの前にへたり込んでいるのは、このクラスの委員長を務めている女子だ。名前は確か井藤だったか。彼女は誰に対しても優しく対応してやがった、大人しくて温和な性格のやつだった。
かつて僕にも優しい言葉をかけたり、間野木たちが僕を虐めてたのを止めようとしたこともあったっけ。
「いや、そいつは僕にやらせろ。ミィは外で見張りを頼む。誰かこっちに来たら呼んでくれ」
「わかりましたにゃ!」
ミィは僕の命令通り、廊下に出て行った。
というわけで、ヒロインの一人が登場しました。




