「クラスメイトたちを分からせてやる」2
「つうかさぁ霧島、さっきから何なのお前?久々に学校来たかと思えば、何かイキり散らしてよぉ」
「それな!さっきだって城山さんにガン飛ばして、脅しやがったよな?女子を脅すとかサイテーだろ!」
岡を押しのけて出てきたのが、制服を着崩した男子二名。センター分けの長髪の奴は大越、もう一人のツーブロックは木内だ。
スキル「鑑定」を使わなくてもこいつらの顔と名前はすぐに思い出せた。なぜなら、こいつらは間野木のグループで、昨日殺した連中ともよく喋っていたからな。
そして、こいつらも間野木と一緒になって僕を虐めたことがある連中だ……。
「ああ?僕は強くなったんだ。強い奴がイキり散らして何が悪いんだよ。間野木の腰巾着だった雑魚どもが」
「ああ!?」「んだと!?」
「ああでも、その間野木はもういなくなったから、お前らはただの雑魚ってことになるのか!雑魚ざーーーこっ」
悪意込めて煽ってひゃっひゃっと笑う僕を、岡をはじめとするクラスメイトたちは僕を気味悪がって、距離をとる。うん、そうした方が良いと思うよ。正解正解。今の僕には触らぬが仏ってな。
ただ、その中で不正解を引いた馬鹿が二名。大越と木内だ。僕に雑魚呼ばわりされたのがよほど腹が立ったらしく、怒りを剥き出しにしている。
「てめぇ、間野木が今ここにいないからって、調子に乗ってんじゃねーぞ?ていうか雑魚はてめぇだろうが!未だに初心者の探索エリアも攻略したことが無い、落ちこぼれなんだってな!?クソ雑魚が!」
「みんなも知ってるよな!?こいつが探索者たちの中で何て言われてるか。
そう、最低級の底辺探索者!それか、底辺弱者ってなあ!」
二人は僕を指差しながら口汚くそう罵る。
「実際、てめぇは一番弱いEランクの魔物にボコられて、ベソかいて逃げてたじゃねーか!配信探索者、一輝の切り抜き動画で見たぜ!
あれを見れば誰だっててめぇが最低級の底辺探索者って思うぜ!」
「あの切り抜き動画はマジで爆笑もんだったわ!しかも、そんなクソ弱くて情けねぇ探索者が、うちのクラスにいるんだからな!友達に自慢出来ねぇネタだわこんなの!」
クラス中に聞こえる音量で僕を盛大に馬鹿にして、笑う二人。二人に煽られた岡たちも失笑し、馬鹿にしたように笑い出す。
誰もがこの僕、霧島咲哉を馬鹿にしやがる。幻のダンジョンを死に物狂いで制覇して強くなった僕のことを、どいつもこいつもまだ馬鹿にしてきやがる……!
「つうか、誰が強くなったって?この前まで一般人だった間野木にすら勝てない一般人以下のクソ弱雑魚探索者が、吹かしこいてんじゃねーよ」
嘲笑していた大越は表情を苛立ちに戻して、僕の胸倉を掴みやがった。
「一般人の俺らに押さえ込まれるくらいに非力な探索者が、どう強くなったって!?どうせ最低級の魔物の倒せるようになった数が1匹増えたとか、その程度のもんだろ!?」
「………テメェらも、僕のことまだ馬鹿にしやがるんだな」
「ああ?まだ舐めた口叩くってんなら、マジでやっちまうぞ?てめぇなんか間野木がいなくたってヨユー―――――(メシィ、ベキャ)っぎゃあああああああああーーーっ!?」
もう我慢する必要はねぇだろう。クラスメイトの誰もが僕を一般人よりも弱い底辺弱者だと馬鹿にしてやがるのが、よく分かった。
「あ゛ーーーっ!ああ?い、でぇ、いでぇぇぇぇぇぇよおおおおおっ」
僕の胸倉を掴んでいたい腕を割りばしみたいにへし折ってやった大越の、喚きながらのたうち回る姿を憎々しげに見下ろす。さっきまで僕に対する嘲笑が充満していた教室は、大越の悲惨な腕を見て阿鼻叫喚と化していた。
いや、悲鳴と狼狽の原因は大越の無残に折れた腕だけじゃないな。
「いやっ!?霧島くんの体が……っ」
「うわあああ!?何かデカくなってんぞ!?」
「何、あれ……やだ、おぞましい………」
みんな、「卑屈症候群」が発動した僕を見てドン引きしてやがる。卑屈になるあまり最低にひん曲がった心が、外面にも映し出してしまうため、みんなから見た僕はさぞブサイクでおぞましい奴に見えてるんだろうな。
まァ、どうでもいいが!こんなゴミクソどもにどう思われようが、知ったこっちゃねぇ!!
「オイ、誰が一般人以下のクソ弱雑魚探索者だ、ごら」
ガシッ、ミキメキ 大越の頭を 両手で持ち上げて、両側から圧力をかけてやる。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ、あ゛だまがあああああっ」
「頭がああああ、じゃねーよ!!誰をやっちまうって?誰のことがヨユーだってぇ!?なァ!!」
「い゛ぎゃあああああ……!ごめんなさい冗談です全部嘘です!調子に乗ってすみませんでした許してくださいいいいいいーーっ」
耳元で大声で脅してやると大越はさっきまでの態度をひっくり返して、惨めったらしく謝罪の言葉を並べ立ててきた。
「ゴミムシが……探索で魔物の危険もロクに知らず、ただぬるま湯に浸かってるだけのガキが!テメェこそ俺に舐めた口を叩くなァ!!」
両手で頭を掴んだまま、大越を黒板目がけてアンダースローで叩きつけた!かなりの衝撃だったからどこか骨が折れたかもな。
「テメェもだぞ、木内!テメェもこのクラスになってから間野木と一緒に僕を馬鹿にして、虐めにも加わってやがったよなァ?」
大越は一旦放置して、標的を木内に変える。近づいてガン飛ばしたら奥歯をガタガタ鳴らして怯えてやがる。
「ひ、ひぃぃぃ!あ、あれは間野木たちの空気を読んで、仕方なくやっただけで……わ、悪気は―――」
「無かった、なんて言う気かゴラ。
僕の弁当箱の中身をゴミ箱や便所の床にぶちまけたり、仲間と一緒に僕を拘束しロッカーに閉じ込めたりが、仕方なくだァ?間野木と一緒に笑いながらあれだけのことをしておいて、悪気が無かっただァ?
嘘ぬかしてんじゃねーぞ!!悪意無しにフツー、笑いながらあれだけのことが出来るってのか!?テメェが超有望な役者なんだったら話は別だが、んなわきゃねーよなぁ?」
バキボキと拳を鳴らす。今でも思い出す……木内も大越も笑いながら僕の私物を汚しやがったこと。怒りと憎しみがさらに呼び起こされ、殺意が膨れ上がる。
「お、おい……?俺にまで暴力振るう気か?た、探索者のお前が一般人の俺に怪我を負わせば、重罪になるんだぞ!いや、もう既に大越に大怪我負わせてるから、もう凶悪犯罪者だ!」
「ああそうだな。だからもう気兼ねなくテメェをぐちゃぐちゃに出来るってワケだ…!」
僕のだだ漏れな殺気に、木内は怯えた小型犬みたいな泣き顔になる。
「ま、まさか殺す気じゃねーだろうな…?そ、そんなことしたらお前は即逮捕、刑務所行き!そんで……死刑だ死刑!
知ってるぞ、探索者を捕まえる公安には、バケモンみたいに強い探索者がいるって!俺に手を出したらお前はそいつらにぶっ殺されるんだぞ!」
ガッ 耳障りな虚仮脅しはもうたくさんなので、首の根本を掴んで、ギリギリと締め付けてやる。
「が……っ!?は、なし……きい――、なかっ――?―――、や、め―――」
バリィン!グラウンド側の窓ガラスに顔面を叩きつけてやった。そして、割れたガラスの破片を握って―――
ドス!ザク、ザク!グサ、ブシュ!
「うぎゃああああああああ………………」
顔や首、体中をガラスの破片でぶっ刺し続けてやった!息絶えるまで、ずっとな!




