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「虐めっ子たちを分からせてやる(復讐)」4


 ゲラゲラ笑う僕に対し、間野木は顔を引きつらせていた。コイツの目に映っている僕の顔はきっと、凄く醜悪に映ってるんだろうな。この固有スキルは絶大なパワーと引き換えに、心が残虐かつ醜悪なものとなり、心の汚さが顔に出るそうだ。

 今の僕は周囲にとって嫌悪感と恐怖を撒き散らす化け物として映ってしまってんだろうな……。

 

 「はぁ~~~あっ、こうなったのは全部、お前らのせいだからな!?人が苦しめば苦しむほど面白くて仕方ない、ただ純粋に、他人が苦しむ様を見たいって思っちまう。気が付けばこんな、性格がひん曲がった奴に、俺はなっちまったんだよ!お前ら世の中のせいでなぁ!!」


 間野木の槍をひったくると、真ん中近くを掴み思いきり力を入れる。槍はぽきりと折れて、刃の部分も地面に叩きつけてへし折ってやった。


 「ところで~、これでもう終わったとか思ってねぇだろうな?僕のお前に対する復讐心はまだまだこんなもんじゃねーぞ。まだまだ殴り足りねぇ!もっとぐっちゃぐちゃにして、見た目が誰か判別つかなくしてやるぜ!」

 「は!?ち、ちょっと!?待―――」


 一目散に逃げようとする間野木だが、既に足腰立たなくなるまで痛めつけられたうえ、両足を撃ち抜かれてるから、地を這って逃げるしかない。

 当然逃げられるはずもなく、間野木の両手は僕がへし折ってやった自慢の槍にぶん殴られて、粉砕するのだった!


 「あ――ぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーー!」

 「あーあ。両手両足がぶっ壊されて、這って逃げることすら出来なくなっちまったな~?いぃ~~~い眺めだぜ!!」


 さらに背中、太もも、肩、腕…うつ伏せでうずくまる間野木の身体を槍の棒きれで滅多打ちにしてやった!

 背中の皮はぼろぼろにめくれて、皮下出血を起こしている。腕と脚の骨はへし折れたり砕けたりして、骨が飛び出てやがる。先ほどの執拗な殴打に加えて、間野木は文字通り虫の息となっていた。

 乱暴に蹴り転がして仰向けにしてやると、涙と恐怖と絶望でくしゃくしゃになった間野木の面がよく見えるようになった。


 「ひゃあははははははっ!いい様だな間野木ぃぃぃ!ダンジョンにこもっていた間、いつかはお前をこんな目に遭わせてやろうって考えたこともあった。現実になって嬉しーぃぜぇ」

 「……ざけんな。ふざけんなーーーぁ!お前は、霧雨なんかじゃねー、あいつの皮を被ったバケモンだ!あいつがこんな化け物みたいに強いわけが………」

 「はっ、中々言い得て妙なこと言うじゃねーか。否定はしないでやるよ。

 さて、これ以上遊んでると人が来そうだし、そろそろ終わらせるか」


 そう言って右手にある拳銃を、間野木の顔面に突き付ける。


 「ひ……!?た、探索者同士での殺し合い、殺人は!重罪、大犯罪だぞ!いや、お前は既に俺の仲間を殺してるから……。犯罪者だ、大罪人だ!!探索者犯罪を取り締まるクソ強ぇ“公安”が、お前を殺しに―――――」

 

 ドォン! 間野木の顔面を吹き飛ばした。それだけで、間野木はもう言葉を発しなくなった。それでも僕の腹の虫はまだ収まらない。


 ドン!ドン!ドォン!! 胸、腹、頭に何度も何度も発砲した。何度も何度も、弾倉が尽きるまで撃ち続けた。そして空になった拳銃を間野木の顔に叩きつけて、顔や身体を強く踏みつけてやった。何度も、何度も―――!


 「―――ふぅ。やっとスッキリしたぜ……へへへ、まるで肉餅だな」


 原型が無くなり誰なのか分からなくなった死体を満足げに眺めたところで、僕の体は元のサイズへと戻った。


 「……少しはしゃぎ過ぎたな。銃声を聞きつけて誰か来るかもしれねぇ。移動するか」


 間野木たちの死体から衣類や装備、金品などを漁って奪ってから、人の目に触れないところへ移動した。


 ―――

 ――――

 ―――――


 「(ごくっ)ぷはぁーー。ふぅ、そろそろ動くか。さぁ~~てと」


 ここは地面がどこまでも芝生となっている、公園みたいな草原。初めて訪れたエリアだ。つまりここは、初心者向けの探索エリアではないということになる。

 間野木のスマホにインストールされてる探索者アプリを開くと、ここが草原エリアであることが判明。アプリによるとここは脱初心者が次に攻略するのに適したレベルらしい。エリアの攻略難易度はDからCとなっている。


 「ここが平均レベルの探索者どもがいつも見ている景色か……。僕にとっては初めて見るものだ…。ダンジョンで強くなったお陰で、こんな所にも平気で行けるようになったんだ」


 何だが感慨深い気がしなくもない。いつかは訪れたいと思っていた地にようやく足を踏み入れられたわけだから。ただ……今の僕にとっては、こんなレベルのエリアどうってことないのかもしれない。緊張感も全然無いし。


 「せっかくだ。久々に探索活動してみようか。Dランク以上のエリア、どんなものかな~~」


 ピクニック気分で僕は草原の大地をのしのし踏み歩いた。ちなみに僕の装いは、江崎のローブとなっている。他にも手袋や下のロングパンツなども拝借…というか剥ぎ取って身に着けている。江崎の衣類を奪った理由は、あいつの死体がいちばん損傷が少なく、服も綺麗だったから。

 水や補給食も四人分まとめてポーチに入れたし、夜まで探索エリアを周れるだろう。そんなことを考えていたら、いつの間にか複数の魔物に囲まれていた。


 「「「「「ガルルル……ッ」」」」」

 「えーっとこいつらは……セカンコボルト。Dランクの魔物か。群れで暮らし、普段は暗い森を住処にしている…。すげぇ、何でも分かるんだな」


 スキル「鑑定」で魔物の名前や生態などが瞬時に明らかとなる。さらに戦い方や弱点など、戦闘に役立つ情報も丸分かりにしてくれる。こいつのお陰で幻のダンジョンで出てきたヤバい怪物どもとの戦いから生き延びたと言って良い。情報は何ものにも勝る武器と言うし。


 「よ~~~し、久々に魔物との戦いだー!」


 と息巻いたものの、結果は戦いにもならなかった。僕の目は魔物たちの動きが全部のろく見えたし、普通に力いっぱい殴っただけで首を折ったり内臓を破裂させたりして殺せた。後半は銃火器で雑に一掃して、魔物戦はすぐに終了してしまった。


 「変な気分だなー。幻のダンジョンに入る前の僕はEランクにすら苦戦してたのに。今じゃDランクをワンパンしている…。何か色々過程をすっ飛ばした気分だよ……」


 それはそれで何だか物足りない気持ちにさせられるのだった。


 「……そうだ。生活費の為にも、魔物の素材を回収しとかないと。こんな雑魚でもそれなりの金になるわけだし」


 Dランクの魔物素材なら、種類によるが一週間は食っていけるだけの金額がつくと聞いてる。BランクやAランクとなると一体の魔物素材だけでもサラリーマンの平均の給料分がもらえるらしい。

 適当に剥ぎ取ったセカンコボルトの毛皮や牙は、スキル「収納」で収納空間に放り込んだ。このスキルがあるお陰で、魔物素材や採集物を詰める麻袋を用意しないで済むから、快適だ。


 「そうだ、Dランクの探索エリアで採れる換金アイテムがどんなものか、見て回って、採取しよう」


 ようやく以前のような探索者気分になったところで、アイテムが採れそうな林に入ったところで、また誰かと出くわしてしまった。


 「おやぁ?また他の探索者さんと出くわしたかと思えば、あんた……霧雨くんじゃないですかー?」



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