「虐めっ子たちを分からせてやる(復讐)」2
こいつらは、僕を馬鹿にした。優越感に浸って、僕を見下した。
僕より探索者の才能があって、僕が買えなかった良い装備を揃えてもらうという、ギルドからの優遇っぷり。
そして何といっても、僕の努力を嘲笑って否定しやがった。何の苦労もせずに、良い思いをしてるだけの、温室育ちどもが……っ
そして、僕の家族を……大好きだった僕の両親まで馬鹿にしやがった………!!
もう、十分だ。これ以上もう溜めなくていい。これだけの負の感情があれば……
「やっぱりテメェらは、僕のことそうやってまだ馬鹿にしやがる!しかも今回は僕の両親まで馬鹿にしやがった………………許さねェ」
これだけ強い負の感情があれば、こいつらを―――
「絶対に許さねぇ!僕の才能と人格と努力を何度も否定しやがって!僕より才能も将来もあってそれを見せびらかして自慢してきやがって!マジでムカつく。腹立たしい!ムカつくムカつくムカつく!ぐちゃぐちゃにしてやる!今までやられた分ここで全部返してやる!テメェらにも僕の劣等感と屈辱を味わわせてやる!全員、恐怖と絶望と後悔を刻み込んで分からせてからぐちゃぐちゃに潰してやる!
僕を馬鹿にする奴らは全員許さねェえええええええええええーーー!!!」
こいつらを殺すのは、簡単だ……!!
「何かあいつ、ヤバくね?雰囲気とか………」
「変なオーラ出てねーか?目も完全にイっちゃってるし、普通じゃねーよあれ………」
もっと、感情のままに力を振るいたい。いや、振るってやる。
馬鹿にしてくる奴らには容赦しない。馬鹿にしたこと死ぬほど後悔させてから殺してやる。
やられたらやり返す。倍とかの次元じゃねぇ、潰すまでだ!
「く、そ…!さっきからぶつぶつ何か言いやがって、気持ち悪ぃんだよ!サンドバッグが調子に乗ってんじゃねぇえええっ」
間野木は槍を振りかぶって、僕に突っ込んできた。仲間たちが「馬鹿、殺すつもりか!?」と呼びかけるが、一切聞いてない。
「くそが!一生探索者が出来なくなるまで痛めつけてやる!!」
槍の柄を振り下ろして、僕の頭をぶん殴ってきた。硬いものが何かを強く叩いた音がした。間野木は手応えを感じてニヤッと笑う。
その勘違いした面があまりにも滑稽だったので――
「いつまで力で僕よりも勝ってると思ってやがんだ、アア?」
つい、言葉をかけてしまった。
「え―――?」
間野木は唖然としていた。力いっぱい振り下ろした槍が、僕の腕に命中したにも関わらず、折れてすらいないのを見て?違うな。たぶん、僕の《《この姿》》を見たからだろうな…!
「お、おま――っ!?何だ、その姿は……!?」
間野木が今目にしている僕の姿はきっと、「醜い」んだろうなぁ。その証拠にほら、間野木もその仲間も、おぞましいものを見る目でこっちを見てやがるからよォ!
というわけで、さっそく使うぜ、固有スキル――「卑屈症候群」!
卑屈になり劣等感や嫉妬、そして怒りといった負の感情を引き出す程に、僕は強くなる!身体は大きく膨れ上がり、絶大なパワーが湧いてくる!!
「何だよさっきから。人を化け物を見る目で見やがって」
さっきから驚いて隙を晒してばっかりなので、馬鹿めと嘲笑いながら、槍の柄を殴打された左手で掴み、目いっぱい力を入れてやった。
「ぉおおおおおーーー!?」
間野木ごと槍を楽々と持ち上げてやる。僕の尋常じゃない膂力に仲間たちは仰天してやがる。そのまま槍をぶんぶん振り回してやる!
「ぐわああああああ!?」
間野木は間抜けな悲鳴を上げるだけで、為す術無しってやつだ。才能があると言っても、所詮はなり立ての探索者。戦闘経験の無さが浮き出てやがる。滑稽過ぎるぜ!
「おらおらおらぁ!散々馬鹿にしてきた最低級の雑魚にいいようにされてるだけかぁ?駆け出し探索者くんよぉ!!」
「ああああああっ、放せ!降ろせぇええええええ!!」
「何だ?降ろしてほしいのか?いいぜ、ほら―――」
槍を高く掲げた所で両手で柄を握りしめ、力を込める。
「お望み通り、降ろしてやるよおおおおおお!」
そしてハンマーのように槍をブン!と強く、猛スピードで振り下ろした!
「へ――ぅわああああああああああああーーーーー」
全身が地面に勢いよく衝突すると同時に、間野木の絶叫はがプツンと止んだ。地面が土と草だったお陰で、死にはしていない。とはいえかなりダメージを負ったようだ。
「あ―――が……っ」
「ぷ―――ぁははははははーーー!?」
血を吐いてぴくぴくのたうち回る間野木を見て、思わず大笑いしてしまった。仕方ねーだろ、面白過ぎんだからよ!間野木がこんな傷ついた様を見るの、初めてだ。なんて気分が良いんだ!
「がはっ、ぢぐしょう…何が、どーなってんだ……!?」
困惑を露わにしながらも、間野木は地面を這いずり、手放した槍を支えにして立ち上がろうとする。
黙って見守るはずもなく、僕は間野木の前に立ち、無慈悲をかけてやる。
「おい。降ろしてやったぞ?礼を言ったらどうなんだ?あァ!?」
ドッッ「ぐぶぅお……!?」
つま先が間野木の腹に深くめり込む。メリメリッといい感触が入った。間野木は槍から手を放して、再び地面に這いつくばった。
「オラ!一生探索者が出来ねーくらいぶっ叩くんじゃねーのか!?やってみやがれ、クソルーキーが!」
煽り散らしながら、間野木の顔や腹に蹴りをドガドガ入れまくる。
「がっ」「ごっ」「どぅ」「げひっ」「ぉぶっ」「えぐぇ……っ」
何度も。何度も何度も何度も何度も何度も。蹴る蹴る蹴る。蹴りを入れまくった。ドガドガ、ドガドガと。体中、蹴ってない箇所なんて残ってないくらい、蹴りまくった!
「び、びばがばぶぼ……っ」
「ああ~~?何つったか、分からねーなぁ!?」
蹴りに飽きたので一旦止めて、ボロボロになった間野木の赤メッシュを掴んで持ち上げて、もう片方の手でこいつの下顎を動かして、無理やり口を開閉させてやる。
「ほら、その臭ェ口で喋りやがれ、ちゃんとよォ。エエ?」
「ご、ごのやろお゛ぉ!てーへん弱者が、ぢょうしに、乗ってんじゃ―――」
ごっ! 髪を掴んだまま、顔面を地面に叩きつける。
「ぶば………っ」
草が生えてる地面じゃ、あまり痛く出来ねーのかな。そう思って、髪を掴んだまま引きずって、太い幹の木の傍に立つと、顔面を木の幹にガンと叩きつける。幹には間野木の鼻血がべっとりと付着していた。
ガン!ガン!ゴン!ゴッ!ゴッ!ゴッ!!
そのままガンゴンと何度も何度も強く叩きつけてやる。間野木は前半体をじたばたさせて暴れていたが、何回か叩きつけてるうちにだらりと抵抗しなくなった。
死んだか?と思い攻撃を中断して、間野木の容態を確認してみる。
「え………え゛、ぁ」
顔はコイツの血で真っ赤っか。瞼には木っ端が刺さっていて、涙みたいな血を流してる。前歯は上も下も全部折れて砕けていて、頬と額は裂傷だらけ。
「あーあ、見るに堪えない、醜悪な面になっちまったなぁ~?俺よりもブサイクに見えるぜ。い~い気味だ……くく、ひゃっひゃっひゃっ!」
髪を掴んだままの手を遠心力かけて思いきりぶん回して、間野木を投げ飛ばした。掴んでいた髪がブチっと勢いよく千切れた。
「ぐぉぉぉ……!?いでぇ、痛ぇよぉおおおおお!」
自分の顔に手をやって激痛を訴えて喚く間野木は、実に無様で笑える。
「もっとだ。もっと潰さなきゃ満足しねーんだよ!」
間野木に対する憎しみと嫉妬を滾らせる。もっと痛くて苦しい目に遭わそうと近づこうとしたが、奴の仲間に囲まれた。
「い、いい加減にしやがれてめぇ!」
「一般人よりも弱かった最低級のくせに!」
「全員でやるぞ!こいつはもう以前の霧雨じゃねー!」




