Endgame and Genesis 【終焉と始動】
その頃、表の世界では大事件が起こっていた。
「悪魔召喚、マリフィスの奴、悪魔と繋がっていたようだな」
「レオン、マリフィスをどうにかしないと大変なことになるぜ?」
「そうだな、至急マリフィスの居所を突き止めて、その【MACOK】と連絡を取るんだ!」
「ソーサリーエレメント」の情報網を駆使してもなかなか見つけることができないでいた。
「シグマ、悪魔たちの召喚門を設置することに成功しました」
「マリフィス様、おめでとうございます」
「ダリアン王子にも礼をしなければ」
「王子は、ただいま生け贄となる村を探しています」
「その準備が整えば、悪魔の大行進が拝めますよ」
シグマは、少し眉を潜めたが、
「おめでとうございます•••」
そう言って下がった。
マリフィスは、完全にイカれていた。
大勢の村人を生け贄に、悪魔と一緒に設置した召喚門で、魔界と人間界を繋ぎ、悪魔たちを呼び寄せて、人間界をメチャクチャにするのが彼の最終目標だった。
「くそ、あいつ完全にイカれてやがる。でも、逆らうこともできないし、俺は、どうすればいいんだ?•••」
シグマも、他の多くの【MACOK】のようにもがき苦しんでいた。
「あなた?」
「なんだ?」
「あなた、あの「魔法陣使い」の【MACOK】でしょ?」
「お前、何者だ?」
「大声ださないで、私も【MACOK】よ。あなたを解放するためにきたの」
「解放?そんなこと無理に決まってるだろ」
「私も、以前はそう思っていたわ、でも、今は自由の身よ」
「にわかには信じられない!何かの罠だろ?」
「私たちは、「ソーサリーエレメント」という【MACOK】だけの組織を立ち上げて、あなたのような「魔法陣使い」に強いたげられている人を助けているの!」
「それが、本当なら今すぐでも逃げ出したい!マリフィスは、魔界から悪魔どもを呼び寄せて人間界をメチャクチャにするつもりなんだ!」
「なんですって?」
「早くしてくれ!」
「分かったわ、すぐに組織に相談するから、勘づかれないようにして」
ミリアは、すぐにレオンに報告した。
「ミリアの報告で、マリフィスの居所が判明した。すぐに助けに行くぞ!」
レオンたちは、バルカ大森林へ移動して、早速奇襲をかけた。
「やはり来ましたか。レオン!」
「なぜ、俺の名を?」
「メルキドから、使えない【MACOK】がいることは聞いていました。最近の「魔法陣使い」の失踪にも関わっているのでしょう」
「なぜ?まさか?」
「ああ、シグマならそこにいますよ」
マリフィスが、足元を指差した。
「お前、シグマになにをした!」
「死んでいただきました•••」
「当然でしょ、使えないものは死ぬ、それが世の理です。使えない人類も死ぬ、至極当然のことです」
「なんだと!」
レオンたちは、いつものように捕獲しようとしたが、すべて交わされてしまった。
「私が、何の対策もしないでいるとでも?無能な「魔法陣使い」たちとは違うのですよ」
「くそ、何てことだ!」
「レオン、落ち着いて!」
みんなが、声をかける。
そうだ、今の僕にはこんなに仲間がいる•••
「分かった、マリフィス、お前のことを甘くみていた。謝るよ」
レオンが、頭を下げた瞬間、サクナが魅了魔法陣を発動した。
「こんなものでどうでしょう?」
サクナが得意気に言った。
「チェックメイト」
レオンが、マリフィスの背後にまわると
「白昼夢!」
ミリアの魔法でとどめをさした。
「やった!」
サクナが、そう言って手をあげると、
「だから、対策済みだっていっているではないですか•••間抜けども」
「ああ、サクナ!」
マリフィスの剣が、サクナの身体を貫いていた。
「ぐっは•••」
サクナは、大量の血を吐いて倒れこんだ。
「サクナ•••」
ミリアが、抱えあげる。
レオンが、すぐさま二人を抱えれて距離を取った。
「この野郎!」
トリガーが砲弾を浴びせると、マリフィスは木の壁ですべて弾き返すと、アルカの背後から剣が襲いかかる。
すかさずトリガーが、バリアで何とか防いだが、
「こちらが、お留守ですよ」
マリフィスの剣は、すでにアルカの首をはねていた。
「イヤーーー!」
「フォレスト•フューリー!」
木々が、槍となって襲いかかる。
マリフィスが、次々と【MACOK】たちを剣と魔法で殺していく。
「ああ、やめてくれーーーーー!」
レオンが、半狂乱になりそうな声で叫んだ。
「だから、無駄だって言ったじゃないですか!」
剣で【MACOK】にとどめをさしながら言い放った。
「ミリア、トリガーとリセを連れて逃げてくれ」
レオンは、そう言うとみんなをアジトまで飛ばした。
「はあ、降参ですか?レオン?」
「ああ、俺たちの負けだ!」
レオンが、倒れこんだ。
「ハーベル、助けて•••」
そのとき、ハーベルが一瞬で飛び込んできた。
「お前、レオンに何をした!」
「おお、ハーベルさんではないですか!お待ちしていました」
「バカ、お前なんか待ってねーよ」
ハーベルは、そう言うとマリフィスの剣を目にも止まらない早さで奪うと、
次の瞬間、マリフィスは遥か上空に放り出されていた。
「ああーーーーー」
「ハーベルさーーーーん、私の【MACOK】になってくださーーーーい」
そう言ってまっ逆さまに大森林へ落ちていった。
「言ってろ、バカ!」
一瞬でレオンのもとに戻ると、
「レオン、大丈夫か?」
「うう、ハーベル•••」
そのまま気を失ってしまった。
レオンを、家に連れて帰ると、しばらく休ませてあげることにした。
「治療は、バッチリだ。あとは、目を覚ますのを待つだけ」
「あれ、ハーベル?」
「おお、気がついたか!」
「マリフィスは?」
「ああ、捨ててきた!」
「捨ててきたって•••」
「ああ、ミリアたちは?」
「あそこには、レオン以外生きてる人はいなかったよ」
「サリエルの宮殿に僕たちのアジトがあるんだ•••」
「じゃあ俺が、連れてくるよ!」
そう言うと一瞬で三人を目の前に連れてきた。
「あれ、何が起こったの?」
「おお、レオン!」
「ああ、生きてたのね!よかった!」
ミリアの涙が止まらない。
三人は、レオンを抱き締めてしばらく動けないでいた。
結局、魔界の王子ダリアンは、ハーベルたち元ソーサリーエレメントの五人にあっさり捕まってしまい、魔界に送り返されてしまった。
「ああ、またこの四人になってしまったな•••」
「また、ここから始めましょう!」
「そうだな!」
「きっと、まだ苦しい目に遭っている【MACOK】たちはいるはず」
「ああ、助けに行こう!」
僕たちは、そう心に誓った。
「ソーサリーエレメント」は、その後一切の暗殺、窃盗などの悪行は禁止として、決して表には出ないが真っ当な組織となっていった。
僕は、ミリアと結婚してひとりの男の子を授かった。
その子の名前は、アルク。
後の「黒の大魔道士」となる男。
そしてその子孫はというと、ルミオ。
後の「怪盗シャドウ」となる男である。
そのお話はまたいつの日にか•••
おわり
新作もよろしくお願いします。
「異世界転生者の両親をもつ私は、
全属性、チートスキル持ちなのに、
魔力ゼロ?」