8. 努力は報われる
あの後、お父様とお母様は木剣で稽古をするようだった。
お父様、魔法だけじゃなく剣もできるなんて...!
すげー!
「�����(痛い痛い痛い!!許してーーー!!!なんでもするからーーー!!!)」
...なんか悲鳴が聞こえた気がするけど、気のせいだよね。
夫婦で仲がいいってのは、素晴らしいことだ。
今世も平穏な家庭に生まれることができて幸せです。
神様仏様ご両親様、ありがとうございます。
「�����(フィロはああなっちゃダメだよ)」
お姉ちゃんが僕の頭をなでながら何やら話しかけてくれる。
言葉はわからないけど、言ってることがなんとなくわかる時もあるもんだ。
哀れお父様。僕はそんなお父様でも尊敬しています。
どうか来世でも...(ry
そんな偉大なお父様の髪の色を受け継いで、綺麗な赤い髪を肩にかかるくらい伸ばしているお姉ちゃん。
お姉ちゃんは、いつも僕の面倒をみてくれる。
僕が栄光のハイハイロードを目指して手足の運動をしていると、お母様と木剣の素振りをしているはずのお姉ちゃんが、木剣をほっぽりだしてやってきて僕と一緒に遊んでくれる。
魔力を動かす練習をするために目を瞑って集中していると、中途半端に畳み残しのある洗濯物を置きざりに、僕を抱えて眠りだす。
言葉を喋る練習のために聞いた単語をひたすら復唱していると、テーブルに並べるはずのお皿を片手にやってきて絵本を読み出す。
そんな、弟のお世話が大好きな素晴らしいお姉ちゃんは、今日も木剣をほっぽりだしてやってきた。
「�����(よしよし。今日もフィロは元気だね。素振り飽きたから一緒に遊ぼっか。)」
手足の運動を切り上げて、お姉ちゃんとおもちゃで遊ぶ。
積み木みたいなおもちゃを、お姉ちゃんに抱えられながら一緒に組み上げる。
これが結構難しい。
腕は思うように取りたい積み木の位置に動いてくれないし、やっと積み木に到達してもちっちゃくて不器用な赤ちゃん指では掴むのも一苦労だ。
しばらくすると笑顔のお母様がやってくる。
「�����(ずいぶん長いトイレだと思ったら、どういうことかしら?)」
「�����(ち、ちがうの。フィロが遊んで欲しいっていうから...)」
「�����(あら、もう言葉をしゃべれるようになったのかしら。それならもう一度言えるわね?フィロ、お姉ちゃんと遊びたいの?)」
笑顔のお母様と何故か懇願する顔のお姉ちゃんに見つめられる。
な、何かしたほうがいいのだろうか。
う、うーむ、わからん。
えーと、、、こういうときの正解は、、、
平田くんなら、こんな時でもすぐ答えに辿り着いちゃうんだろうけど、、、
あ、もしや!
わかったぞ、今度こそ、半年の成果を見せる時が来たということか!
「あうあうあう!あーうーあ!(おねえちゃん、僕わかったよ!今度こそやってみせます!みててください!)」
「�����(あら、ほんとに何か言ってるみたいね、、、)」
「�����(ほ、ほら、私間違ってない)」(冷や汗ダラダラ)
お姉ちゃん、お母様、ご覧ください。
僕の半年間の努力の成果。
数多の試行錯誤の末に辿り着いた、バランスを崩さない体重移動。
大陸を手放し、そして新天地を目指して突き進む、計算し尽くされた第一手。
栄光のハイハイロード。新世界に到達だ。
ぽすっ。
「「!!」」
「(ねえ、お母さん、今のって!)」
「(あらあら!フィロもついに、ハイハイできるようになったわね!)」
「(いつも変な動きしかしてなかったフィロが、やっとできるようになったね!)」
お母様とお姉様、驚くのはまだ早いです。
僕はこの半年間、手足を動かしてきただけじゃないんです。
「まーま!ねーね!あうーあーう!(お母様!お姉ちゃん!できた!がんばったよ!)」
「「!!」」
「(いま、まーまって言ったわよね!?)」
「(今ねーねって言った!!)」
「(かわいいわねーー)」(ぎゅー)
「(かわいいーー)」(ぎゅー)
お母様とお姉ちゃんにもみくちゃにされた。
うん、控えめにいって最高です。
やっぱり、努力は報われるのだ。
全く進んでいないんじゃないか、もしかしたら無駄なことをしているんじゃないか。
そう感じる時も、ないと言ったら嘘になる。
周りの人と比べると、うさぎと亀どころか、飛行機となめくじくらい違うんじゃないかって思えてくる。
でも、前には進むんだ。
たとえなめくじでも、前に進み続ければいつか飛行機に追いつく日が来るかもしれない。
お姉ちゃん、お母様、そして天国で見守ってくれているお父様(生きてる)。
これからも僕は、僕のできる精一杯頑張っていきます。
サボり魔お姉ちゃんかわいい。
そして、みんなの名前を出すタイミングがわからなくなった。
設定は書いたんですけど、自然に出せるタイミングがわからないんです!!