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夜摩天女  作者: 高峰 玲
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銀眼の虎




「おい、そこの……新入り、そうお前だ」


 いきなり指名され、アスラはきょとんと自分の顔を人さし指でさした。

「何をきょときょとしてんだ。早くしねぇか」

 傍の男たちに押しやられ、ゆっくりと円心に進み出る。


 やれ、やっとか──。


 油断なく周囲に目を配りながら、心の中でつぶやいた。

 この砦に傭兵として入ることすでに三日、他の傭兵たちの実戦さながらの鍛錬を終日見せられ、正直、彼女はうずうずしていたのだ。

「タウ、相手してやれ」

 最初に声をかけた男──傭兵隊長で、名はトラブゾンである──が顎をしゃくると、タウはニヤリと笑って立ち上がった。

「へへへっ、新入りの嬢ちゃんよう、名告んな」

 アスラはむっとして思わず腰に帯びた剣に手をかけたが、やがて威圧的に笑って言った。

「……キムルジークの、アスラ。修羅族の出だ」

「キムルジーク……?」

 アスラが名告ると傭兵たちがさわめいた。ヒソヒソとさざなみのように私語がかわされる中で、タウは剣を鞘から抜いた。

「じょーとーじゃねーかっ」

 言い捨てると同時に斬りかかってくる。

「は!」

 嘲笑とも掛け声とも取れる声を発し、アスラは飛んだ。


 ピシリ!


 すれ違いざまにアスラの鞭がタウを打った。剣ほどの長さの、柳の枝のようによくしなる鞭だ。

「ぐあっ」

 右手を押さえ、男はうめいた。

「ほう、剣を落とさなかったか」

 挑発的な物言いが、タウから理性を奪った。

「んのアマあ」

 風を切って振り下ろされ、あるいは薙ぎ払われる刃をかいくぐり、足をひっかける。

 タウのよく鍛えられた体が倒れると、アスラはその上にのしかかり、男の剣を持った右手を掴んでその喉元につきつけた。

「よしっ、やめだ」

 トラブゾンの声と同時にアスラは男から離れた。

「あんた、やるじゃないか」

 アスラが元いたところに戻ると、背をどやしてイアラが話しかけてきた。アスラと同室の女剣士である。

「さて、これで一周(ひとまわり)したな」

 そのままあれこれと訊いてくるイアラに適当に応えていると、トラブゾンが言うのが聞こえた。

「えっ? あの人まだなんじゃ?」

 アスラは驚き、イアラに確認した。彼女の覚えているかぎり、まだ一度も手合わせに出ていないはずのその人物は、トラブゾンの傍の木陰に常に座している。

「ああ、ユガかい? いいんだよ、彼女は……」

「うん?」

 アスラは首をかしげた。

「ユガは、トラブゾンの女なんだ」

 ああそうか、と得心した。

 初めてこの砦に来た日にユガを見てアスラは思ったのだ。あれは自分たちのように“戦い”を商売にしている女ではない、と。

 長い黒髪を紐で束ね、軍装を着けてはいても、白い手足の筋肉は必要以上には発達しておらず、しかもやわらかくて傷つきやすいのだ。

 二十七、八……多く見ても三十代前半と思われるトラブゾンの妻でも恋人でもなく“女”というのが、生々しく意外な気がするが、この若さで百余名の傭兵をまとめる男なればこそ、複雑な事情(ワケ)あり、も有りかとも思う。

 じっと見ていると、かすかに笑ってユガは立ち上がった。口元だけで笑っているのではない。むしろ、アスラと同じ青い目だけが、やさしく細められていた。

 彼女はトラブゾンに身体を寄せ、その耳に何かをささやいた。男は驚いてユガを見、それからアスラの方を見、首を横に振った。さらにユガが何かを言うがトラブゾンは取り合わない。

 立ち上がって尻をはたくと宿舎の方へ歩き出した。

 隊長が立ち去ると、傭兵たちは車座を崩し、適当に相手を見つけると思い思いの場所で組み討ちを始めた。

「何ぼーっとしてんだい、やらないのかい?」

 イアラがアスラの肩をたたいた。

「あっああ、やるよ」

 振り返るアスラの目の端に、ゆっくりと場を離れるユガの姿がひっかかった。




 クジルカムの砦は中原の王国ラインドラの北限を守る砦の一つである。

 砦そのものの規模はさほど大きくはないが、外壁の内に村がある。派遣されている兵の数は三百だったが、現在その数は二百に減っている。それで、百あまりの傭兵で数を合わせていた。




「ともかく、やり口が()なのさ」

 そこでイアラは言葉を切って堅パンにかじりついた。

「いき?」

 アスラも負けじと堅パンに歯をたてた。

「ああ、何てゆーか、心憎いっていうのかね? 義賊ってわけでもないんだけどね」

 堅パンを噛み切るのをあきらめ、イアラは話し続けた。

「何ったって、人の命はとらないってのがいいじゃないか。食料や金目のもの、ついでに娘をさらってくってのはホントの盗賊だよ」

「…………」

 アスラは無言で口の中のパンを咀嚼する。

「あーあ、それにしてもうらやましいねーっ」

「何が?」

 ようやっとパンを飲み込んでアスラは訊いた。

「だってさー、首領は隻眼だけど細面のいい男だって話だよ。手下も強くて逞しいのがわんさかいるって。そんな相手に言い寄られたりしたら……あたしゃさらわれてった娘たちがうらやましいよ」

「へー」

 アスラのいい加減な相槌にイアラはブチッとパンを引きちぎった。意外と剛力?

「ここだけの話だけどさ」

 上目づかいにアスラを見て、イアラは声をひそめた。

「さらわれた娘の家族も、いつの間にか姿を消してるんだ。家族ぐるみ養ってもらうなんてさー、ちきしょお、あたしも満月の夜に、こんな軍装なんか脱いでさ、うんとおめかしして村の広場に立っていよーかねー」

 ぷっ、とアスラは吹き出した。

「何さー」

「いや、べつに」

 必死で笑いをこらえる。

「銀眼の虎、か」

 知らずつぶやいていた。

 この近辺を荒らす盗賊だという。大勢の手下を引き連れ、村を襲い、砦を騒がせ、去ってゆくのだという。

 どこから来るのか、また、どうして満月の夜にしか来ないのか、誰も知らなかった。

 クジルカムの砦の兵が減ったのは、この銀眼の虎の襲撃のためであった。とはいえ、イアラが言ったように、虎の賊が兵を狩ったわけではない。外壁を抜けて砂漠へ賊を追った血気盛んな兵が戻ってこなかったのは砂漠に迷い、封じられてしまったせいなのだ。

「今度の満月が最後だからね」

 イアラが残念そうにつぶやくのが聞こえた。

 三年ぶりに都から兵が来るのだ。いま、砦にいる者は都に戻り、傭兵は任を解かれる。都からの兵は数がきちんとそろっているから、傭兵は用なしなのだ。

「ん……」

 さらわれるよりは討伐してみたい、思いながらアスラはうなずいた。




 窓の外に目をやり、ユガは不満気に切り出した。

「なぜ、止めたのです……トラブゾン?」

 腕組みをしてトラブゾンは壁に寄りかかっていた。

「危険だからですか?」

 ユガが目を向けると、指先で鼻の頭をこすってトラブゾンは言った。

「まあな……」

 そのままはずみをつけて壁から離れ、ユガに近寄る。

「確かに、あいつはいい腕をしている。あんたが望むなら、仲間にしてもいいさ、()()()()()()でな。ただし」

「ただし、何だと? 言っておくけれど、私が彼女を気にしているのは」

 言いかけたユガの口元に、トラブゾンのごつい指が触れた。ユガが意識を澄ますと、部屋のすぐ外に人の気配がする。

「トラブ」

 語調をやわらげ、おだやかに男に呼びかける。

「ン?」

 トラブゾンはユガの肩を抱いて寝台に腰かけた。粗末な実用品だ、定員以上の重量に大きくきしる。

「まさか、あいつに惚れたってんじゃあないよな?」

 ボソボソと小さな耳にささやくと、派手な音をたてて彼の頬が鳴った。

「下卑たことをっ」

「ちっ、悪かったよ、冗談だ」

 言い残すと、鼻の頭をかきかき、トラブゾンは出ていった。

「よぅよぅトラブゾン、痴話喧嘩とはお安くないねぇ」

 少し遠くから、イアラの陽気な声が聞こえた。通路を歩いていたら打撃音が聞こえ、驚いて振り返ったらトラブゾンが女の部屋から出てきたのだ。

「ほっとけってんだ。だいたい、新入り、おめーが強ぇのがいけねぇ」

 トラブゾンの声にユガは閉ざされた扉に思わず近寄って会話を窺う。アスラがいるのだ。

 ユガはこの部屋をひとりで与えられているが、普通二〜三人で一部屋だ。そういえば隣はイアラで、そこにアスラが入ったのだった。

「何だい、あんたらの痴話喧嘩とアスラと、どう関係あるってんだい?」

「ユガが手合わせしてぇってオレに噛みつきやがった」

「……どっちかってぇと、ひっぱたかれたんじゃないのかい?」

 トラブゾンの顔をしげしげと見て、イアラは言った。手のあとがくっきりと頬に残っている。

「くっ……」

 アスラが(たま)らず低く笑い声を出した。

「減るもんじゃなし、手合わせくらい、いいじゃないか」

 イアラが口をとがらすと、トラブゾンは言った。

「冗談じゃねぇ。てめぇらなんかが相手じゃ」

「大事なお姫さんに傷がつく、ってか?」

 アスラはからかってやった。

「おーおー、ごちそうさま」

 とイアラ。

「てっ、てめぇら……」

 凄みをきかすトラブゾンを放置し、イアラとアスラは階下に降りていった。




 それから十日ほども経ったが、アスラがユガと刃を交えることはなかった。

「いよいよだね」

 息をついてアスラは言った。

「うん」

 目を輝かせ、イアラがうなずく。

 ふたりがいるのは物見櫓の上である。

 正規配備の兵が降ろそうとしたが、アスラが鞭を手に睨むと何も言わなくなった。


 やがて、月が昇った。

 

 今夜は満月──銀眼の虎が現れる夜だ。


「いやな夜だなぁ……」

 歩哨がびくびくと相棒に話しかけるのを耳にして、ふたりは顔を見合わせた。

 物見から虎の様子を見て待ち伏せようと言い出したのはイアラである。

 クジルカムの外壁には東西南北に門があって、これまでに虎は東門から侵入したときは西門から、北門からのときは南門からといった具合で通り抜けをしている。入ってくる門を見届け、出口で待ち受けようというのである。

「あーあ、まだかねぇ?」

 イアラがあくびを噛み殺したとき、歩哨が叫んだ。

「きっ来たぞ!」

 聞くなりアスラは進み出た。

「どっどっどーしよお、来ちまった……」

 ふたりの歩哨兵は手を取り合ってオロオロしている。

「来たって、どっちからだ?」

 伸び上がってあたりを見回し、求めるものを見出すと、アスラの口角が満足気に上がる。

「西、か」

 そのまま笑みが不敵なものになる。

 けたたましく傍らの鐘を鳴らし、慣れた様子でアスラは下知した。

「虎だっ、西門から来るぞ!」

「アスラ!」

「おうっ」

 呼ばわるイアラに応じ、物見を駆け降りる。

 ざわざわとうごめく兵のあいだを抜けて、アスラは走った。東門へ向かって。


 やがて、虎の乗る馬が喧噪を遠く引きずって東門に現れた。


 馬足を落とし、そのままゆっくりと門を通り抜けようとする前に、アスラが立ちはだかる。

「待っていたぞ、銀眼の虎」

 大きくいなないて馬が二、三歩、後戻りした。

 噂どおりの銀眼で、馬上から虎がアスラを見ている。アスラも見た。黒装束に黒頭巾、左の目も、黒い眼帯で覆われていた。

「そなたは──」

 頭巾で顔も半ば覆われているので、虎の声はくぐもっていた。

「わたしはアスラ、キムルジークのアスラだ」

「キムルジーク……修羅王か?」

 滅びた国の名を冠する意味を悟り虎が問うと同時に、門の上から何かが降ってきた。イアラが飛びついたのだ。

「イアラーっ、伏せろ!」

 叫びながらアスラは跳躍していた。その右手には、この砦に来てからいまだ一度も抜かれたことのない彼女の佩刀──降魔(ごうま)の剣の抜き身が握られていた。

「あ、青い眼?」

 身を起こしたイアラのつぶやきに、アスラは虎を見上げる。降魔が払い落とした眼帯の下に、青い眼があった。

 と、すばやく虎が当て身をくらわせ、イアラは声もなく虜囚となった。それをしっかりと馬の背に押しつけ、虎は言った。

「よい腕だ、修羅の王」

 明瞭でありながら、声音が判別できない。アスラは虎の銀の右眼と青の左眼をじっと見つめた。

「……この女を返して欲しくば、砂の海に私を求めよ」

 近づいてくる複数の馬に気づき、虎は馬を駆けさせた。間をおかず、賊の手下が次々と門を通り抜けてゆく。茫然とアスラはその様を見ていたが、不意に何かが彼女の胴に巻きついた。人の手だ。

 軽々と、彼女は馬の背に抱え上げられていた。

「何をするっ」

 反射的な動きで、アスラは自分を馬上に拉致した相手を馬から落とした。降魔を鞘に戻し、鞭を手にする。そのまま、虎の勢にまぎれて馬を走らせた。

 銀眼の虎は先頭を駆けている。少しずつ、アスラは虎に迫った。


「──!」


 突然、砂漠の真ん中で虎が馬を止めた。アスラはあわてて手綱を引く。何とか馬が止まる。

 静かに馬を歩ませ、銀眼の虎の一党が虎の周りに集まってきた。妙に思いながらもアスラが少しだけ馬を寄せると、虎と目が合った。

「追ってきたか」

 虎は笑ったようだった。目がわずかに細くなる。

「イアラを、返せ」

 その目をきつく見据えると、虎の目はさらに細くなった。

「返してやらぬでもないが、取り戻したところでそなた、どうするつもりか?」

 虎がほの白みかけた夜空の一隅を指さした。その方をアスラは尻目にしたが、即座に振り返った。

「砂、嵐……!」

 その口から苦いつぶやきがもれる。

 アスラの方へ馬を寄せながら虎は言った。

「砂嵐に向かってがむしゃらに馬を走らせるなど愚かなこと。そんな愚か者は、砂漠に封じられ、二度と出ることはできない……アスラよ、砂嵐は過ぎるのを待ってさえいればよいのです。そうすれば、おのずと思う場所にたどり着ける。こんなふうに」

 言葉のあいだに、砂嵐がアスラたちを包んで吹き荒れた。否、その周囲を囲むようにうず巻いていた。が……やがて嵐が去ったとき、アスラは目前にそびえる白亜の城を見た。

「……私の城、天敬城へようこそ」

 碧空を背景に雲のようにたたずむ城へと虎は(いざな)う。

「さあ」

 ゆっくりと、虎は馬を進ませた。

「おまえは……いったい何者だ?」

 その背にアスラは問うた。

「知っているとばかり、思っていた……」

 虎が振り向く。

「眼が……」

 思わず声が出た。

 両方とも、青だ──。

 何が面白いのか、笑いに目を細めながら、虎は頭巾を剥ぎ取りにかかった。

「満月の夜、私の右眼は銀色に変わる。この銀の眼は、人の本質を捉える……」


「……ユガ!」


 素顔を白日の下にさらした虎を見て、アスラは叫んだ。かまわず(ユガ)は先を続ける。


「私はそなたの本性を見た……キムルジークのアスラ、修羅族の王なる者よ」


「わたしは……」


 修羅族であることは知られてかまわない。だが、王家に連なる身であることは、だめだ。追手が来る前に対策をしなければ……アスラは降魔を抜き放った。


「……降魔を()って私にたちむかうと?」


 愕然と、ユガを見た。なぜ、アスラの佩刀が“降魔の利剣”であることを知っているのか!

「どうして……おまえは何者なのだ?」

 またしても訊いていた。

「本当にわからぬのか?」

 ユガの言葉が思惟に波紋をなげかける。


「剣をひけ、アスラ」


 のろのろとアスラが思いを巡らせ始めたとき、一騎の騎馬がふたりのあいだに割って入った。

「トラブゾン?」

 右手に抜き身をひっさげたその姿に、つい、息をのんだ。周囲を見回してみると、クジルカムの傭兵のほとんどがそこにいた。

 皆、一様の殺気を帯びてアスラを見ている。

「トラブ」

 馬を寄せ、ユガはトラブゾンの右手に手をかけた。

「止めても無駄だ。あんたに刃を向けるような奴は仲間にはできん」

 トラブゾンがそっとユガの手を払うと、無言のままにアスラを囲む円陣ができた。

 だが、アスラはそれには頓着さず、ユガだけを目で追っていた。その視線に気づき、ユガは静かに言った。

「タウとの手合わせを見たときから、私にはそなたが何者なのかわかっていましたよ。満月の銀眼なぞ使わなくても……そういうわけです。トラブゾン、皆も退()きなさい」

 きっぱりとした、それは命令であった。

「な……」

 トラブゾンが振り返る。

「もう一度、同じことを言わせたいのですか?」

「しかし」

 なおもトラブゾンが異を唱えかけると、ユガはその白く細い指で彼の口を封じて言った。

「よい、かまわないで」

 さらに一同を見回して下知する。

「皆もよいですね。先に城に入りなさい」

 そしてユガは馬から降り、手綱をトラブゾンに預けた。

 粛々と、彼らは馬首を巡らせ、天敬城へと進みだす。

「どういうことだ、これは?」

 こちらも馬を降り、剣をかまえてアスラは尋ねた。

「見てのとおりのことですが」

 そっけなく、ユガは天敬城へ向かって歩きだす。歩きながら、

「アスラ、私は大いなる者に戦いを挑まねばなりません。すべてはそのためのこと、それで納得してくれませぬか」

と言った。

「納得できぬ、と言ったら?」

 ユガが足を止めた。

「アスラ……」

 そのとき彼女が浮かべた微笑みを自分は何度も、何度も受けていると感じた。


「非天なる我が骨肉の夜摩天女よ」


 アスラの中で何かが弾けた。


「いま、何と言った?」


 ユガが繰り返すとアスラはじっと考えこみ、やがて降魔を鞘に納めた。


「やっと……私がわかったのですね」


 微笑みがいっそうの深みを増す。

 変わらずこの女は美しい──アスラはうなずく。

 それから、照れたように切り出した。

「ユガ……銀眼の虎、我が姉妹なる夜摩天女よ。剣士をひとり、傭わぬか?」

「アスラ?」

「納得するのは、それからだ」

 言い切ると、アスラも笑んだ。

「……よいでしょう」

 銀眼の虎は、アスラに手をさしのべた。










銀眼(ぎんめ)(とら)

  THE TIGRESS WITH A SILVER EYE

     ── 了 ──






 



 






SFアドベンチャーの『第1回 森下一仁【塾長】のショート・ノベル塾』への投稿作品(沙羅星華名義で投稿)を加筆修正いたしました。




高校時代の作品です。現在では、とてもこの枚数では書けません。修正しながら「薄い……」と思いました。


地理の授業中に地図帳を広げては気になる地名をピックアップしていました。トラブゾンもそんな名前の1つです。





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