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三十八話 これから

 まだ夜が明け切らない時刻。

 宿屋の前には、二つの人影があった。


「いろいろとありがと。迷惑かけたわね」


 宿屋の店主に礼を言い、マリアは自分の荷物を持った。

 そんな彼女に、店主は真剣な顔で頭を下げた。


「いえ。お礼を言うのはこちらです……この町のために戦っていただき、ありがとうございます」

「えっ……?」


 困惑するマリアに、店主はそのままの恰好で続ける。


「お連れ様から聞きました。町長のしてきたことに、あなたは一人で立ち向かったことを……」

「あなたは、知っていたの?」


 マリアが静かに尋ねると、店主は顔を上げた。その表情は、まるで自身が何か良からぬことをしてしまったかのようだった。


「私は、長年この町で宿屋を営んでいますから、噂は耳にしていました……いや、それは噂ではない。私はずっとそう思っていたのです。だが、見て見ぬふりをしてきた……恥ずかしいことです」


 店主の声は最後震えていた。

 マリアはそんな彼の痩せた肩に手を置いた。老体がビクッと跳ねる。


「それが仕方のないこととは言えないわ。傷付いた人が多過ぎるもの」

「そう、ですね……」


 店主は何かに祈るように両手を合わせた。


「後悔や懺悔も大切かもしれないけど、これからこの町のひと達がどうするか、ね」


 マリアは、小さく息を吐く。


「また来るわ。この町がこの先良くなることを、あたしも祈ってる」


 マリアの言葉に、店主は擦れる声で「ありがとうございます」とまた呟いたのだった。

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