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バーニング・レッドサン  作者: 菊田よしお
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1.太平洋戦線(1)

1.アルファ・ストライク


ハワイ北方 250海里付近


大小様々な艦からなる艦隊はまだ暗い大海を進んでいた。

艦は円を描くように陣形を組み、その中心に一際大きい六隻の平板な甲板を持つ艦が複縦陣で並ぶ。

その甲板は無数の兵器で埋め尽くされ、出撃の準備のため無数の男たちがせわしなく動き続けている。


「長官、そろそろ発艦予定地点です。」

艦を統べる男は言った。

薄暗い艦橋内には十人を超える男たちが各部署、各艦からひっきりなしに上がってくる報告を取りまとめている。

視界の隅で、彼のいる旗艦の脇を併走する僚艦の艦橋付近が明滅する。

今まさに出撃準備を整えた兵器たちを統べる男が報告する。

「全艦発艦準備完了。いつでも出撃できます。」

ざわついていた艦橋内は瞬時に静まり返る。その場の誰もが一人の男に視線を向けた。

彼らすべての男たちを統べる男は大きな頷きで応える。

そして少し息を吸い込み、毅然とした声で命令を発した。


「第一次攻撃隊発艦始め。」


男の一言によって静まり返った場に再び喧騒が戻る。

艦は風上に向け増速し、兵器たちが飛び立つのに十分な合成風力を生じさせる。

艦橋に控える士官が甲板に並ぶ兵器たちの先頭―― 一番騎に合図を送ると兵器とそれを操る男がゆっくりと動き出す。

広がった翼をやや振動させつつ、少しずつ増速した兵器はやがて甲板を蹴り、空へと駆け上がる。

甲板上に蠢いていた兵器たちはそれに続き次々に空へと上っていく。


六隻の艦から合計で183の兵器とそれを操る男たちが飛び立ち、艦隊の上空を大きく一周すると隊形を整え南の空へと消えていった。


甲板上は一時酷く静まり返ったが、やがて再び喧騒が戻ってくる。

第二波攻撃隊である171の兵器と男たちを送り出さねばならないからだ。


彼女たち六隻はその日、合計で354の兵器と男たちを空へと送り出した。全力出撃である。

彼らの世界ではそれを成す事が出来るのは彼ら以外存在しなかった。

彼らの誰もが自らを世界で最も強大であると考えていたし、必ずや目的を達せられるものと考えていた。

ただ、それがどのような結果をもたらすかまでは見通せるものは一人として存在しなかった。




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