魔力暴走
「実は住所が分からなかったから手紙を送ることも出来なかったんだ。今度、実家に帰ったときにミルに謝っておいてくれ。」
決して嘘は言ってないし僕もミルには久しぶりに会いたいと思っていた。
「村の掟で別種族の人に場所を教えることはできないんだけど、光輝には念話があるでしょ!いつでも連絡しようと思えばできたじゃない!」
「それが今は魔力がほとんどなくてスキルも制限されているから使えないんだ。」
「ふ~ん。じゃ魔力を感じないのって光輝が制御しているわけじゃなくて本当にないんだ・・・そういう事ならお姉ちゃんには私から伝えてあげる。」
「あぁ。しかもあらゆる身体能力が低下している上さらに降霊術師だという理由でギルドの指示で減衰の腕輪で魔力をさらに抑えているからな。魔力を感じなくて当然だ。」
僕は事の顛末を要点だけ、掻い摘まんで話した。
「そうだったのね・・・それじゃ今後もスキルが封印されたままって事?」
「自分の魂を鍛えて精霊妃に打ち勝つ自信がついたら段階的に解放しようと思っているけど今はその時ではないからな。もしも体を乗っ取られてしまったら世界を滅ぼしかねないし・・・」
「そうね。頑張っ・・・!応援し・・・。」
「ミュウ!どうした?」
「ウゥッ!」
ミュウが突然両手で頭を抱え苦しみだし顔に入れ墨のような紋様が浮かんでいる。
「ドン!」
俺は魔力暴走の渦によって壁に弾き飛ばされ激しく激突する。ミュウに近づこうとするが魔力障壁によって前に進もうと体重移動するがすぐに弾かれる。
「シェリル!俺に力を貸してくれ。」
「は~、仕方ないな・・・」
シェリルがだるそうな声で嫌々返事をした。
「ウゥゥーーー」
ミュウを中心に魔力暴走が激しさを増し少しでも気を緩めると体が吹き飛びそうになる。
「ハーーーッ!」
気合いを入れて何とか体が吹き飛ばされないように前屈みになり耐える。
「ライトシールド!」
光の盾を前方にかざしてミュウに1歩づつ近づいていく。体に触れることが出来る距離までくると俺は魔包帯で少しづつ身体を巻いていき暴走が少しづつ収まっていく。
「あともう少しだ。耐えろ、ミュウ!!」
魔包帯で体を巻き付けていくとミュウはマミーのような様相となっていた。
「ありがとう。まだまだ修行が足りないな。お姉ちゃんは克服したのに私って才能ないのかな。」
「俺はそんな事はないと思うぞ。」
「ありがとう・・・」
ミュウは頬を赤らめていた。翌朝、学園に掲示板が張り出されシルフィー、アンドリュー、光輝、ミュー、シルマの5人を含め計15名が合格となった。




